運転免許証はICチップを埋め込むことで、デジタル化できます。運転免許証をデジタル化することにはたくさんのメリットがある反面、悪用されるリスクを考慮した「セキュリティの強化」なども必要となります。本記事では、運転免許証のデジタル化について、メリットやデメリット、活用シーンなどを解説します。
免許証のデジタル化とは?
免許証がデジタル化されていることをご存じでしょうか。現在は免許証にICチップを埋め込むことで、デジタル化することが推奨されています。しかしこれには便利になるというメリットがある反面、デメリットもあります。まず本章では、ICチップを活用したデジタル化免許証について解説していきます。マイナンバーカードとの一体化も検討されているため、ぜひ参考にしてください。
ICチップを活用した免許証
運転免許証の偽造や変造を防止することを目的に、ICチップを埋め込んだ「デジタル免許証」にすることが推奨されています。ICチップを運転免許証にすることで、偽造が難しくなります。そのため「なりすまし」や「偽造」が生じにくくなります。
不正な銀行口座の開設や振り込め詐欺といった被害を減らすうえで、デジタル化は有効と言えます。さらにカードに暗証番号を設けることによって、スキミングなどによって、個人情報を盗まれてしまうリスクも減らせます。
マイナンバーカードとの一体化も検討中
運転免許証はICチップによるデジタル化に伴って、個人番号カード(マイナンバーカード)と一体化することも議論または、検討されています。マイナンバーカードと運転免許証を一体化することによって、いくつものカードを持ち歩く必要がなくなります。
複数のカードを持ち歩く手間が省けるだけでなく、運転免許証の住所変更などが手軽なこともメリットといえます。さまざまな手続きをワンストップでおこなえるため、引っ越しなどの際に手間が少なく済みます。
免許証をデジタル化することのメリット6つ
運転免許証をデジタル化、または一体化することにはいくつかのメリットがあります。本章では免許証をデジタル化するメリットとして「手続きが全国どこでも可能」「ワンストップで手続きできる」「免許証不携帯になりにくい」「住所変更がしやすい」「後から免許証を発行できる」「免許更新の期限が延びる」といった6点を解説します。
手続きが全国どこでも可能になる
運転免許証がデジタル化され、マイナンバーカードと一体となることで、あらゆる手続きが全国どこでもおこなえるようになります。
それに加えて現在、免許センターにてマイナンバーカードの発行ができるようになることも検討されています。マイナンバーカードが発行できる場所が増えることで、カード保持者が増えることも期待できるでしょう。受付時間が限られていて、平日に手続きすることが難しいという方にとっても嬉しいでしょう。
ワンストップで手続き可能
また各種の手続きがワンストップでおこなえるようになることも、免許証をデジタル化することのメリットです。
例えば、運転免許証を所持している方が引っ越しによって住所が変わる場合。現在では、自治体の窓口で住所変更をするのとは別に、運転免許証の住所も変更しなければなりません。しかし運転免許証とマイナンバーカードが一体化していれば、住所変更の手続きが一度でおこなえます。
免許証不携帯になりにくい
車を運転する際、運転免許証を持っていないと「免許不携帯」の交通違反となってしまいます。マイナンバーカードさえ持っていれば、免許不携帯にならないため、交通違反のリスクも軽減できます。
また検問などによって警察官から免許証の提示を求められた際、免許証と一体化したマイナンバーカードを掲示することで確認できるような環境整備も進められています。
免許証の住所変更がしやすい
前述したように、免許証とマイナンバーカードが一体化していれば、引っ越しをした際の「住所変更」もしやすいでしょう。一体化されていない場合、マイナンバーカードと別に、運転免許証の住所変更の手続きもしなければなりません。
平日に時間を作るのが難しい方にとっては、かなり負担が大きいでしょう。しかしマイナンバーカードと一体化していることで、市区町村役場へ一度出向くだけで、住所変更の手続きができます。
後から免許証を発行できる
マイナンバーカードと一体化した免許証を発行してもらったとしても、後から「運転免許証」を別途、発行してもらうことは可能です。場合によっては、まだまだマイナンバーカードとは別に「免許証のコピー」を掲示することが求められる可能性があります。
