車両には車台番号がつけられています。車台番号が分からない場合、車両の新規登録や車検が行えません。車台番号は自分でも調べることができます。
そこで本記事では、車台番号の意味や必要性などをはじめ、混同しやすい車両番号についても解説します。車台番号を調べる3つの方法や目視で確認できない場合の2つの対処法なども紹介しますので参考にしてください。
そもそも車台番号とは?
車台番号とは車両製造者の届け出によって、国土交通省から車両1台ずつに付与される個別の識別番号のことです。車の持ち主が変更になっても、車がスクラップされて解体となるまで、車台番号を変更することはありません。
車体番号と呼ばれることもありますが、車台番号が正式名称です。車台番号は自動車だけでなく、自転車やバイク、原付などにも付けられています。
車台番号が必要な理由
あまり馴染みがない車台番号ですが、法規上の手続きにおいて必要な番号です。車検をはじめ、自動車保険の申し込みやリコール対象車両かどうかの確認など、車両に関わるあらゆるシーンで車台番号は活用されています。
また車台番号は盗難車かどうか見極めるときにも活用されます。犯罪に絡んでいる場合、証拠隠滅のため、車台番号を削って見えない状態にしているケースがあります。
車台番号の桁数はさまざま
車台番号は数字とアルファベットで構成されています。ただし桁数に決まりはなく、数桁から数十桁とさまざまで、生産国や日本への流通経路によって桁数が異なる場合があります。
車種や製造場所、グレードなどが車台番号から分かりますが、車台番号の意味などは一般公開されていません。以上の点から一般人がパッと見ただけでは、車台番号から情報を読み取ることはできないでしょう。
車台番号と間違えやすい3つのもの
車台番号と間違えやすいものは車両番号、シリアルナンバー、コーションプレートの3つです。車両番号はナンバープレートに記載された番号のことで、車関連の番号では一番馴染みのあるものといえるでしょう。
シリアルナンバーはVINコードとも呼ばれる個体識別番号で、コーションプレートとは車両情報が記載された金属板のことです。ここでは車台番号と間違えやすい3つのものについて紹介します。
1.車両番号
車両番号とは、車の前後に取り付けられているナンバープレートに記載されている番号のことです。所有者の特定や車両識別のために割り振られ、陸運局が登録・管理をしています。
ただし車両番号は軽自動車のナンバープレートのことを指し、普通車のナンバープレートは登録番号が正しい名称です。車両番号は一般道や高速道路などの公道を運転・走行する際には必要なもので、車両番号を付けていない状態で公道を運転・走行すると、違法行為となるため注意しましょう。
軽自動車の自動車検査証をみると車両番号のところにナンバープレートの番号が書いてあります。
車両番号の意味と記載ルール
車両番号は文字や数字・英語大文字の構成で意味が異なります。例えば、車両番号が「世田谷 202 す 1234」である場合の意味は次のとおりです。
- 世田谷:車両を管轄している陸運局などの地名
- 202:自動車種別の識別
- す:自家用車か事業者車、レンタカーなのかの識別
- 1096:一連指定番号(指定も可能。希望ナンバーといいます。)
次に記載ルールについて見ていきましょう。
- 自家用車の軽自動車:あ~
- 自家用車の普通車:さ~
- 事業用車の軽自動車:り、れ
- 事業用車の普通車:あ~こ、を
- レンタカー:わ、れ(軽自動車は「わ」のみ
用途と車両別に上記ひらがなが振り分けられていますが、「おしへん」の4文字のひらがなは車両番号として使用されません。理由は次のとおりです。
- お:あ、す、むとの見間違えやすいことと「を」と発音が同じため
- し:死を連想させるため
- へ:おならを連想させるため
- ん:発音がしにくいため
最近は自動車種別の識別番号において、割り当て番号の不足から、数字に代わって英語の大文字を使用されるものが増えてきました。例えば「世田谷30Aす1234」などと使われます。
2.シリアルナンバー
シリアルナンバーはVINコードとも呼ばれ、17桁で構成されている個体識別番号です。ダッシュボードの左やフロントガラスの内側、エンジンルーム内に記載されている番号で、アメリカ車とヨーロッパ車はシリアルナンバーを採用しています。1981年以降、米国車のシリアルナンバーは全てのメーカーで共通の形式をとっています。
車台番号と同じだと思われがちですが、シリアルナンバーは桁数が17桁と決まっているのが特徴です。また生産国やメーカー、車のタイプ、エンジン、安全装置の種類などさまざまな情報が盛り込まれており、車台番号と違って読み方も公開されています。
