1. お車ユーザーの豆知識

水没車・冠水車にかかるリスク

いつ身に降りかかってもおかしくない自然災害

先月の中国、四国、九州の豪雨災害、9月にはいってからも今週の台風21号に続き、北海道では本日6日未明の地震もあり、自然災害が頻発しております。いつ、自分の身に降りかかってもおかしくないと改めて感じる今日この頃です。研究者の中ではスロースリップと言われる近く移動が近年九州沖で起こっており、このひずみがたまってきているため、巨大地震がいつ発生してもおかしくな状況という危惧も聞かれます。前兆として東日本大震災の際にも比較的大きな地震の後、さらに大きな本震が来たという事例もありますので、いつ来てもおかしくない災害にできる限り準備をしておくことが大切です。

自分の車が水没するリスク

水滴

特に近年は豪雨の被害が増えています

さて、今回はその地震による津波や豪雨災害の際に発生しうる冠水車、水没車のお話です。弊社でも、先般の中国、四国、九州の豪雨災害による冠水車、水没車を引き上げ、買取をさせていただきましたが、近年毎年のように発生してしまっております。自宅が安全な高台でも、出先での被害など十分に発生しうる状況です。たとえば、道路の高架下など、浅いと思って入っていったらそのまま浸水したというケース、勤務先の駐車場で浸水したというケース、出張先での災害など慣れない場所での危険な箇所を把握していなかったために被害にあうということも起こりえます。まずは第一に自身の身を守ることが大切です。車に乗っていないときは家屋の中で避難すればいいのですが、走行中にたとえば前述のように冠水道路に入ってしまった場合どのようになるのでしょうか。

まず当然自動車が動かなくなります。電気系統によるものであったり、エンジンの浸水によるトラブルなど。そうしますと、バックして出ようにも出られなくなります。では、車から脱出しないといけませんが、近年のほとんどのお車はパワーウインドウが装備されており、人力ではあけられません。そうすると、ドアを開けるしかないのですが、ドアも外の水圧によりとても開けられるものではありません。そのままで水かさが増して来れば車から脱出できず、命の危険にさらされます。そうならないためには脱出用のハンマーやカナヅチなど窓ガラスをわるものを車載しておくことが必要です。車の窓ガラスは先端のとがった堅いものであれば意外と簡単に破壊できます。もちろん、人力でパンチなどでは力の入らない座位などではなかなか割れません。

水没した自動車はどうすればよい?

自動車も以前に比べ、電気自動車やハイブリッド車など電子機器に制御されるようになり、ますます冠水時の取り扱いには注意しないといけなくなりました。自動車メーカーやJAFなどでも注意喚起がなされていますが改めましてその危険性などまとめてみました。

まず、水没・冠水してしまった自動車はエンジンをかけないこと。これは自動車の被害を最小限におさえるためにも必要です。エンジン内部に水が入ってしまい、それを回すことで致命的なダメージを与えることになりかねません。ハイブリッド車や電気自動車では安全装置が働いて、触ったら感電、エンジンをかけたら感電などということはないように対策はされていますが、電源をいれることにより電気系統のショート、火災発生ということにもつながります。そうならないようにもたとえ外から乾いているようにみえても、まずは車載の電源バッテリー(トランクやエンジンルーム内にあります)のマイナス端子を外して電流が流れないようにしておきましょう。

バッテリー

電源バッテリー 被服がない方がマイナス端子です

たとえば車内にはそれほど水が入っていないような冠水した水位が浅いようにみえる場合は、冠水地点からの移動はレッカー業者や修理工場さんに任せて運んでもらいましょう。そこで修理や継続使用が可能か、廃車にするかを整備士の方とお話しされて判断されればいいでしょう。しかし、ハンドルまで浸水した、天井まで浸水したという場合はおそらくほとんどの機器が水没しているので、修理費が高額になり、廃車にしたほうがよいと思います。

余談ですが、最近の自動車は電源がはいらないとハンドルロックがかかる、さらにお車によってはシフトレバーがP D Rしかなくニュートラルがないためタイヤが転がらず、引取時には大変な労力がかかります。おおよそご自宅や他の車に囲まれて冠水することが多いため、作業スペースがなく、トラックが入っていけないなど通常の不動車の引取以上に困難です。

ハイブリッド車

冠水車はたとえ外見が問題なくてもサビ等が原因でさまざまな故障が先々おこるリスクはどうしても高まります。特に高潮などによる海水被害の場合はサビが間違いなくおこります。また車内のシートに水が入っている場合、なかなか乾かずにカビや菌の発生の温床となり、においがとれないのはもちろん、空気中の菌の浮遊により健康上の問題もおこりえます。実際に弊社でも冠水車のドアを全開にして乾くのを数日も待ちましたが、どうしてもカビ臭がのこり、またサビなども浮いてくるなどの状況が見受けられました。

泥水の入った車内

泥水の入った車内 冠水後数日でシートにカビが生えています

水没した自動車は最終どのようになるのでしょうか?

保険会社や買取業者で引き取りや買取された水没車は廃車になるか中古車になるかに分かれます。

廃車の場合は、自動車リサイクル工場で解体されますが、水没の場合、パーツにはサビやほこり、泥などが入り再利用難しい場合がほとんどですが、外装部品でサビなどがなければ中古パーツとして再利用されます。ただ、海水などにつかるとサビなどが内側から発生しますので早めに解体される方が良いのです。

中古車としてはまだ再販可能な判断をされた場合に海外向けなどで需要がありますが、前述のような先々のリスクもあり、市場価格としては大きく損なわれます。業界のオークションでも冠水車や水没車は必ず申告義務があり、これを怠った場合は重大クレーム扱いとなっています。

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