車の塗装は一般的に傷つきやすく、ちょっとしたことではがれてしまいます。プロに頼めばきれいに直してくれるのはわかっていても、できるだけ安く済ませたいならタッチペンで修理するのがおすすめです。タッチペンでの塗り方や失敗した場合の補修方法を解説します。
タッチペンとは?
まずはタッチペンの概要について解説します。
車の塗装はげを補修するためのもの
タッチペンはその名のとおりペンの形をした筆で塗るタイプの塗料のことであり、タッチアップペンあるいはタッチペイントと呼ばれることもあります。
筆先から直接塗料を塗れるため、車の塗装はげをかんたんに目立たない状態にすることが可能です。タッチペン自体はそれほど高価なものではないため、後述するとおり修理のコスト節約にも役立ちます。
各ボディーカラー向けのタッチペンが車メーカーから純正品として販売されており、色のマッチングも期待できるでしょう。また、社外品でも純正色番号ごとに販売されています。
ただし、ペン型であるため大きな傷や深い傷の修正には向きません。
錆や腐食を防ぐ効果も
車の塗装はデザインのためだけでなく、金属製のボディーを雨水などの水分による錆や腐食から守る効果もあります。塗装に傷がついてはげてしまうとそこから金属部に水分がつき錆や腐食が生じてしまいますが、タッチペンで塗料を塗ることで防止できるかもしれません。
塗装はげではなく塗装がついた場合はタッチペンは不要
気をつけたいのは、ボディーをどこかにすって色が変わった場合、塗装がはげたケースと塗装がついたケースがあるという点です。
たとえばガードレールなどにすった際にボディーが白くなった場合は、ガードレールの塗装がついた可能性も考えられるでしょう。
タッチペンでどれくらい修理費用が節約できるのか
タッチペンの最大の利点は、修理工場でプロによる修理を受けるよりも費用が節約できる点にあります。
プロによる修理を受ける場合、ボディーにへこみなどの大きな損傷がなければ数千円から数万円程度が傷の修理費用の相場です。
一方、タッチペンの価格の相場は千円前後であるため、費用を大きく削減できるでしょう。
ただし、やはり仕上がりはプロの方がきれいですので、見た目にこだわるならプロに依頼した方が良いかもしれません。また、大きな傷の場合はタッチペンでの修理が難しい場合があります。
タッチペンの選び方
カー用品店などのタッチペン売り場にはさまざまな種類のタッチペンが売られており、前提知識なしに買いに行くとどれを買って良いのか迷うでしょう。タッチペンの選び方のポイントを3点解説します。
外装色コードを確認する
まず、自分が乗っている車の色情報を調べます。これは「外装色コード」、「カラーナンバー」、「カラーコード」などと呼ばれるもので、エンジンルームや運転席側のドアのあたり部、運転席側のピラー部などにある「型式プレート」に記載されているものです。
この色情報をもとにタッチペンを選べば色味が近いものを購入できるでしょう。
なお、タッチペンの色がボディーの塗装に比べて濃いと感じることがあるかもしれません。これは、車の塗装は熱や紫外線などによって変化するため、古くなればなるほどタッチペンとの差が大きくなるためと考えられます。
なお、鈑金塗装業者は複数の色を調合することで、古い塗装でも、できるだけ違和感のない色にして塗装しています。
傷の大きさに合ったサイズを選ぶ
タッチペンは色のほかに、筆先の太さが異なる製品が販売されています。太すぎるものだとタッチペンの塗料が傷がついていないところにはみ出す可能性があり、細すぎるものだと傷を補修するのに手間がかかるでしょう。
傷の大きさに合わせて選ぶのがポイントですので、傷のサイズを測っておくことをおすすめします。
社外品なら安く購入できる
タッチペンは、トヨタや日産などの自動車メーカーが自ら販売している純正品のほかに、カー用品メーカーが販売する社外品があります。
価格はカー用品メーカーの方が安い傾向にあるため、できるだけコストを抑えたいなら社外品を選ぶと良いでしょう。
色に関しては社外品でもそれほど変わらないといわれており、前述のようにそもそもボディーの色が変化していることもあるので純正品と社外品の差は小さいといえるかもしれません。
