スペースシャトル「ディスカバリー」に搭乗した日本人宇宙飛行士の野口聡一さんは言いました。
地球の美しさは筆舌に尽くしがたい。眼下に地球が回り、頭上に漆黒の宇宙が広がる所で作業できるのはすばらしい。
はるか宇宙から眺める地球の美しさが与えてくれる感動は、宇宙飛行士でなければ分からないかもしれません。しかし、私たちが暮らすこの星を美しいまま保ちたいという願いは、誰しも共通した思いでしょう。
宇宙から見た地球が青いように、地上から見上げる空もまた青く見えますが、それは、太陽の光のうち、波長の短い青い光だけが空気中の粒子に乱反射するからです。
つまり、空気があるからこその青空なのです。
空気は、いうまでもなく最も身近で、常にそこにあるものです。空気がなくなることなど、考えたこともないという人が多いでしょう。
でも、どうして空気はなくならないのでしょうか。定員25億とも言われる地球上には、はるかに定員オーバーの60億の人間がいて、常に呼吸をしています。人間だけでなく、動物たちもまた空気を吸います。吸っても、吸っても、空気はなくなりません。それは、吸い込んだのと、ほぼ同じ量の空気を吐き出しているからです。
しかし、ご存じのように私たちは呼吸によって空気中の酸素を体内に取り込んでいますから、吐き出される空気は酸素が少なく二酸化炭素の多い空気に変わってしまっているのです。
ここで活躍するのが植物です。人間や動物とは逆に、空気中の二酸化炭素を取り込み、酸素を放出します。つまり、動物と植物の呼吸のバランスによって地球上の空気は生物の生きられる状態を保っているわけです。
私たち人間が便利な暮らしのために木材や石油、石炭を燃やし続けてきたために、大量の二酸化炭素が発生してきました。しかも、森林伐採や火災など原因で地上の森林の面積はどんどん減っています。
このままでは、いずれ動物と植物の呼吸のバランスが崩れないはずはありません。
すでにその影響は地球温暖化や、それに伴う異常気象など、私たちの生活に関わるところまできています。
無尽蔵にあって、無料の空気。
でも、やがて自然界の空気はとても吸えるものでなくなり、加工処理した空気を買わなければならない時代がくるかもしれません。
きれいで酸素たっぷりの空気を維持するために、私たちにできることは何でしょう。ゴミを減らし、積極的にリサイクルに取り組むこと。そんな一見小さなことが、実は大切な第一歩なのです。