オーバーヒートが車の故障ということを知っている方は多くても、それがどういう症状で、どのような原因が考えられ、どのように対処すればいいか知っている方は少ないのではないでしょうか。オーバーヒートは誰にでも起こりうる故障であり、その知識を持っておくことは無駄にはなりません。頭の片隅にでもいいのでしっかり入れておきましょう。
車のオーバーヒートとは?
車のオーバーヒートとは、エンジンが発する熱が冷却性能を上回ってしまった状態を指します。自動車の排出ガス規制により、エンジンの冷却方法は多くの車で水冷式となりました。空冷式に比べて冷却性能が高いため、オーバーヒートは昔に比べて起きにくくなったといわれています。
ただし、オーバーヒートは水冷式であっても起きるものであり、起きた場合には深刻な事態につながる可能性も捨てられません。単に走行できなくなるだけならまだいいですが、車両火災を引き起こしたり、エンジンの焼き付きが起こり載せ替えが必要になったりすることもあります。オーバーヒートに関する知識を身につけ、適切に対処できるようにしましょう。
オーバーヒートが起こる6つの原因
一口にオーバーヒートといっても、その原因はさまざまなものが存在します。ここでは代表的な6つの原因をご紹介しましょう。
1. 冷却水の漏れや不足
車のエンジンはガソリンなどを燃焼させて走るもののため、高温になることは避けられません。熱くなりすぎるとエンジンはオーバーヒートし、それを防ぐために冷却水と呼ばれる液体で絶えず冷やし続けています。この冷却水が何らかの原因で漏れてしまうと、エンジンを十分冷やせなくなり、オーバーヒートへとつながるというのが原因の1つです。
2. ウォーターポンプの故障
冷却水はウォーターポンプによって循環させられ、それによってエンジンをしっかり冷やすことが可能です。しかしながら、ウォーターポンプに不具合が起こると、冷却水の循環が滞り、エンジンの冷却ができなくなり、オーバーヒートにつながります。
ウォーターポンプは丈夫な部品ではありますが、交換が必要な消耗品です。一般的には10万km前後で交換が必要といわれており、同じ使用期限であるタイミングベルトの交換時にウォーターポンプの交換も推奨されます。
3. エンジンオイルの漏れや不足
エンジンオイルはエンジンの摩耗や摩擦を低減し、エンジンの動きをスムーズにする効果があります。しかし、エンジンオイルが劣化したり、漏れや揮発などにより量が足りなくなったりすると、十分に潤滑油として働くことができなくなり、オーバーヒートにつながるのです。
エンジンオイルの不具合は、最悪の場合オイルへの引火で火災につながる可能性もあります。エンジンオイルは消耗品ですので、定期的に交換するようにしましょう。
4. 冷却用電動ファンの故障
冷却用電動ファンとは、ラジエーターを冷やすための風を発生させているファンのこと。このファンはエンジンの回転やモーターで駆動されていますが、不具合などにより故障すると風が発生させられなくなり、エンジンを十分冷やせなくなります。
5. サーモスタットの故障
サーモスタットは、冷却水の温度を検知し、水温を調整する役割を担っている部品です。これが故障すると冷却水を低い温度に保つことができなくなり、エンジンを冷却できず、オーバーヒートへとつながります。
6. ラジエーターに異物が付着
レアなケースではありますが、ラジエーターに雪やごみなどの異物が付着することにより、風が当たらなくなってオーバーヒートを起こすことも考えられます。
オーバーヒートが起きたときの5つの症状
車がオーバーヒートを起こしたときには特徴的な症状が現れます。ここで紹介する5つの症状を見逃さないようにし、早めに対処するようにしましょう。
1. 水温計が示す値が異常になる
水温計は冷却水の温度を示すためのものです。これが異常に高い値を示している場合、エンジンを十分冷やすことができず、オーバーヒートが発生している可能性があります。
この水温計は、正常時には「C」と「H」の中間あたりを示しているはずです。しかし、これが「H」に近づいている場合はオーバーヒートが発生している疑いがあるため注意しましょう。
2. エンジンの動作が正常でなくなる
オーバーヒートが起きるとエンジンの動作は正常でなくなります。その結果、エンジンの回転数が安定しなかったり、普段よりスピードが乗らなかったり、アイドリングができなくなったりという症状が出てくる可能性があるのです。
また、そもそもエンジンが止まってしまったり、かからなくなったりすることもあります。こういった症状が現れた場合はオーバーヒートを疑うようにしましょう。
3. エンジンから異音がする
オーバーヒートが起きた場合は、エンジンから異音がすることもあります。エンジンから「カンカン」「キンキン」「カタカタ」といった音が聞こえる場合は注意が必要です。また、ボンネット付近から「キーキー」という高い音が聞こえることもあります。
4. エンジンから異常なにおいがする
冷却水が漏れて蒸発した場合、ボンネットから甘いにおいが発生することがあります。また、ボンネットからオイルが焦げたようなにおいを感じることも。普段かぎなれないにおいを感じたらオーバーヒートを疑うようにしましょう。
5. ボンネットから水蒸気や煙が出る
一般的にテレビや映画でオーバーヒートが起きたときに描写される場面が、ボンネットから煙が上がっているというものではないでしょうか。これは、冷却水が沸騰し、圧力が高まったことで弁が開き、水蒸気を外に逃がしている状態です。また、ラジエーターのホースが劣化などで破けてしまい、沸騰した冷却水が漏れていることもあります。
オーバーヒートしたときの対処方法
オーバーヒートはそう頻繁に経験するものではないため、いざ発生したときには冷静ではいられなくなるかもしれません。しかし、そんなときこそ落ち着いて以下のような手順で対処するようにしましょう。
1. 安全な場所に車を停める
まず重要なのが安全な場所に車を停めるということです。このあとボンネットをチェックする必要があるため、車外に出ても安全な場所に停めるようにしましょう。安全な場所が見つかったら、そこに停車し、エンジンを止めます。
2. ボンネット内をチェック
エンジンを止めたらボンネットを開け、状態をチェックします。まず、ラジエーターのリザーバータンクに入っている冷却水の量がLowよりも上にあることを確認しましょう。Lowよりも下の場合、冷却水が不足している状態になっています。
この場合、応急的に水道水やミネラルウォーターを冷却水として代用することが可能です。ただし、冷却水が白濁している場合は、エンジンオイルが混入している可能性があるため、水道水やミネラルウォーターの使用は不可です。
次に、エンジンを停止してから5分以上経過するのを待ち、エンジンオイルのレベルゲージをチェックします。レベルゲージを抜いて先端についたオイルをふき取った後、元の位置に差し込んで再び抜きます。先端についたオイルがメモリの間になれば異常なしですが、減りすぎている場合は修理が必要かもしれません。
3. 車を冷やす
ボンネット内に異常がない場合は、ボンネットを開けたままにしてしばらくエンジンを冷却します。これによりエンジンの温度が下がり、走行できる状態になるかもしれません。
4. 回復しなければロードサービスに相談
ボンネット内に異常が見つかったり、エンジンを冷やしても回復しなかったりする場合は、ドライバーによるそれ以上の処置は難しい状況です。ロードサービスあるいはJAFに連絡しましょう。
修理費用が高額すぎるなら廃車ひきとり業者も検討
オーバーヒートが発生したときの修理費用は、冷却水の補充程度なら高額にはなりませんが、エンジンの載せ替えが必要ともなるとかなりの出費が必要となります。修理費用が高額すぎると感じた場合は、廃車引き取り業者の利用も検討してはいかがでしょうか。
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