自動車メンテナンスは自分でできる項目もありますが、専門業者ならではの項目もあります。チェック項目に沿ってメンテナンスをすることで、よりスムーズに車の状態をチェックできます。
本記事では自動車メンテナンスの際にチェックする項目や依頼先の業者、外車のメンテナンスなどについて解説をしていきます。
自動車メンテナンスとは
安全に自動車を運転するためには、メンテナンスが不可欠です。メンテナンスが行き届いていない自動車を運転し続けるのは、リスクが高く思わぬ事故を招く可能性があります。
しかし、誰もがメンテナンスは大事と分かっていても、ついつい後回しにしてしまう方もいらっしゃるでしょう。本章では自動車メンテナンスの重要性について解説します。
メンテナンスの重要性
メンテナンスを怠った自動車を運転し続けることは、非常に危険な行為です。事故を起こしてしまう恐れがあるのはもちろんのこと、メンテナンスを怠っていると重大な故障が発生する可能性もあります。場合によっては、修理費用が高額になることもあります。
たとえばエンジンオイルの点検を怠ってしまうと、エンジンそのものへ重い負担がかかることになります。継続的に負担をかけてしまうと、のちに走行不可能になりかねません。
またブレーキランプが切れてしまえば、後続車に停止を知らせることが遅れてしまいます。
日常的に自動車のメンテナンスをおこなうことは、所有者の義務。安全運転をするだけでなく、自動車そのものを正常な状態にしておくことも重要です。
車検との違い
メンテナンスと聞くと「車検」をイメージしてしまう方もいらっしゃるでしょう。しかし車検とメンテナンスではそもそもの意味が異なります。
車検とは、国が定めた保安基準を対象の自動車がクリアしているのかをチェックするものです。その際のチェック項目は、最小限のものに限られているため、車検をクリアした自動車だからといって「絶対に安全な車」とは言い切れません。軽自動車と自家用乗用車の場合は、12か月点検時に26項目、24か月点検時に56項目をチェックします。
しかし車検の頻度は、そこまで頻繁ではないためやはり日々のメンテナンスは欠かせないでしょう。
メンテナンスとは、車の安全性を確保する「点検整備」のことです。つまり車の保有者は、法定点検整備(車検)と日常点検整備のどちらもおこなう義務があるということです。
自分で自動車メンテナンスをする項目
自動車のメンテナンスは、できる限り自分でおこなうのがおすすめです。というのも自動車のメンテナンスを、毎回業者に頼んでいてはかなりの費用がかさんでしまいます。しかし初めて自分でメンテナンスをおこなおうとすると、何からチェックすべきなのか分かりませんよね。そこで本章では、自動車メンテナンスでチェックすべき項目を6つ紹介します。
洗車
まずは自動車を洗車しましょう。頻度としては、1か月に1回程度が望ましいです。定期的に洗車をすることは、ただ自動車が綺麗になるというだけでなく、大気中に舞っているチリや埃などを除去する効果もあります。これらのチリや埃が自動車に付着すると、水垢の原因となります。
そして水垢を放置すると、固着してしまいます。固着した汚れは塗装を傷める原因にもなります。無理に落とそうとすることで、かえって車を傷つけてしまう可能性もあります。そのため定期的に洗車をし、チリや埃が固着するのを防ぐことが重要です。
自分で洗車するときは、以下のアイテムを準備しておきましょう。
- 水
- バケツ
- カーシャンプー
- やわらかいスポンジ
- 拭き上げ用クロス
スポンジとクロスは、ボディ用とタイヤホイール用で2枚ずつ準備しておきましょう。また洗車をする際は基本的に、車体の上から下に向かって洗います。
タイヤ
次にタイヤの点検をおこないます。タイヤの溝は目視でも確認できます。そしてタイヤの空気圧は、エアゲージを使うことでチェックできます。タイヤの点検は1か月に1回程度が望ましいです。
自動車のタイヤ溝は、道路交通法によって1.6mm以上といった決まりがあります。溝が擦り減ったタイヤでそのまま走行すると、法律違反で処罰される可能性もあるため注意してください。それだけでなく、溝が1.6mm以上の状態であっても、摩耗が進んでいることでスリップしてしまう可能性もあります。
また空気圧も定期的に調節しなければなりません。エアゲージによって適正値より空気圧が高くないか低くはないかをチェックしてください。空気圧が適正でなければ、タイヤの消耗が早くなるのはもちろんのこと、燃費が悪くなる可能性もあります。
