安全に車を運転するためには、欠かせないエアバッグ。普段はあまり意識していない「エアバッグ」というパーツですが、仕組みや警告灯が点いてしまった場合の対処法などを知らない方も多いかと思います。この記事ではエアバッグに関して詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
エアバッグってどんなパーツ?
エアバッグとは、万が一の事故に備えたパーツのことです。位置付けとしては、シートベルトを補助する装置とされており、ベルトだけでは防ぎきれない衝撃を吸収するものです。多くの自動車に搭載されているものですが、実はシートベルトとは異なり、エアバッグ装備は自動車の保安基準上、装備が義務付けられているパーツではありません。
ここではエアバッグの仕組みやどんなタイミングで作動するのか、また一度作動したエアバッグを閉じる方法などを解説します。
エアバッグの仕組み
エアバッグが作動する仕組みは、大きく「機械式」と「電気式」の2つに分けられます。
機械式と電気式、いずれのエアバッグも自動車に搭載されている加速度センサーと連動して作動します。機械式で作動するエアバッグは、センサーが急激な減速を感知することで、エアバッグ内の火薬を爆発させて膨らませます。
電気式のエアバッグの場合は、加速度センサーが急な減速を検知すると、エアバッグ用のECUからの信号を伝えます。その信号を受け取ったエアバッグが火薬を爆発させ、爆風を利用してエアバッグを膨らませます。
どんなときに開くのか
万が一の際に膨らむエアバッグは、どんなときに開くのでしょうか。普段から安全運転を心がけている方の中には、一度もエアバッグが作動することがないまま車を手放す可能性もあるでしょう。
エアバッグが作動することがないというのは、時速約20〜30km以上の速度で、強固な物(障害物など)に衝突したことがないというケースです。ここでいう強固な物とは、コンクリート壁や他の自動車などのことです。つまり、上記の速度で強固な物にぶつかった際に開くというわけです。
開いたエアバッグを閉じる方法
まず結論から述べると、エアバッグが作動してしまったとしてもそのままある程度の時間が経過すれば、自動的に萎んでいきます。また膨らんだエアバッグは手で押すだけでも、閉じることができます。そのため万が一の際に、エアバッグのせいで車内から脱出できないというケースはほとんどありません。
しかし注意したいのは、エアバッグが作動したときに発生する煙です。火薬を爆発させることでエアバッグは作動するため、どうしても作動時に煙が出てしまいます。煙で視界が悪くなってしまう可能性がある点には、十分に注意が必要です。
エアバッグの警告灯が点いた場合
エアバッグには異常を感知した場合の「警告灯」があります。その他にもいくつかの要因から警告灯が点灯してしまう可能性があります。ではエアバッグの警告灯は、どんな条件で点灯するのでしょうか。
本章ではエアバッグの警告灯が点灯する条件や対処法、また警告灯が点灯したまま走行するとどうなってしまうのかなどを解説していきます。
故障や異常を感知すると警告灯が点く
エアバッグの警告灯が点灯する条件としては、以下のようなものが挙げられます。
- 駆動回路や電気系統の異常
- バッテリー容量不足
- シートベルトバックル(受け側)の故障
- シートベルトプリテンショナーの故障
エアバッグの警告灯が点灯する原因として、可能性が高いのは駆動回路や電気系統の異常です。そのため警告灯が点灯した際は、そのまま放置せずに、しっかりと点検しましょう。
警告灯が消えないときの対処
点検して異常がないことを確認したにもかかわらず、エアバッグの警告灯が消えない場合はどうすべきなのでしょう。
確実な方法としては、整備工場やディーラーに点検依頼をすることです。自分で無理に処置をしようとすれば、他のトラブルを引き起こす可能性があります。まずはバッテリーの端子を、一旦取り外してリセットするなどを試みる方もいらっしゃいますが、これはあくまでも一時凌ぎに過ぎません。速やかに整備工場やディーラーへ相談しましょう。
ランプが点灯したまま走行すると?
