ドアバイザーは、サイドウィンドウの上部に屋根のように取り付けられるパーツであり、雨や雪が車内に侵入することを防ぐ効果があります。昔は良く取り付けられていましたが、最近は装着率が減っているというこのドアバイザーの必要性について解説しましょう。
ドアバイザーを取り付けるメリット
まずはドアバイザーを車に取り付けるメリットについて解説します。
雨や雪の侵入を防ぐ
ドアバイザーを取り付ける1つ目のメリットは、雨や雪の侵入を防ぐことができるというものです。
雨や雪が降っているときに窓を開けると、そこから雨や雪が侵入し、車内が濡れてしまいます。ドアバイザーを付けた状態であれば、窓を小さく開ける分には屋根の役割を果たしてくれるでしょう。
これにより、天気にかかわらず窓を開けて換気をすることができます。また、雨天時に踏切の前などで外の音を聴きたいときにも便利です。
色によっては光を防ぐ効果がある
ドアバイザーにはさまざまな色がありますが、濃い色のものであれば光を防ぐ効果があります。
斜め方向からの光が強く差し込むと前方が見づらくなり、運転に影響が出るかもしれません。そんなときでも、濃い色のドアバイザーを付けておけばまぶしさを緩和し、安全に運転することが可能です。
停車時に窓を開けておいても安心
これはおまけ的かもしれませんが、防犯効果もありそうです。
夏場に日が当たる場所に車を停車すると、あっという間に車内の気温が上がります。たとえばスーパーなどの駐車場に車を止めて買い物に行くと、戻ってきたときには車内が非常に暑くなり、冷えるまでに時間がかかるでしょう。しかしながら、窓を開けておくとそこから手または道具を差し入れ、車や車内に置いたものが盗まれるかもしれません。
ドアバイザーを付けておけば少し窓を開けておいても手やものを車内に差し入れにくくなり、盗難を予防できるかもしれません。
ドアバイザーを取り付けたときのデメリット
ドアバイザーの取り付けはメリットばかりではありません。デメリットについて解説します。
洗車しづらい
ドアバイザーは窓を覆う形で取り付けられます。このため、覆われた部分は洗車がしづらく、特に自動洗車機では雨や雪の侵入を防ぐ効果が裏目に出て、窓の上部やドアバイザーの裏を自動的に洗うことができません。
手洗いすれば問題はありませんが、ドアバイザーの取り付けにより洗車時の手間が増えるのは確実です。
走行時に風切り音がする
ドアバイザーは車体から少しはみ出した形で取り付けられるため、物理的には走行時に風切り音が発生しやすいです。特に高速道路などでは大きな音が発生するかもしれません。実際に付けて走ってみないと風切り音が発生するか、どれくらいの音がするかわからないため、事前にどれくらいの影響があるか見積もりづらいのも難しいところです。
走行音のほうが大きいと思われますが、少しでも静かなほうがよいという方はつけないほうが良いでしょう。
デザインに影響が出る
ドアバイザーを付けない方に理由をお訪ねすると、最も多いのがこの理由です。車は一般的にドアバイザーがない状態でデザインされます。カタログの写真もドアバイザーが取り付けられていないものが多く、ドアバイザーを取り付けると思っていたイメージと違うという印象を受けるかもしれません。
特に流線型の美しいボディを持つ車では変化が大きく感じられるため、デザインが崩れることを嫌ってドアバイザーを取り付けない方もいらっしゃいます。
形状によっては視界を遮ることも
ドアバイザーは車種および製品によっては後方の視界を遮る可能性があります。特に大型のドアバイザーを取り付ける場合は注意が必要です。
大きなドアバイザーのほうが雨や雪、光を防ぐ効果は高いですが、大きすぎるのも考え物といえるでしょう。
ドアバイザーの装着率は?
