1. お車ユーザーの豆知識

車のエンジンランプ(エンジン警告灯)が点灯する原因は?

車のエンジンランプ(エンジン警告灯)が点灯する原因は?

エンジンランプはエンジン警告灯とも呼ばれ、エンジンに何らかのトラブルが発生したことを知らせるためのものです。そのままにしておくとエンジンが正常に動作しなくなる可能性もあるため、できるだけ早めの対処が必要といえます。エンジンランプが点灯する原因、転倒した場合の対処方法などについて解説しましょう。

エンジンランプとは?

エンジンランプとは?

そもそもエンジンランプがどのようなものなのか、基礎的な知識を解説します。

車の自己診断装置による警告を知らせるためのもの

エンジンランプは、車の自己診断装置が警告をドライバーに知らせるためのものです。

自動車には数多くの半導体チップが搭載されており、エンジンもそれによって制御されています。このチップはECU(Electronic Control Unit)と呼ばれているのですが、エンジンを制御するだけでなく、その動作が正常かどうかについても自己診断をおこなっているのです。

そして、動作に何らかの異常を見つけたら、エンジンランプの点灯という形でドライバーに警告を出します。

スピードメーターの近くにあることが多い

ECUが警告を出すためのエンジンランプはスピードメーターの近くにあることが多いです。通常は消灯しており、何らかの異常が見つかったときのみ点灯します。

エンジンランプは後述するとおり非常に重要なサインですので、見慣れないランプが点灯している場合は注意しましょう。

エンジンランプの色と意味

エンジンランプの色と意味

エンジンランプが点灯したときの色は国際規格(ISO)で定められており、すべての車で共通です。色の意味を覚えておくことで、どれくらい深刻な状態なのかを判断することができます。

緑色:エンジンは正常な状態

エンジンランプが緑色に点灯した場合、エンジンに異常はなく安全であることを示しています。したがって、緑色のランプが点灯したとしても気にする必要はありません。

黄色または橙色:速やかな点検が必要な状態

黄色または橙色は、速やかな点検が必要な状態であることを示しています。すぐに車を停める必要はありませんが、できるだけ早くディーラーなどで点検を受けるべきといえるでしょう。

なお、エンジン始動直後に点灯し、その後消えるのは正常動作です。この場合は気にする必要はありません。

赤色:すぐに車を停車する必要がある状態

エンジンランプが赤色で点灯した場合、すぐに車を停車してください。エンジンに深刻な異常が発生しており、エンジンがすぐにでも停止する可能性を示しています。

走行中に停止すると事故につながる可能性があるほか、エンジンの状態をさらに悪化させる可能性があるため、安全な場所に停車しディーラーやロードサービスに連絡しましょう。

エンジンランプ点灯時に考えられる原因

エンジンランプ点灯時に考えられる原因

エンジンランプはドライバーに対し、エンジンに何らかの異常が発生したことを伝えることしかできません。エンジンランプが点灯した際に考えられる原因について解説します。

エンジンのスイッチを入れたとき

誰もが経験するのが、エンジンをONに入れたときに点灯しその後消灯するという現象です。これは正常動作であり、エンジンランプが異常発生時に正しく点灯することを示しているといえるでしょう。

ただし、エンジン始動後であっても消灯しない場合はなんらかの異常が発生したことを示しているため注意してください。

オーツーセンサーの故障

エンジンランプが点灯する原因として可能性が高いのが、O2センサー関連の異常です。

O2センサーは排気ガス中の酸素濃度を測定するためのセンサーであり、エンジンが正しい状態で燃料を燃焼しているかどうかを検知します。

O2センサーが故障した場合、燃焼状態を判定できなくなり、エンジンを正しく制御できなくなります。この結果、アイドリングが落ち着かない、エンストする、操作性が悪い、加減速の制御がしづらい、燃費が悪くなるという現象が起こるでしょう。