エアバッグの警告灯が点灯したまま、放置して走行するのはおすすめできません。エアバッグに限らず、車の警告灯とは何らかの不具合を知らせるランプです。簡単な点検で異常が見つからなかったとしてもそのまま放置せず、しっかりと原因を究明しましょう。
エアバッグの警告灯を無視して走行してしまうと、エアバッグが正常に作動しないことに気づけない可能性があります。最悪のケースでは障害物に衝突した際、エアバッグが作動せず、人命に関わる大事故に繋がる可能性があります。
エアバッグのリコール問題とは
過去には残念ながら、エアバッグに関する事件が発生したこともあります。大きな事件は「タカタのリコール事件」です。タカタが提供するエアバッグにおいては、過去に2度、大きなリコール事件が発生しました。
ここではタカタのリコール事件について、事件の詳細を解説していきます。このような事件を繰り返さないよう、よく確認しておきましょう。
タカタのリコール事件
タカタのリコール事件は、前述したように過去2回発生しています。リコールの第一段階としては、2008年~2014年頃までに発生した「硝酸アンモニウム」の成形不良です。そして第二段階としては2014年12月〜現在までおこなわれている、第一段階でリコール対策品として使われたエアバッグの「気密性不良」によるものです。
実際に起きた暴発事件
前述したタカタのリコール事件の際、第一段階と第二段階のリコール対策前に使われていたエアバッグが暴発してしまう事件が生じました。工場内でエアバッグが暴発してしまう事件が生じましたが、幸いにもこのときはケガ人などはいませんでした。
しかしタカタ製エアバッグの暴発事故は過去にも起きており、世界では約400人が負傷し、28人が死亡しています。
エアバッグのQ&A
ここまでエアバッグがどのようなパーツであるのか、警告灯が点いた場合の対処法およびその原因、2008年から現在まで続いているタカタのリコール事件などについて解説しました。ここでは最後に、エアバッグに関するより細かなQ&Aを紹介していきます。エアバッグの修理代や取り外した場合、自動車保険に関するアレコレを解説します。
エアバッグの修理代は?
ではエアバッグが故障した場合の修理費用はいくらほどなのでしょうか。エアバッグの修理が必要になるケースとは多くの場合、事故で車全体の修理が必要なケースでしょう。
エアバッグは基本的に、ユニットごとに修理・交換をする必要があります。工賃や部品の費用を合わせると修理費用の相場は10万〜30万円前後になります。
またカーテンエアバッグやサイドエアバッグの修理も必要であれば、その費用も上乗せされます。
エアバッグを取り外したら?
前半でも解説したように、日本ではエアバッグはあくまでもシートベルトを補助するパーツです。そのためエアバッグ自体に装備義務はありません。車のエアバッグを取り外してしまっても、法令違反にはあたりません。
ただしエアバッグを自分で取り外してしまうと、配線等が適切に処理できず警告灯が点灯したままとなってしまいます。そのままでは車検に通らないため、エアバッグを取り外す際は適切な方法でおこないましょう。
エアバッグ無しの場合の自動車保険は?
エアバッグを装備していない車の場合、自動車保険などに違いはあるのでしょうか。通常、自動車保険は車両に装備されている安全装置によって、割引が適用されます。以前はエアバッグを装備することで割引が適用されていましたが、現在ではエアバッグは標準装備と認識されているため、割引は適用されません。
逆にエアバッグがない車両であっても、自動車保険の費用が変わることはありません。また事故を起こした場合でも、保険金の支払いに大きな影響はありません。
エアバッグがあってもシートベルトは忘れずに!
エアバッグはシートベルトの補助をするパーツとして、現在では多くの車に標準装備されているものです。エアバッグは本体やその周囲に何らかの異常がある場合、警告灯が点いてしまいます。警告灯を放置したまま走行していると、あらゆるトラブルに繋がる恐れがあるため、しっかりと点検しましょう。
またエアバッグが故障してしまった場合は、修理が必要です。しかしエアバッグの修理には高額な費用がかかるケースが多く、場合によっては車自体を買い替えてしまった方が良いかもしれません。
そのようなケースでは無理せず、速やかに廃車にするのがおすすめです。ぜひ「廃車引き取り110番」へ気軽にお問合せください。