このようなケースでも、必要に応じて物理カード(免許証)を発行してもらえます。現在このような必要性が減るようデジタル化が進んでいますが、万が一のときにも心配いらないことは念頭に置いておきましょう。
免許更新の期限が延びる
免許証の更新をする際も、マイナンバーカードと一体化することにメリットがあります。通常、住所地以外で免許を更新する場合は「誕生日まで」が更新期限でした。しかしマイナンバーカードと一体化した免許証ならば全国どこでも、通常の免許更新と同様に、「誕生日1か月後」まで更新できます。
住所地以外における免許更新の期限が延びるため、忙しい方にも嬉しいポイントでしょう。
免許証をデジタル化することのデメリット
運転免許証をデジタル化することには、よいこともたくさんありますが、デメリットとなってしまうこともあります。本章では免許証をデジタル化することのデメリットとして「(場合によっては)更新の手間が増える」「車検証は対応していない」「悪用リスクがある」といった3点に着目して解説していきます。デメリットも考慮して検討しましょう。
更新の手間が増えることもある
マイナンバーカードと運転免許証を併用している場合は、かえって免許更新の手間がかかってしまう可能性もあります。免許証と一体化している「マイナンバーカード」と「運転免許証」の両方を利用している方は、どちらもそれぞれ更新しなければなりません。
基本的にマイナンバーカードと一体化している場合、両方とも保有するケースは少ないかもしれませんが、一応留意しておきましょう。
車検証はデジタル化されない
マイナンバーカードは、運転免許証と一体化されますが「車検証」には対応していません。車検証も2023年(令和5年)1月4日以降から「電子車検証」に切り替わるとされていますが、これにマイナンバーカードは含まれません。
そのため車検証については、従来通り免許証などとは別に携帯しなければなりません。
カード悪用のリスクが高まる
免許証に限らず、デジタル化することには、物理的に携帯することとは違ったリスクが生じます。
マイナンバーカードや運転免許証など、個人情報がつまったカードは、確定申告や本人確認書類としての提示など、さまざまなシーンで活用されます。そのため個人情報の取り扱いには十分に気をつけなければなりません。
ちなみに、マイナンバーなどの個人情報を不正な利益のために悪用した場合、3年以下の懲役または150万円以下の罰金、もしくはその両方が科されます。厳しい罰則があるため、絶対にやめましょう。
免許証・マイナンバーカードの活用シーン
免許証やマイナンバーカードは、さまざまなシーンで活用される本人確認書類の一つです。しかし日常的に活用するシーンを除くと「あ、こんなときにもマイナンバーカードが必要になるのか!」と意外に感じるケースもあるでしょう。本章では、免許証やマイナンバーカードを活用するシーンを紹介します。いざというとき「携帯していなかった」とならないように、確認しておきましょう。
マイナンバーカードの活用シーン
マイナンバーカードは、次のようなシーンで利用できる本人確認書類です。個人番号を確認することを目的に利用されるシーンとしては、転職(就職)や出産、病気、育児、年金受給などです。
公的個人認証サービスを利用する場合は、市町村・都道府県、行政機関等が運用する付加サービスを使う際にマイナンバーカードが必要となります。また電子証明書による、民間部門を含めた電子申請・取引等の際にもマイナンバーカードが必要です。
運転免許証の活用シーン
運転免許証を活用するシーンもまた、思っている以上にさまざまなケースがあります。まずは、自動車(または原付)などを運転するとき。このとき免許証を携帯していなければ、前述したように「免許不携帯」として、交通違反になってしまいます。
また、臓器提供の意思表示として、運転免許証の裏面が利用されています。さらにあらゆる場面で、運転免許証は「本人証明のため身分証明書」として活用できます。
免許証をデジタル化して、手続きの手間を減らそう
運転免許証のデジタル化について解説しました。免許証をデジタル化することには「手続きが全国どこでも可能」「ワンストップで手続きできる」「免許証不携帯のリスクが減る」「免許証の住所変更が簡単になる」「後からでも、免許証を発行できる」「免許更新の期限が延びる」といった6つのメリットがあります。しかしその反面、デメリットもあるためよく検討しましょう。