廃車のご依頼をいただく際に、稀に自賠責保険(共済)の証明書を紛失されている方がいらっしゃいます。車検証は当然として、自賠責保険については意外と見落としがちのようです。万が一、紛失した際は、廃車時の解約手続きができなかったり、事故したときに保険会社から提出を求められ慌てるということにもなりかねません。普段から車載されているかチェックし、もしない場合は、再発行しておきましょう。
そもそも自賠責保険とは
自賠責保険証明書は正式には自動車損害賠償責任保険証明書といい、車検を受ける際にはそのお車の車検期間がカバーしている自賠責保険の加入が必ず必要になります。実際は、車検を依頼されたお店が保険会社の代理店となっており、即日発行している場合がほとんどで、ユーザー様にて直接保険会社に申し込んだりする機会はないと思います。もし、未加入のまま、運転してしまった場合は自動車損害賠償保障法で「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」、道路交通法では「違反点数6点」となります。減点6点は一発免停になりますので非常に重い罪といえます。そして、万が一にもその状態で事故を起こしてしまった場合は損害賠償の面でも大変なことになります。皆さんが任意で加入されている「自動車保険」の賠償範囲は、「自賠責保険の補償限度額を超えた部分のみ」ですので、本来自賠責保険でカバーされるべき賠償額のすべてが自己負担となります。
「もちろん自賠責保険には入っているはずだけど、車内にない」という場合でも実は罰則があるのです。「自動車損害賠償保障法第八十八条」で運航の際に証明書を備え付けなければ、「30万円以下の罰金」と定められています。従いまして、自賠責保険証明書が無いとわかったら、保険会社さんのほうですぐに再発行を依頼しましょう。
自賠責保険証明書の再発行の仕方
まずは契約保険会社を調べる
自賠責保険証明書の再交付受付は契約保険会社の窓口のみになります。しかし、手続きをしにいくにしても、当然証明書を紛失されているのでコピーでもとっていない限りどこの保険会社で契約しているかがわからないですよね。1社1社思い当たる保険会社に電話をし、窓口の方の指示通り車検証情報をお伝えすれば、自社に契約があるかどうかを確認いただけます。しかし、自賠責保険(共済)を扱っている会社(組合)は損害保険会社だけでも10社以上、その他共済などもあわせると20社以上にもなります(連絡先は国土交通省の自賠責ポータルサイトに載っています)。考えるだけで大変ですが、これをしないで済む方法が、車検を受けられた自動車整備会社さんに聞くというのが一番近道です。といいますのも大体どこかの保管会社の代理店になっているので、契約情報として当然データとして把握されています。
契約保険会社窓口で手続きをする
契約している保険会社がわかれば、あとは窓口で再発行手続きをしていただきます。通常、即日発行されます。必要なものとしては
- 印鑑(シャチハタは不可)
- 本人確認証明書(運転免許証、健康保険証、住民基本台帳カード、 印鑑証明書(原本)、パスポートなど)
あとは窓口の申請書に記入していただくだけです。通常損害保険会社やJA共済の窓口は平日の9:00-17:00での手続きとなります。共済組合などの場合は、所属団体にお問い合わせください。
自賠責の名義変更をしていない場合
「個人売買して自賠責の名義変更をしていない」といった状態で紛失してしまった場合は、当然ディーラーや自動車整備業者で調べてもらうことはできませんので、上記のように見つかるまで自賠責を発行する保険会社すべてに1社1社電話して契約の有無を確認するしかありません。契約している保険会社がわかれば、保険会社で再交付の上、契約者変更します。その際には現所有を証明するために車検証も必要ですので持参しましょう。前契約者と連絡が取れる場合は、事前に申請書に前所有者の記名、捺印が要りますが、どうしても取れない場合は念書などに取れない理由を書いて申請することになります。