車台番号とは、車両一台一台に割り当てられた識別番号のこと。自動車の登録や車検、保険の契約やリコール対象かどうかの確認、部品の品番確認などさまざまな場面で必要となります。国土交通省が付与しているこの車台番号が車のどこに打刻されているかなど、さまざまな情報を紹介しましょう。(2022/8/19更新)
車台番号とは
まずは車台番号とはどのようなものなのかについて解説します。
各車両に固有の識別番号
車台番号とは各車両に固有の識別番号です。
車は一般的に同じ車種が大量生産され、色も含めて見分けが付かない車が世の中に多く存在します。そのなかで各車を識別するため、車台番号という独立した番号が付けられています。
引っ越しや所有者変更があっても不変
この車台番号の特徴は、生産時に付けられた番号は基本的に不変であるという点です
たとえ引っ越しや所有者の変更があっても車台番号は変わることなく、同じ番号が使われ続けます。
番号の意味や規則性は非公開
車台番号はアルファベットと数字が組み合わされた形で付けられますが、その意味は公開されていません。桁数も一定ではなく、番号を見ただけでどういう意味があるのかはわからないでしょう。
実は車台番号には車種やグレード、製造場所といった車両情報が含まれているのですが、その意味や規則性は公になっていません。
「車体番号」と「フレームナンバー」は俗称
車台番号のことを「車体番号」あるいは「フレームナンバー」と呼ぶこともありますが、これらは俗称であり「車台番号」が正式名称です。
俗称でも通じる場面は多いかもしれませんが、正式な名前で覚えておくことをおすすめします。
「車両番号」との混同に注意
「車台番号」とよく似た言葉に「車両番号」がありますが、これらはまったく異なるものです。混同しないよう注意してください。
「車両番号」はナンバープレートのこと
「車両番号」はいわゆるナンバープレートのことを指します。こちらは車両の管轄区や用途などを示す役割があり、車台番号と異なり住所や所有者が変わると変更されるものです。
車台番号が車そのものに紐付いているのに対し、車両番号は持ち主に紐付いているといえるでしょう。
車台番号と車両番号の両方がそろって所有者特定が可能
車の所有者を特定するには車台番号と車両番号の両方が必要です。これは個人情報の取得につながる行為であるためで、たとえば街中で見かけた車のナンバープレートからだけでは所有者の特定ができないようになっています。
車台番号の5つの役割
すべての車に異なる車台番号を付けるのには意味があります。5つの代表的な役割を解説しましょう。
1. 法規上の手続きに使用
1つ目は法規上の手続きに使うためです。
同じ車種だからといってすべての車が正しく製造されているかどうかはわかりません。このため、製造完了時に完成検査をおこない、検査に通った車にのみ新車登録がおこなわれます。このとき、検査に通った車とそうでない車を区別するため、個別の番号が必要なのです。また、車検についても替え玉で車検を受けることがないよう、車台番号が確認されます。
2. 自動車保険の手続き
自動車保険の手続きの際にも車台番号が必要とされます。
たとえば契約者の車ではない同じ車種の車で保険を申請していないかチェックするために、あらかじめ保険対象の車台番号を確認しておくのです。
保険会社に車台番号を知らせた記憶がない方もいるかもしれませんが、後述するとおり車台番号は車検証に記載されているため、そこでチェックされています。
3. リコール対象かどうかの確認
リコールとは、車が法律上の保安基準に適合していないことが判明した際に回収や修理をおこなう制度です。
車台番号には車種やグレードに加えて製造場所の情報が含まれており、これを参照すればリコール対象かどうかが簡単に判別できます。
国土交通省の「自動車のリコール/不具合情報」サイトで車台番号を入力することで、誰でも簡単に確認可能です。
4. 盗難車の発見
車台番号はそれぞれの車に個別に付けられているため、盗難車の発見にも役立ちます。
持ち主がわからない車が見つかった場合、車台番号によって識別することができ、持ち主の元へ返すことができるでしょう。
ほかにも犯罪捜査において事件に使われた車の所有者確認にも使われます。