エアフロセンサーの異常

エアフローセンサーは、エンジンに吸入される空気の量を計測し、燃料と空気の混合比を監視するためのものです。

エアフローセンサーが故障すると燃料噴射が正確におこなわれず、エンジンが最適な状態で動作できません。O2センサーの故障と同じく、燃費の悪化が起きうるでしょう。

イグニッションセンサーの異常

イグニッションセンサーはエンジンの点火を制御するためのものです。

イグニッションセンサーが正常動作していないことによってエンジンランプが点灯した場合、点火のタイミングが正しくおこなわれず出力が低下するほか、最悪のケースではエンジンが停止するかもしれません。

アクセルポジションセンサーの異常

アクセルポジションセンサーはアクセル開度センサーとも呼ばれるもので、アクセルペダルの踏み込みと加速を計測するためのセンサーです。

オートマ車での変速制御に使われており、このセンサーが故障すると正しく変速がおこなわれず、アクセルペダルを踏んでも思ったように加速がおこなわれなくなります。

バッテリーセンサーの異常

バッテリーセンサーはバッテリーの動作を監視するためのものです。バッテリーが上がったり、バッテリーの接続が正しくおこなわれていなかったりする場合に点灯します。

寿命により電圧が低下した場合でも点灯しますので、交換が必要になることもあるでしょう。

その他の異常

エンジンランプはその他の原因によっても点灯します。

このなかには、

  • 給油口キャップが汚れていたり正しく閉まっていなかったりする
  • メーター表示が正しくおこなわれていない
  • 各種センサーが正しく動作していない

等が存在します。

いずれにせよ、エンジン警告灯が点灯した場合は車に何らかの異常が発生しているということであり、見逃さないようにしてください。

エンジンランプが点灯したときの対処方法

エンジンランプが点灯したときの対処方法

エンジンランプが点灯したとしても慌てる必要はありません。パニックになると事故を引き起こす可能性がありますので、手順にしたがって冷静に対処しましょう。

安全な場所に車を停車する

エンジンランプが点灯したら、まずは安全な場所を探して車を停車します。

エンジンランプの点灯はエンジンの異常を示しており、そのまま走り続けると突然車が動かなくなる可能性があるでしょう。高速道路や幹線道路など、車が高速で走っている道で立ち往生すると事故を引き起こす可能性があります。

このため、高速道路の場合は一般道に降りるなど、車が走行できるうちに安全な場所に停車してください。

エンジンを点検する

安全に停車できたらエンジンを点検します。といっても、ECUが警告を出している場所を一般人が特定するのは難しく、その場での修理も困難な場合が多いです。

後述のディーラーや整備工場への連絡の際にどのような状態なのか報告できる程度に確認するだけで十分でしょう。

ディーラーや整備工場に連絡する

多くのケースでは自力での修理は難しいため、ディーラーや整備工場、ロードサービスなどに連絡します。

これらの業者は専用の故障診断装置を持っており、何が原因でエンジンランプが点灯したのか解析することが可能です。

連絡の際は、エンジンランプの点灯に気づいた時期、走行中や自分での点検で気になった点、現在地を伝えましょう。

エンジンランプが点灯したときのNG行動2つ

エンジンランプが点灯したときのNG行動2つ

エンジンランプが点灯しても、とりあえず自動車を停車し、整備工場やロードサービスに連絡して対処が決まれば、まずは安心です。しかし依然として自動車に、エンジンに関する何かしらのトラブルがある事実は変わりません。

なかには「こうすればランプが消えるかもしれない」と何かやってみたくなるかもしれませんが、次の2つの行動は避けたいところです。ここではこれらのNG行動について解説します。

そのまま走行を続ける

エンジンランプの点灯に気づかず、または気づいていても対処せずに放置し、そうこうし続けていると、故障の原因になったり事故の原因になったりする可能性があります。忙しくて時間がない、修理費用が捻出できないなどしかたない理由があるかもしれませんが、異常が解消されなければ車検にはまず合格できません。

また故障も、そのまま走行を続けてしまったため悪化してしまい、結果として修理費用が高額になることも十分あり得ます。事故でも自分だけが損害を被るだけですめばよい方です。他人を傷つけたり、損害賠償を請求されたりすれば修理費用どころの出費ではすみません。