3.コーションプレート
コーションプレートとは5cm×10cm程度の金属板で、車台番号や車両の型式、車のカラーなどの情報が記載されています。車両メンテナンス時に必要な情報がすべて記載されており、いわば車の身分証明書と言えるでしょう。色はシルバーが一般的でしたが、最近は黒になっています。以前、スズキの車両では青色のコーションプレートが用いられていました。
そのため、簡単に取り外されないようにエンジンルーム内やドアのピラー部分に溶接されて取付けられています。なお、車種によって設置場所は異なります。
車台番号を調べる2つの方法
車台番号を調べる方法は車検証を調べる方法と打刻箇所を直接調べる方法の2つです。車台番号は車検証に記載があり、誰でも簡単に確認できます。
しかし、すぐに車台番号を把握しなければならないような場合には、自動車の打刻箇所を直接調べるとよいでしょう。ここでは、車台番号を調べる方法について、その内容を詳しく紹介します。
1.自動車検査証(車検証)で調べる
車台番号は車検証を見れば簡単に確認できます。車検証の左側上部の「車台番号」と書かれた欄にアルファベットと数字が記載されているはずです。
実は車検証は車で保管しておかないと罰則対象になります。ダッシュボードに保管している人も多いですが、車の中に車検証がないという場合は、今すぐ車の中で保管するようにしましょう。
2.打刻箇所を直接調べる
車台番号は、自動車の打刻箇所を見て調べることもできます。日本車の打刻箇所を調べる際はボンネットを開け、エンジンルーム奥にある自動車の骨格部分を確認してみてください。
エンジンルームと居住空間の境目部分に車台番号が打刻されています。ただし車両によっては、運転席のシート下などに打刻されているケースもあるので、打刻箇所が分からない場合は、ディーラーや販売店に直接問い合わせてみるとよいでしょう。
車台番号の調べ方については車台番号ってどうやって調べるの?をご参照ください。
車台番号が見えない場合の2つの対処法
長い間車に乗り続けていると、錆びなどによって車台番号が見えなくなる場合があります。車台番号が見えない場合の対処法は錆びや汚れを除去することと別の車台番号を打刻することの2つです。
車台番号が見えないと車検に通りません。ここでは車台番号が見えないときの対処法を紹介します
1.錆びや汚れを除去する
錆びや油汚れによって車台番号が見えない場合は、これらを除去しなければなりません。まずは車台番号が打刻されてあった部分の錆びや汚れをふき取り、打刻の汚れを取り除いてください。
フレームや車体に進行した腐食があり、錆を除去しても読み取れない、もしくは欠損してしまっている場合は、車検に通らないため、特に沿岸部や雪がたくさん降る地域で融雪剤のダメージが懸念される場合は、日頃からメンテナンスにより錆びないように注意する必要がありそうです。
2.別の車台番号を打刻する
残念ながら、錆びや欠損により車台番号が確認できない場合は、新しい車台番号を打刻しなければなりません。新しい車台番号を打刻することを「職権打刻」といいます。
錆や塗装剥離などによる経年劣化や事故による打刻部分の損傷など、車台番号が見えない場合はすべて職権打刻の対象です。職権打刻を行う場合は運輸局で現車確認してもらい、打刻申請をしたうえで打刻してもらう必要があります。
職権打刻は盗難などが疑わしき車ではないかなどを確認されるため、申請の際にはエンジンに打刻してある番号とその車の車台番号が一致するかをメーカーに製造証明書を取付け証明してもらわないといけなかったり、複数回運輸局にいかないといけなかったりしてかなりの手間と時間を要します。
無事、申請が通るとまた車両を持ち込み、打刻をしてもらわないといけません。打刻される番号は通常の車台番号とはことなり、例えば神[00]000000神のような形で打刻されます。(この「神」は神奈川県の運輸局で打刻されたということです)。
余談ですが、並行輸入車の場合も、このように職権打刻されて初めて国内での登録が可能になります。
廃車を検討するなら「廃車ひきとり110番」へ
車台番号は車両の識別番号のことで、マイナンバーのようなものです。車台番号が識別できない場合は、車検が通らないばかりか打刻などの手間も煩雑です。
打刻部分が見えないほど損傷している場合は、廃車にするケースが多いのも事実です。もし廃車を検討する場合は「廃車ひきとり110番」へご相談ください。
2022/4/27 更新