amazonなどインターネットの他、カー用品店、ホームセンターでも購入できます。
タッチペンの使い方
タッチペンを使った塗装傷の補修方法を具体的に解説します。
塗装はげ周辺をきれいにする
まずは塗装はげの周辺をきれいにしましょう。タールやごみなどがついているとそれが塗装の下に塗り込められ、仕上がりがなめらかになりません。
洗車後は、塗料を塗る妨げとなるため、しっかりと水分は拭き取ってください。
研磨剤(コンパウンド)と紙やすりで磨く
次に研磨剤(コンパウンド)と紙やすりで傷口を磨きます。これにより錆や汚れを落とし、仕上がりをよりなめらかにできるでしょう。
さらに傷口だけでなくその周辺の塗装がささくれているところも磨いてやることで、補修した場所を目立たなくさせることができます。
油分を取り除く
次に「シリコンオフ」と呼ばれるスプレーで油分を除去します。これは塗装面に油分がある場合塗装の密着性が悪く、はがれやすいためです。
油分は水では落としにくいため、シリコンオフを使うのがおすすめといえるでしょう。また、シリコンオフをスプレーした後は布などでしっかり拭き取ってください
シリコンオフはSOFT99(ソフト99)などから発売されており、カー用品店でも入手できます。
マスキングテープで塗装はげ周辺を保護する
タッチペンの塗料が補修しなくても良い場所に塗料がつかないよう、マスキングテープを使って周辺を保護します。
塗料が飛び散ったり垂れたりしたときのことも考え、太目のマスキングテープ、さらに新聞紙などを使って広めにカバーすると安心です。
タッチペンで塗装する
いよいよタッチペンで塗装していきます。塗装といっても筆で塗り広げるというよりは、塗装を傷口に乗せていくイメージです。また、塗料は乾燥すると縮むため、少し盛り上がる程度に塗ると良いでしょう。
このとき、一度で完成させようとすると塗料が垂れるなど汚くなる可能性があります。少しずつ塗っては乾燥させるという工程を何回か繰り返すのがおすすめです。
乾かす
塗料が乾くまでには時間がかかります。完全に乾くまでには1週間ほどかかるため、その間塗装面を触らないように気をつけましょう。
研磨剤と紙やすりで平らにする
補修面がもとの塗装に対して平らになるよう、研磨剤と紙やすりで磨いていきます。
まずは耐水ペーパーで平らになるように磨き、その後でコンパウンドを使って表面がなめらかになるように磨いてください。
作業の際はマスキングテープを使い、補修していない場所が磨かれないようにしましょう。また、強くこすりすぎると補修した塗装がはげる可能性があるため、優しく丁寧に磨くのがコツです。
ワックスで保護する
最後に塗装面にワックスを塗って終了です。ワックスには汚れから塗装を守る効果もあります。
タッチペンでの修理に失敗したら
タッチペンを使うのが初めての場合など、修理に失敗することがあるかもしれません。そんなときの補修方法を解説します。
有機溶剤やうすめ液で塗装を除去する
タッチペンの塗料は有機溶剤やうすめ液で除去することが可能です。塗装を除去してしまえばやり直すことができるでしょう。
また、完全に除去するのではなく余分な部分のみを除去することで凹凸を取り除くようなこともできます。
カー用品メーカーのなかには専用うすめ液を販売しているところがありますので、それを利用すると便利です。なお、有機溶剤やうすめ液にはシンナーが使用されているため、作業は換気の良い場所でおこなってください。
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修理業者に依頼する手も
実際にやってみて難しいと感じたら修理業者に依頼するのも1つの手です。プロはやはり仕上がりがきれいですし、安心して任せられます。
古い車なら修理せずに廃車という手も
傷がついたのが古い車だったり、あるいは傷とともにへこみなどの損傷ができて修理費用が高くついたりする場合、廃車という選択肢を考慮に入れてはいかがでしょうか。
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