普段あまり感じないかもしれませんが、自動車は人を傷つけることもできる危険な道具です。所有者として、問題なく走行できるようしっかり管理する必要があります。

エンジンを掛けたり止めたりする

エンジンランプは自動車のエンジンをかけると、他の警告灯とともに一度点灯します。そのとき警告システムに異常がないか、警告灯がランプ切れしていないかをチェックし、問題なければ消灯するしくみです。そのためか、なかには一度エンジンを止めて掛け直すとエンジンランプが消えるのではないかと思う人がいます。

たしかに、一部のメーカーや車種の自動車は、一時的な不具合の場合この方法で正常動作に復帰することもあるようです。しかしエンジンランプが点灯した後エンジンを止めると、整備工場で診断機に繋いだときエラーの履歴が消えてしまい、エラーの内容がわからなくなり、本当の原因へ適切に対処できなくなる可能性があります。

そのため、エンジンランプが点灯したときは、整備工場に入庫するまでエンジンをかけたままにしておくことが大切です。

エンジンランプが点く&車がガタガタする場合は?

エンジンランプが点く&車がガタガタする場合は?

意味がわかっていれば、エンジンランプが点灯するだけでもすぐに「何とかしないと」と危機感を抱くでしょうが、その上車がガタガタと振動し、アイドリングまで不安定になってしまうことがあります。とはいっても原因がわからなければ、そのまま走行していいのか、すぐにでも停車しロードサービスに連絡した方がいいのか判断できないでしょう。

ここではこのようなエンジンランプ点灯と振動が発生する原因と、対処法を解説します。

エンジンランプが点く&ガタガタ振動する原因

エンジンランプの点灯と同様、ガタガタという振動も自動車からの警告です。自動車のエンジンは通常、700から1000回転ほどの回転数で動作しますが、回転数がなんらかの原因で低くなると、エンジンがガタガタと振動し始めます。

エンジンの回転数の低下は、エンジンの「点火」「空燃比」「圧縮」のいずれかの異常が原因です。ここでは、原因となり得る自動車のパーツごとに何が起こっているのかを探ってみましょう。

スパークプラグの異常

スパークプラグは、イグニッションコイルによってかかる高電圧によって、エンジン内に火花を飛ばし燃料を燃焼させるパーツです。そのためスパークプラグが正常に動作しないと、ガソリンと空気の混合気に点火できず、失火して回転数が低下し、ガタガタの原因になります。

スパークプラグは通常、軽自動車でも3個程度、普通車には4〜8個程度搭載されていますが、このうち1つでも失火するとアイドリングの不調につながるため注意が必要です。ただ、スパークプラグの異常だけでエンジンランプが点灯することはありません。

振動はスパークプラグが原因かもしれませんが、エンジンにはそれ以外の異常も発生している可能性が高いといえます。

センサー類の異常

自動車に搭載されているセンサーには、スロットルバルブの開き具合を検知するスロットルポジションセンサーや冷却水の温度を検知する冷却水温センサーなどがあります。なかでも故障の頻度が高いとされているのが、排気ガス中の酸素濃度を検知するO2センサーです。

O2センサーに不具合が起こると、混合気中の酸素量がうまく調節できなくなります。ガソリンが効率的に燃焼するには、酸素との比率が適切な範囲内でなくてはなりません。そうなればエンジンが十分燃焼できずに回転率が下がり、自動車全体がガタガタと振動してしまいます。

センサー類の異常は、とくに異常がないのに警告灯だけが点灯する場合もあるため、気づいたらできるだけ早めに故障診断にかけることが大切です。

イグニッションコイルの異常

エンジンランプが点灯し、自動車がガタガタと振動する原因となる可能性の最も高いのが、イグニッションコイルの異常です。イグニッションコイルは点火系統のパーツの1つで、スパークプラグが火花を飛ばすために必要な高電圧をかけるという重要な役割を持っています。

そのためイグニッションコイルがうまく動作しないと、混合気にうまく点火できません。失火して回転率が下がり、自動車が振動してしまいます。さらにエンジンランプが点灯、つまりエンジンコンピューター制御の範囲内で起きている故障であれば、おそらくイグニッションコイルの故障が原因です。