バルブ
ヘットライトバルブも定期的にチェックし、必要に応じて交換してください。交換のタイミングは、バルブの種類によって3〜15年おきと開きがあります。ヘッドライトはたとえ1灯でも切れてしまっていると、道路交通法の整備不良に該当します。ライトが切れたまま走行していると、罰せられる可能性があります。
ヘッドライトに使用されるバルブという電球は、おもに「ハロゲンランプ」「LED」「HID」の3種類があります。交換時期の目安はそれぞれ異なります。
ヘッドライトを交換する際は「HID」のみ、注意しなければなりません。HIDは点灯時の電圧が高いため、交換時にミスがあると他の電装品にも悪影響を及ぼす可能性があります。交換には専門知識も要するため、業者に依頼をするのがおすすめです。
冷却水
クーラントとも呼ばれる冷却水は、エンジンを冷やすために使われる液体のことです。交換頻度としては、緑や赤は2年、青やピンクは7〜10年で交換すると良いでしょう。
冷却水が劣化してしまうと言うまでもなく、エンジンを冷やす性能が低下してしまいます。エンジンが高温になるとオーバーヒートを招きます。冷却水の効果には、エンジンの凍結や錆を防いでいくれますが、劣化をすることで水垢が発生して効力が落ちることになります。
冷却水を交換する際は、しっかりと中身を入れ替える必要があります。劣化した冷却水が残ったままの場合、いくら新しい冷却水を継ぎ足しても、古い水と混ざって劣化を早めてしまいます。交換するときは必ず、古い水を全て抜き取ってから、新しい水を入れるようにしてください。
ワイパー
ワイパーもしっかりとチェックしてください。ワイパーのなかでも特に注意してチェックしたいのが、ガラス面に直接触れる「ゴム部分」と、そのゴム部分を固定する「ワイパーブレード」の2点です。交換時期の目安としては、ワイパーゴムは劣化が早いため1年ごとに、ワイパーブレードは2年ごとに交換する必要があります。
劣化しているワイパーゴムを放置していると、雨水をしっかりとふき取れなくなります。視界が悪くなり、事故を引き起こしてしまう可能性があるため、しっかりと新しいものに交換してください。
ワイパーを交換する際は、ワイパー本体についているストッパーを横にスライドさせることで脱着できます。そしてゴム部分はブレードから取り出して、新しいゴムに交換するだけでOKです。しかし車種によって、使用するワイパーが異なるためよく確認しましょう。
フィルター
エアコンフィルターは、社外の空気を社内へ放出する際にチリや埃を除去してくれます。フィルターを交換する頻度としては、1年ごとの交換がおすすめです。フィルターが除去するものには花粉や黄砂、PM2.5などもあり、健康被害を引き起こすものも除去してくれます。
エアコンフィルターを交換せずに使い続けると、汚れが詰まってしまい、風がうまく通らなくなってしまいます。冷暖房の効き目が悪くなるだけでなく、カビが発生して社内に異臭を放出してしまう可能性もあります。
フィルターを交換する際は水洗いできるタイプであれば、こまめに丸洗いするのがおすすめです。しかし水洗いをしても、カビやチリを完全に落とすことは難しいため、1年に一度はしっかりと交換しましょう。
業者で自動車メンテナンスをする際の項目
自動車のメンテナンスは自分でもおこなえます。しかし、毎回自分でメンテナンスをするのは大変、セルフメンテナンスばかりでは見落としがないか不安という方も、たくさんいらっしゃるでしょう。そんなときは、定期的に業者へメンテナンスを依頼するのもおすすめです。
では業者で自動車メンテナンスをおこなう際は、どのような項目をチェックしてくれるのでしょうか。本章では、専門業者のメンテナンスをする際の項目を5つ紹介します。
エンジンオイル
まず業者では「エンジンオイル」をチェックします。エンジンオイルは使ううちに劣化していくため、6か月おき、または走行距離5,000kmごとに交換するのが望ましいでしょう。しかし車種によって、エンジンオイルを交換する頻度が異なります。まずはメーカーが推奨する交換頻度をチェックしておきましょう。
エンジンオイルは、エンジンをスムーズに稼働させるためには欠かせないものです。それだけでなく、エンジン本体を守る効果もあり内部の気密性を保つ、汚れを除去する、エンジンの熱を冷ます、内部の酸化を防ぐといった効果もあります。
エンジンオイルの交換方法は、上抜きと下抜きという2つがあります。素人でも交換することはできますが、工具を揃える、廃オイルの処理などやや手間がかかります。
