令和２年3月記事更新
稀に見かける天然ガス（CNG）自動車ですが、廃車は通常のようにできるのでしょうか。
メーカーなどの取扱説明書などを参考にまとめてみます。
まずは現在の普及状況から。矢野経済研究所のレポートによると、2013年3月末の国内CNG自動車の普及台数は約42000台で、その４割以上がトラックだそうです。 普及台数自体は年々増加していますが、対して天然ガスの供給スタンドは全国で300店程度で近年は減少傾向です。
シェールガスの開発により天然ガスの価格が下がってきており、燃料代は下がってくる可能性はありますが、基本的には原油価格の価格に連動します。
現状では燃料代のメリットは乗用車でガソリン車比４割、トラックでディーゼル車比２割ほどお得です（東京ガスホームページより）。
デメリットといえば、故障時に整備代が高くなる（普及していないため）、ガスステーションの数に制約がある（ガソリンスタンドの１０分の１以下の数）、そもそも本体がガソリン車、ディーゼル車に比べ高い、廃車にするときも費用が掛かる、売却するときの買取金額が安いということがあります。
さて、廃車についてですが、本体などほとんどは一般の車両と同様、通常の解体の流れで処分されますが、特別な作業を経ないといけないのは、ガスタンクの部分です。
ガソリン車やディーゼル車であれば燃料タンクに穴をあける、もしくは吸い取る形で普通に抜き取ればよいのですが、天然ガスをそうした場合、当然爆発などの危険を伴います。
メーカーのマニュアルによると・・・
- 換気の良いところでエンジンを始動してガスのメーターが０になりエンジンが止まるまでアイドリングなどを行う。止まったあとも、再度エンジンをかけて指導しないことを確認。
- 容器元弁を閉じて、高圧配管の取り外し。
- ガス容器を車体から取り外し、ホイストクレーンなどでつり上げる。
だそうです。
その後、空き容器（まったく空ではないようですが）、をガス容器等のくず化処理を専門業者（くず化処理受け入れ先）に依頼する。この専門業者は、容器をくず化（破砕処理など）を行うに当たり、人員基準や設備基準を整えてあり（通商産業省化学工業局保安課長通達(昭和４５年４月１５日）の指導によるものの施設）、全国に25社あります。しかし、私どもでもこれらの業者さんの一部に確認したところ、もうやっていない、今まで一度もやったことがない？！という業者さんもあり、あまり参考になりません。ご地元の都道府県庁の廃棄物管轄部署にどこで処分していいか確認していただけるとよいかもしれません。
またくず化を行っているところでも、これらの会社に持込みして、さらに有料にて処分依頼をしないといけませんので、ここに多大な移動経費、処分料が発生します。これらは自動車リサイクル料金の対象外であり、すべて排出者が負担しないといけません。従いまして、天然ガス車は買取れない、処分料が発生する、買取ができる車種でも大幅に買取金額が低いということになるのです。ちなみに１本あたり数万円の処理費用がかかるそうです。
以下 2019年7月追記
なお、LPGのプロパンの容器は鉄であれば資源として売れますが、天然ガス車などにつかわれているFRP製のものはリサイクルできないため、シュレッダーダストとして埋め立てられます。近年この埋め立て処分場の不足から、費用が高騰しており問題になっております。天然ガス車に限らず、自動車のリサイクルでもどうしてもリサイクルできない廃棄物（ダスト）が発生するため、現状のリサイクル料金では処分費をカバーできず既存の状況では先々大きな問題になると思われています。
