エンジンオイルの入れすぎは、燃費の悪化や白煙の発生などのさまざまなトラブルの原因となります。
しかし、これらのトラブルとエンジンオイルの量が関係していることは意外と知られていません。本記事では、エンジンオイルの概要や対処法、確認方法について紹介します。
エンジンオイルとは?
エンジンオイルとは自動車に必要な潤滑油のことです。また、エンジンオイルは潤滑油以外にもさまざま役割があります。
- エンジンオイルが果たす役割
- 車種によって規定のオイル量が異なる
エンジンオイルが自動車にとってどれだけ欠かせないものなのかを理解するためにも、それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
エンジンオイルが果たす役割
エンジンオイルの主な役割は「エンジン内部の潤滑」です。油膜を張ることで動きを滑らかにし、エンジン内部に起きている金属同士の摩擦を防ぐ働きがあります。
また、エンジン内部の金属を洗浄する効果もあり、錆び止めもエンジンオイルの役割です。さらに「清浄分散」「冷却」「密封」といったさまざまな役割を果たします。
車種によって規定のオイル量が異なる
軽自動車や普通車など、車種によってエンジンの種類や大きさは異なります。エンジンが大きいほどエンジンオイルの量は多くなり、反対にエンジンが小さければエンジンオイルの量は少なくなります。
そのため、車種によって規定のオイル量が異なることを理解しておかなければなりません。車種ごとのエンジンオイル量の目安は次のとおりです。
- 軽自動車 3リットル弱
- 普通乗用車 3~4リットル
- ディーゼル車 6リットル
上記はあくまでも目安で、エンジンの排気量などによって量は異なります。規定量が多くなるほどオイル交換代も高くなるため、どれくらいのオイル量が必要なのかあらかじめ車の取説書で確認しておくとよいでしょう。
エンジンオイルの入れすぎによって起こる4つのトラブル
エンジン内部に起きる金属同士の摩擦を防ぐエンジンオイルは、入れすぎるとさまざまトラブルの原因となります。主なトラブルは次の4つです。
- 燃費が悪化する
- 白煙がマフラーから出る
- オーバーヒートを引き起こす
- オイルハンマーを引き起こす
エンジン交換を要するようなトラブルを招かないためにも、ここではそれぞれの内容について詳しく見ていきましょう。
燃費が悪化する
エンジンオイルを規定量以上に入れると燃費の悪化を招きます。これは、エンジンのクランクシャフトやコンロッドと呼ばれる部分がオイルパン内部のオイルにつかってしまうことが原因です。
オイルの抵抗によって、無駄な動力が必要になることの他、オイルとクランクシャフトが接触するとエンジンオイルの温度が上昇するため、オイル粘度の低下を引き起こし、潤滑作用が正常に働かなくなります。これにより、エンジンパフォーマンスが低下し、燃費の悪化を引き起こすのです。
白煙がマフラーからでる
エンジンオイルの入れすぎで白煙がマフラーから排出される場合もあります。これは規定量以上のエンジンオイルを入れたことでオイルが溢れ、通常なら入り込まないようなエンジンのシリンダー部分にオイルが入るのが原因です。
排出される白煙が多い場合、車両火災やセンサー故障といった致命的な問題も起きかねないため、早急に対処しなければなりません。
オーバーヒートを引き起こす
エンジンオイルの入れ過ぎは、オーバーヒートを引き起こす可能性もあります。これはコンロッドやクランクシャフトにオイルが触れたり、溜まったりすることでエンジンオイルやエンジン内部の温度が上昇するのが原因です。
オーバーヒートが起きてしまうとエンジン交換を要するような大きな故障につながるケースもあるため、十分に注意しましょう。
オイルハンマーを引き起こす
オーバーヒートと同様に、エンジン交換につながる可能性があるのがオイルハンマーです。オイルハンマーは、通常オイルが入らない部分にオイルが入り込んだり、クランク室の圧力が急激に高まることで起きます。
エンジン内部に水が入り込むことでエンジンが故障する「ウォーターハンマー」のオイル版といえるでしょう。燃費の悪化や白煙の排出をそのままにしていると、オーバーヒートやオイルハンマーを引き起こす原因となるため、異音、オイル臭のする白煙を感じたら早急に対応する必要があります。
エンジンオイルの量を確認するための5ステップ
オーバーヒートや燃費の悪化などを引き起こすエンジンオイルの入れすぎを確認するための手順は次の5ステップです。
- 平坦な場所に車を停車する
- エンジンオイルがオイルパンに戻るのを待つ
- ボンネットを開けてオイルレベルゲージを取り出す
- 付着するオイルの状態を確認して拭き取る
ステップ1.平坦な場所に車を停車する
エンジンオイル量を正確に測るために、まずは車を平坦な場所に移動・停車しましょう。坂道など傾いた場所だと油面が傾き、正しいオイル量を測れません。
平坦な場所以外で測ったことでオイルを入れすぎてしまい、トラブルを起こすケースも少なくありません。入れすぎを回避するためにも、できるだけ平坦な場所に車を停車させましょう。