5. 廃車手続きの確認M
廃車手続きを業者に依頼した場合、その手続きが終わったかどうかを確認するのにも車台番号は役立ちます。
自動車リサイクルシステムのサイトから車台番号と廃車手続き時にもらう移動報告番号を入力することで確認できますので、口先だけでなく確実に廃車が終わったかどうかを確認することが可能です。
車台番号の打刻位置
重要な役割を持つ車台番号ですが、車のどこに車台番号が付いているのか知っている方は少ないです。この機会に確認してみてはいかがでしょうか。
国産車はダッシュパネルへの打刻が多い
国産車の場合、多くの車種ではボンネットを開け、エンジンルームの奥にある「ダッシュパネル」を見ると打刻されているのが確認できます。
ダッシュパネルはエンジンルームと人間が乗る室内を隔てるものです。
このように見づらい場所に付いているのは、車台番号の刻印が事故などでも損傷を受けづらいようにするためといわれています。
車種により運転席側ドアステップや運転席下の本体金属部分に打刻してあるものもあります。
特にトラックやバンといったエンジンルームが運転席の下にあるような貨物系の車種の場合は、運転席を跳ね上げて確認できるような場所にある場合がほとんどです。
どこにあるのか、不明な場合は、インターネットで「車種名 車台番号打刻位置」と検索すると大体の車種が出てきますので参考にするとよいでしょう。
余談ですが、陸運局のナンバープレートの封印をしている担当者の方は、迅速に車検証記載のものと車体が同一のものか確認し、封印作業をしないといけないので、古い車両でも新しい車両でも打刻位置については大体把握されています。
金属プレートに番号が打刻されていることも
コーションプレートと呼ばれるエンジンルームやドアピラー部分に貼り付けてある、金属プレートでも車台番号は確認できます。
車検証にも記載されている
手軽に車台番号を確認するには、車検証を確認してください。車検証の左側に「車台番号」という欄がありますので、簡単に確認可能です。
車検証は走行中の携帯が義務づけられていますので、夜間などはわざわざボンネットを開けなくてもこちらを確認したほうがよいでしょう。
車台番号の改ざんは違法です
車台番号は刻印されており簡単に書き換えられるものではありませんが、決して改ざんが不可能ではありません。
しかしながら、車台番号の改ざんは法律違反であり、罰則が科せられます。実際に車台番号を改ざんすることで盗難の発覚を免れようとする犯罪もおこなわれているので注意してください。
車台番号が読めない場合
車台番号はわざと削り取らなくても、車の老朽化や錆などにより読めない状態になることもあります。その場合の問題や対処方法について解説しましょう。
車検の手続きが不可能
車台番号が読み取れない場合、車検の手続きができません。 車検を受けることができなければ公道を走ることができず、またまた、盗まれたときに見つからなかったり、リコール対象車かどうかの確認ができなかったりする可能性もあります。
「職権打刻」で新しい番号を付与できる
そのような場合、「職権打刻」と呼ばれる方法で新たな車台番号を得ることができます。
この手続きは運輸支局などでおこなうことができ、通常の車台番号と異なった、専用の車台番号が打刻されます。
交通事故でフレーム交換が必要になった、盗難やいたずらで車台番号が削り取られたなどのケースではこの方法を利用しましょう。
ただし、犯罪などで使用されることの無いよう、その手続きは煩雑です。
運輸支局で一度担当官に確認してもらう以外にも、メーカーからの製造証明や理由書等々をもって再度陸運局に出向くということで複数回の手間や煩雑な書類が必要になります。
職権打刻された車は査定額が大幅ダウン
一般的に職権打刻された車は買取の査定額が大幅ダウンします。
職権打刻された車は交通事故や盗難など「いわくつき」の車と見なされるためです。
通常の車台番号がアルファベットと数字なのに対し、職権打刻の場合は漢字と数字のため、簡単に職権打刻を受けたことがばれてしまいます。
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