どれだけ気をつけていても、自動車の事故は起こってしまうものです。そして、事故によって損傷した車を修理した場合、修復歴があるものとして売却の際査定に影響が出る可能性があります。修復歴はどのような修理をおこなった場合に発生し、査定にどのように影響があるのか解説します。
車の修復歴とは?
そもそも車の「修復歴」とはどのようなものなのでしょうか。修復歴という評価がつく場合、つかない場合を解説します
骨格(フレーム)部分の交換や修正をおこなった場合に発生
修復歴とは、車の骨格に当たる部分の交換や修正をおこなった場合に発生するものです。具体的には、車のフレーム(サイドメンバー)、クロスメンバー、インサイドパネル、ピラー、ダッシュパネル、ルーフパネル、フロア、トランクフロアに対して損傷があったり、修復したことがあったりすれば修復歴ありと見なされます。
なお、上記は2021年12月時点での日本自動車査定協会による見解です。基準は見直しがおこなわれ、自動車の構造自体が変化すれば将来的に変わる可能性があります。現在は、新車で新しいフレームデザインなどを取り入れたものについては、個別に査定協会より基準が発表されています。
このように、基準がずっと変わらないわけではない点には注意しましょう。
事故車だからといって必ずしも修復歴という評価になるとは限らない
中古車の売買の際、「事故車」という言葉を聞いたことがあるかと思います。これはその名の通り、事故に遭ったことがある車のことを指します。注意したいのは、事故車だからといって修復歴車になるとは限らないという点です
前述の通り、修復歴の有無は車の骨格部分に対して交換や修正をおこなったかどうかに決まります。たとえば、塗装に傷がついただけでは修復歴にならないのはもちろん、横からほかの車にぶつけられた場合でもドアの交換だけであれば修復歴はつきません。自損事故などでのバンパーの交換も修復歴には当たらないでしょう。
一方、「事故車」でなくとも、修復歴車となる場合もあります。たとえば車が何かの下敷きになったり、強風で横倒しになったりしたときに、骨格部分に損傷が発生することも考えられます。
また、よく似た言葉に「修理歴」という言葉もありますが、これは「修復歴」とは全く異なるものです。修理歴は、場所や程度を問わず、修理をしたことがあることを示すもので、ちょっとしたボディのへこみを直しても修理歴があるとなります。
修復歴のある車は査定が下がる
修復歴のある車は、一般に中古車として売却する際の査定が下がる傾向にあります。その理由や、自分の責任以外で修復歴がついた場合の対処法について解説しましょう。
車の寿命が短くなるため
修復歴がある車の査定が下がるのは、車の寿命が短くなる可能性が高いためです。
車の骨格部分は車の機能を司る重要なパーツであり、修理をしても完全に元に戻すことが難しい場合があります。軸がずれていたりするとタイヤに負担を生じさせたり、あり得ない場所から雨漏れが起こったり、その結果、電装系に影響を及ぼしたりする可能性があります。このように後々不具合を起こして修理費用が発生する可能性があるため、査定額が下がるのです。
査定額がどの程度下がるかは一概にはいえませんが、10万円単位で下がることも珍しくないようです。一般的な傾向としては、新車に近い新しい車ほど査定の減額率は大きくなります。実際皆さんもできれば修復歴のない車を買いたいですよね?
ぶつけられて修復歴がついたら?
時には不運にも自分に全く非がないのに事故に遭い、そのために車に修復歴がつくこともあるでしょう。この場合は、事故によって下がるであろう買取金額について、事故を起こした相手に請求することができます。
この下がる見込みの買取金額のことを「事故減価額」と呼び、日本自動車査定協会による「事故減価額証明書」によって減額される金額を証明することができます。事故を起こした相手の保険会社に交渉する際、この書類を用意しておくとスムーズに請求がおこなうことが可能です。
発行は難しくなく、まずは日本自動車査定協会に連絡をし、査定場所と査定日時を決めましょう。査定にかかる時間は30分ほどです。査定にかかる手数料は、軽自動車の場合は5,500円~6,600円、普通車の場合は7,150円~9,900円となっています。出張査定の場合はこれに出張費や駐車料金、高速道路料金などが必要です。
詳細は日本自動車査定協会ホームページのコンテンツ(評価損) にて。
修復歴は査定の際にばれるのか?