ステップ2.エンジンオイルがオイルパンに戻るのを待つ
平坦な場所に車を停車したら、エンジンを停止してから最低でも5分以上は経過した後にオイル量を測ります。これは、エンジンへ送られたエンジンオイルがオイルパンに戻るのを待つためです。
エンジンオイルがオイルパンに戻りきる前にオイル量を測ると正確な量を把握できません。入れすぎの原因にもなるため、エンジンを切ってすぐは測らないようにしてください。
ステップ3.ボンネットを開けてオイルレベルゲージを取り出す
エンジンを切ってから5分以上経過した後に、オイル量を測ります。オイル量を測るにはボンネットを開き、オイルレベルゲージを抜きます。そのまま引き抜けば簡単に抜かます。ただし、古い車だとオイルレベルゲージが変形しているケースもあるため注意しましょう。
ステップ4.付着するオイルの状態を確認して拭き取る
取り出したオイルゲージに付着するオイルをウエスで拭き取りましょう。準備する布は埃や糸くずが付着しにくいものが適しており、乾いたTシャツや端切れなどがおすすめです。これらの布がない場合には、キッチンペーパーでも問題ありません。拭き取ったオイルが明るい茶色や茶色で透き通っている状態であれば良好な状態です。
もちろん、入れたてでなければ汚れますので、少々こげ茶でも問題はありません。
ステップ5.再度オイルレベルゲージを入れてオイル量を確認する。
オイルの状態を確認し、オイルレベルゲージに付着するオイルを拭き取ったら、オイル量を確認していきましょう。オイルレベルゲージは先端にオイルの規定量が記載されており、上限・下限を示す2つの印が記載されています(H/L)。
オイル面が下限・上限の間にあれば理想的な状態と判断できます。
エンジンオイルを入れすぎた場合の対処法は2つ
エンジンオイルの量を確認したところ、入れすぎであると判断できた場合の対処法として次の2つが挙げられます。
- ディーラーや整備工場などで抜いてもらう
- 自分で対処する
エンジンオイルは自分で抜くことも可能です。自宅で行えるため、ディーラーに足を運ぶ手間を省けますが、車を触ることに不慣れな場合はあまりおすすめできません。また廃オイルの処分も面倒です。ここでは、対処法ごとの詳しい内容をみていきましょう。
ディーラーや整備工場などで抜いてもらう
1つ目はディーラーや整備工場、カーメンテナンス用品店などで抜いてもらう方法です。作業自体は自分で抜く方法と違いはありません。
しかし、自分で対処するにはメンテナンス用品を買い揃える必要があります。また、これまでに作業を実施したことがない方にとっては、確実性や安全性などにも不安が残ります。安全かつ確実に解決したいのであれば、プロに任せたほうが無難といえるでしょう。
自分で対処する
入れすぎたエンジンオイルを自分で対処する方法として、古いエンジンオイルを上から排出する「上抜き」と車底部から排出する「下抜き」の2つの方法があります。
いずれかの方法によって入れすぎているエンジンオイルを減らし、規定量に戻さなくてはなりません。ここでは、それぞれの方法に関する詳しい内容について紹介します。
上抜き
上抜きとは、エンジン上部にあるオイルを入れる部分からオイルチェンジャーという機器を使ってエンジンオイルを抜き取る方法です。ジャッキアップによるドレンボルトの取り外しが不要なため、オイル漏れリスクがないというメリットがありますが、そもそも機器を買わないといけないので、自分でオイル交換をしない方であれば不要でしょう。
下抜き
下抜きとはオイルパンのドレンコックのボルトを外し、オイルを自然落下させる方法です。車をジャッキアップして潜らないといけないのと、オイルが出るときに不慣れだと床を汚してしまうリスク、出たオイルの処理方法などが面倒な他、万が一ボルトをなめてしまった、パッキンが取れてしまったなどの場合は、修理が必要となってしまうため、こちらも不慣れな場合はおすすめできません。
エンジンが故障してしまったら・・・
エンジンの潤滑油としてだけでなく摩擦防止や洗浄分散など、さまざまな役割を果たすエンジンオイルは車種によってその量が規定されています。規定量以上にエンジンオイルを入れると「燃費の悪化」や「白煙の排出」などのトラブルが発生し、エンジンの故障につながりかねません。
エンジンオイルを補充した直後に、これらの症状が見られる場合はエンジンオイルの入れすぎが原因となっている可能性が高いといえるでしょう。ディーラーやカーメンテナンス用品店に依頼したり、自分で対処したりといった方法で、早急にエンジンオイルを抜くことをおすすめします。
オイルを抜いても症状が良くならない場合で、もし大きな修理費用がかかる場合は廃車も検討してみてはいかがでしょうか。ちなみに、廃車ひきとり110番では廃車手続きを代行するうえに、白煙がでるお車でも買い取り可能です。
離島を除き北海道から沖縄県までお買取り対応させていただいておりますので、是非ご相談ください。