タイヤ
タイヤのメンテナンスは、本体を交換するだけでなく、定期的に位置を変えるといった「ローテーション」も必要です。そのタイミングの目安としては、走行距離5,000〜10,000kmごとに1度です。
タイヤは4つ全てが同じ速度で劣化するわけではありません。装着している位置によって摩耗が進むスピードや箇所に違いがあります。そのため4つ全てを均等に使うためには、定期的にローテーションしなければなりません。
長期間タイヤを同じ位置のままにしていると、一部だけ消耗する、寿命が短くなるといった可能性があります。
しかしタイヤのローテーションは、専用の工具を要します。またジャッキアップも必要となるため、素人がおこなうメンテナンスとしては、かなり難易度の高いものとなっています。
エアクリーナー
エアクリーナーとは、車のエンジンに取り込む空気から、不純物を除去するフィルターです。クリーナーはエンジンの出力を保つために使われるものであり、2年に1回のペース、または走行距離20,000kmごとに1回は交換してください。
エンジンとは、ガソリンと空気の混合ガスが爆発する際に生じたパワーで稼働します。そのためエアクリーナーが劣化していると、異物を除去し切れず、うまく爆発が生じなくなってしまいます。
エアクリーナーを交換する際、埃が多かったり黄砂や花粉が舞ったりしている地域の場合は、交換のタイミングが早まる可能性があります。クリーナーの交換は比較的、手軽におこなえます。ボックスのクリップを外し、クリーナーを外し、新しいものと入れ替えてください。
バッテリー
自動車に搭載されている蓄電池であるバッテリーは、2〜5年に1回の頻度で交換しなければなりません。バッテリーは、カーオーディオやエアコン、カーナビなど、さまざまな電子機器に搭載されています。それだけでなく、エンジンスターターやウィンカーといった電装品やエンジンにも電力を送っているものです。
当然、バッテリーも使っていくうちに劣化するものです。電気を十分に溜めることができず、放置しているとバッテリーが上がってしまい、突然車が動かなくなってしまう可能性もあります。
車種によって、適合するバッテリーは異なります。自分でバッテリーを購入する場合は、しっかりと規格を確認してください。
オイル類
エンジンだけでなくブレーキにもオイルが必要です。交換の頻度としては、最低でも4年に1回は交換してください。ブレーキオイルの劣化は、性能に大きく影響を及ぼします。
ブレーキオイルは油圧ブレーキを作動させた際、ペダルからブレーキまでの制動力を伝える役割を担っています。ブレーキオイルは、オイル内に熱や水が混入することで劣化します。そのため長期間ブレーキオイルを交換しなければ、ブレーキの効き目が落ちてしまいます。
ブレーキオイルを交換する際は、沸点の違いによっていくつかの種類があります。車種などをもとに、業者と相談したうえで何のオイルを使用すべきか検討しておくと良いでしょう。
自動車メンテナンスの依頼先
自動車メンテナンスを依頼する先としては、いくつかの業者が候補に挙がります。本章では自動車メンテナンス先として、カー用品店や販売店・ディーラー、ガソリンスタンド、整備工場などを紹介します。
それぞれの依頼先に関する特徴などを解説していきます。セルフメンテナンスをするのは大変だと感じる方は、ここで紹介するなかから依頼先を検討してみてください。
カー用品店
カー用品店では、オイル類を始めとしたさまざまなパーツを販売しています。またパーツを購入する際、工賃を追加で支払うことでその場で取り付けてくれます。もちろん常にメンテナンスを受けられるというわけではありません。
そのため、オイル類やパーツ類を購入する際にメンテナンスを利用する際におすすめです。またカー用品店のなかには、車検や整備などに対応している店舗もあります。パーツを購入する際は、販売店がメンテナンス依頼を請け負っているのか事前に確認しておくと良いでしょう。
販売店・ディーラー
新車(もしくは中古車)を購入した販売店やディーラーも、メンテナンス先としておすすめです。特にディーラーは車種についての知識が豊富であるため、自動車を安心して任せることができるでしょう。また販売店へそのままメンテナンスを依頼するのも、手軽な方法です。ディーラーは扱うメーカーが決まっており、メンテナンスに特殊な技術が必要となる車種でも頼めます。
しかし中古車の場合は一部例外があり、メンテナンスを請け負っていないこともあります。事前に確認しておきましょう。