昔は当たり前のように車に取り付けられていたドアバイザーですが、最近は道ゆく車を見てもそれほど多くの車が装着しているわけではありません。
イーデザイン損保の2019年アンケート調査によると、ドアバイザーを装着していると回答したのは全体の48%で、過半数が装着していませんでした。
参照元:イーデザイン損保
以前に比べてドアバイザーの装着率が低下した理由は、エアコンの高性能化にあるといわれています。以前はカーエアコンの性能が悪く、夏場は窓を開けて風を入れたほうが涼しいこともありました。
しかしながら、エアコンが高性能化したことで車内を十分冷やせるようになり、また近年夏場は特に外気温が高温になるため、窓を開けることがなくなったといえます。
喫煙率の低下も一因
ドアバイザーを取り付ける理由として、車内にたばこの煙がこもらないよう窓を開けるというものがありますが、国立がん研究センターの調査によると特に男性において日本の喫煙率は低下し続けています。
2017年の日本人男性の喫煙率は28.2%と、ピークだった1966年の約3分の1まで低下しました。
このため車の窓を開けるという需要が減り、ドアバイザーの需要も低下したと考えられるのです。
最近はコロナ禍で注目度アップ
前述の2つの要因で装着率が低下したドアバイザーですが、最近はコロナ禍によって注目度がアップしているといいます。
新型コロナウイルスの感染を蔓延させる原因として「換気の悪い密閉空間」が挙げられており、窓を締め切った車内はこれに該当するでしょう。
窓を開けて積極的に換気したいという方はドアバイザーの装着を検討しても良いかもしれません。
ドアバイザーはDIYで取り付けられるのか
車を購入後にドアバイザーを取り付けたいと考えた方が、DIYで取り付けられるかどうかについて解説します。
自分で取り付けることは可能
結論からいえば、DIYでドアバイザーを取り付けることは可能です。
アバイザーは車体に穴を開けて取り付けるのではなく、一般的に両面テープで接着して取り付けをおこないます。このため、取り付けるための方法は、
- 取付位置を決める
- 取付位置の汚れをきれいに落とす
- 同梱の両面テープで接着する
と非常にシンプルです。説明書に書いてある手順をしっかり守れば、誰でも簡単に取り付けられるでしょう。
純正品は割高
ドアバイザーにも自動車メーカーが販売する純正品と社外品が存在します。純正品は社外品に比べ、一般的に割高になります。車種にも寄りますが、1万円から3万円ほどかかるでしょう。
また、外国メーカーの車の場合はそもそも純正品が用意されていないこともあります。その場合は社外品を使用するしかありません。
社外品はリーズナブル
社外品であればネット上などでも数千円から販売されています。カー用品店などでも様々販売されているのでチェックしてみましょう。
ドアバイザーには保安基準がないが脱落には注意
ドアバイザーを取り付けたときに気になるのは車検に通るかどうかです。実はドアバイザーには保安基準がなく、付けていても付けていなくても良く、色や形にも規定がありません。このため、好きな色や形のものを選び、車のドレスアップに利用することもできます。
しかしながら、前述の通りドアバイザーは一般的に粘着テープで取り付けられるため、脱落には注意が必要です。特に高速走行時は風圧が強く振動も大きいため、脱落の危険性が高いといえるでしょう。
また、視界を遮る、歩行者を傷つける形状をしている、窓の開閉に支障が出るといった問題のあるドアバイザーも車検に通らない可能性があり、どんなドアバイザーでも付けて良いというわけではありません。
ドアバイザーの取り付け工賃は?
ドアバイザーをディーラーやカー用品店で取り付けてもらう場合、どれくらいの費用がかかるのでしょうか
もともと付いていた場合は高額になることも
もともとドアバイザーがついていないところに貼り付ける場合は、ほぼ時間もかからず、取り付け費用も3,000円かからないでしょう。
しかし、もともと貼ってあったものを取り、新しいものをつかる場合はお話が変わってきます。
というのもサイドバイザーは走行中にとれてしまわないように当然強力な両面テープで貼り付けられています。結果、どれだけ丁寧にはがしても、しっかり粘着跡が残ります。
古い粘着物をスクレーパーなどできれいに取り除いてから新しいものを貼るため、取り付けるだけの場合と比べて何倍もの時間がかかリます。
結果、工賃が10,000円以上してしまうこともあります。不安な場合は、購入前にお見積もりを依頼しましょう。
車内の換気を重視するなら付けても良いかも
この記事で解説したように、ドアバイザーを取り付ける最大のメリットは車内の換気がしやすくなるという点です。
雨や雪、停車時でも窓を開けられるため、たばこの煙を車内に充満させたくない方や、感染症対策でしっかりと車内を換気したい方におすすめといえるでしょう。
取り付けは自分でおこなえますし、UVカットや大きなものにこだわらないなら比較的リーズナブルに購入できます。
一方、洗車しづらい、風切り音が発生する、デザインに影響が出るといったデメリットもあります。
重ねてになりますが、くれぐれも取り付ける際には走行時に脱落しないよう、しっかりと取り付けるようにしてください。