売却の際に査定額が下がらないよう、修復歴を隠して査定に出せば良いと考えるかもしれませんが、残念ながら見る人が見ればかんたんにばれてしまうようです。日本自動車査定協会の実態調査によると、修復歴の見落としが起こる確率は0.2%から2%ほどだといわれています。どのようなところからばれてしまうのでしょうか。
工具を使用した痕跡
車の骨格部分を修復する際、大型の工具を使用することがあります。このような工具を使用した痕跡は必ず車体に残り、特徴的な痕跡が特定の場所にあることから、査定する人が見れば修復歴があることがかんたんにばれてしまうのです。
大型の工具でなくとも、工具を使った痕跡は車体に残るものです。経験豊富な査定士であれば、何のためにおこなった修理なのかは一目瞭然でしょう。
シャーシ底部のチェック
シャーシ底部を見ればゆがみがわかり、修復歴があるかどうかがわかってしまいます。シャーシやフレームは車の機能上非常に重要なパーツであり、査定の際には必ず念を入れてチェックされるでしょう。
カバーを外してチェック
さらに、溶接跡をチェックしたり、トランクやボンネットの中を確認したりと、査定は細部に及びます。
ちょっとした塗装の修正程度ならともかく、修復歴と見なされるような修理はほぼばれると思って間違いありません。
修復歴は隠さない方が良い
修復歴を隠したまま売却するとどうなるのでしょうか。結論からいえば、デメリットが大きく、しかも前述のようにばれる可能性が高いため、隠すべきではありません。
修復歴を隠すことは告知義務違反
まず、修復歴を隠すことは告知義務違反です。通常、車の買取を依頼する際に交わす契約書には、事故歴を把握している場合は申告する義務があると書かれています。したがって、意図的に隠すと告知義務違反となり、瑕疵担保責任を問われる可能性があります。
交渉が不利になったり査定が下げられたりする可能性がある
修復歴を隠していることがばれた場合、値段交渉が不利になる可能性があります。売買は基本的にお互いの信頼関係で成り立っているものであり、嘘をついていたということが交渉を不利にする要因となる可能性があるでしょう。最悪は買取を断られたり、作業が発生していた場合、違約損害金を取られる可能性もあり、隠すべきではありません。
人間同士のやりとりは信用が第一です。きちんと事前に申告するようにしましょう。
損害賠償請求につながることも
仮に売却時に修復歴があることがばれなかったとしても、後々ばれる可能性もあります。この場合、損害賠償請求をされる可能性があり、売却時にもらった金額だけでなく、その後の運送費や車の保管料といった費用まで請求されることになりかねません。
さらには、修復歴があることを隠して売却した車が他の人の手に渡ったあとであれば、さらに損害金を請求されるかもしれません。差し引きゼロではなくマイナスになる可能性があり、やはり隠すことによるデメリットは大きいといえます。
前のオーナーの修復歴を知らずに売却した場合
中古車として買った車に修復歴があり、それを知らずに再度中古車として売却した場合はどのようになるのでしょうか。
この場合、修復歴があるにも関わらずそれを告知せずに売った業者に補償請求をすることができます。車を販売する業者にもやはり修復歴があることを告知する義務があり、それによって被った被害については損害賠償請求ができるのです。
ただし、これには時効があり、購入の契約をしてから5年、修復歴があることに気づいてから一年以内におこなう必要があります。気づいたらすぐに行動を起こすことをおすすめします。
修復歴のある車を高く売る方法
それでは、修復歴がある車をできるだけ高く売るにはどうしたら良いのでしょうか。4つのポイントを解説します。
複数の業者に見積もりを出す
1つ目は、複数の買取業者に見積もりを出すという点です。修復歴に対する業者の考え方はそれぞれ異なり、同じ修復歴に対して違う査定を出してくれる可能性があります。また、修復歴があるだけで買取を断られる可能性もあり、1つだけではなく複数の業者に見積もりを出すのがおすすめです。
インターネット上には多くの業者に一括して見積もりを出すサービスがあり、そのようなものを利用すると良いでしょう。
事故車買取を専門とする店に依頼する
普通の買取業者で値段がつかなかった場合、事故車の買取を専門とする店に依頼するという手があります。
日本では売り物にならないような修復歴がある車でも、海外では喜んで使ってもらえるケースがあります。事故車買取専門の業者の中には海外への販路を持っており、日本国内に流通させる価値のない車であっても、値段をつけて買取をしてくれることがあるのです。
また、車としては売り物にならなくても、パーツを取り外して販売できる場合は買い取ってくれるかもしれません。
廃車買取業者もおすすめ
修復歴のある車の買取には、廃車買取業者の利用もおすすめです。廃車買取業者も海外への販路を持っていたり、パーツを取り外して販売したりできるため、修復歴がある車であっても値段をつけてくれます。
解体してマテリアルリサイクルにするのであれば、修復歴を気にする必要もなくなるので、修復歴を伝えても影響ないでしょう。
また、動かない車の買取も引き受けていることが多く、事故に遭った直後で修理をまだおこなっていない車の引き取りにも対応してくれるでしょう。廃車となったときの手続きについてもノウハウが豊富で、さまざまな手続きを代行してくれます。
車によってディーラーはおすすめできない
値段がつかないような車であれば、廃車登録手数料を請求されるため、よほど新車を買う中で下取りを頑張ってもらうといったバーター的なことがなければ厳しいでしょう。
廃車ひきとり110番なら修復歴のある車でも高価買取
中古車買取業者で値段がつかない場合でもあきらめる必要はありません。廃車ひきとり110番なら、修復歴のある車でも高価買い取りが可能です。
これまでの実績では、90%以上のケースで1,000円以上、99%のケースで0円以上での買取をおこなっています(2021年実績)。動かない車でもレッカー引き取り代金無料で対応(離島など一部地域除く)。査定はもちろん無料ですし、買取契約後でも引き取り予定日前日までならキャンセル料は一切発生しません。
もちろん中古車として買取をする場合もありますので、修復歴をご存じであればお伝えくださいね。