インジェクターやエアクリーナーの異常

インジェクターは、コンピューター制御によって燃焼室の中に、必要な量のガソリンをタイミングよく噴射するパーツです。そのため故障すると、適切な量の燃料を噴射できず、エンジンに大きな負担をかけてしまい、エンジン内の異音やガタガタという振動、回転数がなかなか上がらないといった不具合の原因になることがあります。

その他振動の原因となり得るのが、エンジンに異物が入らないようフィルターの役目を果たしているエアクリーナーの詰まりです。エアクリーナーはエンジンを作動させるほどフィルターの目が詰まってくるため、適切に交換しないとエンジン内に適切な量の空気を取り入れなくなってしまいます。

エンジンランプが点く&ガタガタ振動するときの対処法

エンジンランプが点灯して自動車が振動するときは、できるだけ早く整備工場などで原因を診断し対処してもらう必要があります。まだ自走できるようなら、近場の整備工場に持ち込むくらいの走行は問題ありません。しかし不安があれば安全な場所に停車して、ディーラーや整備工場などに連絡して指示を仰ぎましょう。

もしエンジンルームから焦げ臭いにおいがしたら、なんらかの原因でエンジンオイルが漏れていると考えられます。そのまま走行すればエンジンがオーバーヒートする、エンジンそのものが破損する、最悪の場合は発火することもあり得るため注意が必要です。

先に解説したパーツの修理にかかる費用は、工賃込みで次の相場の金額がかかります。

  • スパークプラグ(すべてのスパークプラグの交換がオススメ):8,000円〜40,000円程度
  • O2センサー:20,000円〜40,000円程度
  • イグニッションコイル:40,000円〜120,000円程度
  • インジェクター:90,000円〜140,000円程度

いずれも高額ですが、エンジンはもちろん振動への対処も、自動車を安全に運転できなくなることを思えば必要な出費といえるでしょう。できるだけ早めに修理する必要があります。

エンジンランプがついたり消えたりしたら?

エンジンランプがついたり消えたりしたら?

場合によってはエンジンランプがつきっぱなしではなく、エンジンをかけ直したら消えたり、点滅したりする場合があります。この場合の対処方法を解説しましょう。

一度点灯したエンジンランプが消えた場合

エンジンランプが点灯したのに、エンジンをかけ直したら消灯した場合は、何らかの原因でECUが異常を検出できなくなったことを示しています。

エンジンが正常な状態に戻った可能性もありますが、念のためプロのチェックを受けたほうがよいでしょう。

点灯の履歴は専用の装置で確認できますので、点灯していなくても原因を調査することは可能です。

エンジンランプが点滅する場合

エンジンランプが点滅する場合は、配線トラブル等、振動などで状態が変わるケースが考えられます。

この場合もディーラーや整備工場などで原因を確認してもらってください。

エンジンランプがついた場合の修理費用

エンジンランプがついた場合の修理費用

エンジンランプがついた場合に、修理にかかる費用について解説します。

故障箇所や修理業者によって修理費用は異なる

先述のようにエンジンランプが点灯する原因は多岐にわたります。故障箇所によって修理費用は異なるため、原因を特定しないと費用の見積もりは難しいです。

また、費用は修理を依頼する業者によっても異なるでしょう。

一番多いO2センサーは3万円から5万円ほど

エンジンランプがつく原因として最も多いO2センサーの場合、費用の相場は3万円から5万円ほどです。

それなりに費用がかかりますが、放置しておくとマフラーの触媒部が高温になるなど、さらに状態が悪化することもあります。

また、2017年2月の改正で、エンジンランプがついた状態の車は車検に通らないことになりました。いずれは修理しなくてはいけませんので、早めの修理がおすすめです。

修理に多額の費用がかかる古い車なら廃車も検討に

修理に多額の費用がかかる古い車なら廃車も検討に

エンジンランプの点灯による修理費用が多額になった場合、古い車なら廃車を検討してはいかがでしょうか。

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