ガソリンスタンド
ガソリンスタンドでも、自動車のメンテナンスや整備を請け負っています。最近のガソリンスタンドではガソリンの補充だけでなく、メンテナンスやカーリースといった、車に関するさまざまなサービスを展開しているようです。
もちろん洗車やオイル交換も請け負っており、なかにはボディのコーティング加工や車検を手がけている店舗もあります。近所のガソリンスタンドがどのようなメンテナンスを依頼できるのか、事前にチェックしておくと、万が一のときにもスムーズに依頼できるためおすすめです。
整備工場
自動車販売店やディーラーは、基本的に自社で扱っているメーカーのメンテナンスしか請け負っていません。しかし自動車整備工場は、特定のメーカーだけでなくさまざまなメーカーに対応しています。近所に自分の自動車を扱っている販売店やディーラーがない場合は、整備工場を探してみるのも良いでしょう。
ただしこの場合でも、稀に自分のメーカーや車種が対応していないこともあります。そのため、事前に確認しておくのがおすすめです。またメーカーだけでなく、どこまでのメンテナンス依頼に対応しているのか、また十分な技術力があるのかも含めて確認しておく必要があるでしょう。
外車のメンテナンス
ここまでは基本的に、国産車のメンテナンスに関する説明をしました。しかしここで気になるのが外車の場合。外車は国産車と比べると依頼先に制限がかかる、費用がかかるといったマイナス面もあります。
本章では外車のメンテナンスについて、対応している依頼先や費用が高額になる理由などを解説していきます。外車を所有している方は、ぜひ参考にしてください。
外車メンテナンスの依頼先
外車のメンテナンスを依頼できる業者としては、以下の3つです。
- 外車のディーラー
- 外車修理ができる工場
- 外車を専門に扱う修理店
まず外車のメンテナンス先として挙げられるのは、自動車を購入した「ディーラー」です。ディーラーは外車を整備する際に必要な設備や工具が揃っています。メーカーや車種に応じ必要なメンテナンスをおこなってくれます。
次に「外車修理ができる工場」。外車の修理に対応している依頼先は、ディーラーだけでなく、整備工場も該当します。また「外車修理専門店」は外車を専門に扱っているため、実績も豊富であり、安心して自動車を任せられます。
外車のメンテナンス費用が高くなる理由
外車のメンテナンスは、費用が高額になる可能性があります。その理由として考えられるものは以下の4つ。
- 部品代に輸送費が含まれる
- 電気系統パーツが故障しやすい
- 車検代が高くなりやすい
外車のメンテナンスをする場合は、部品交換が必要になるケースが多いです。またその際の部品代にも部品そのものの費用だけでなく、海外からの輸送費も含まれるため、高額になる可能性があります。
また電気系統パーツが故障しやすいというのは、外車の電気系統は高温多湿な環境に弱い傾向にあることが原因です。日本は湿度が高いため、電気系統がダメージを受けやすい環境といえるでしょう。
車検代が高くなりやすいことも、外車のメンテナンス費用が高額になる理由です。車検の費用が割高になる原因も、ここまでの内容と同様です。
メンテナンス費用を抑えるコツ
メンテナンス費用を抑えるためには、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 運転方法に気をつける
- 点検・整備業者を吟味する
運転方法に気をつけるというのは、急ハンドル・急発進・急ブレーキなどを避ける運転をすることです。「急」がつく操作は、自動車に負担をかけるため、メンテナンス費用が高額になりやすいです。また点検・整備業者を吟味するというのは、しっかりと依頼先の技術力を見極めるということです。
メンテナンス以外の維持費
メンテナンス以外にも自動車を保持していくためには、いくつかの維持費がかかります。ではメンテナンス以外の維持費とは、どのようなものなのでしょうか。以下がその内訳です。
- 乗車にかかる費用
- 所有にかかる費用
乗車にかかる費用というのは、ガソリン代や駐車場料金、高速使用料金などのことを指します。そして所有にかかる費用というのは、自動車税や自動車重量税、保険料などが該当します。
自動車は定期的にメンテナンスしておこう!
自動車のメンテナンスについて解説しました。セルフメンテナンスの際にチェックする項目や、業者でチェックしてくれる項目などもお分かりいただけたでしょう。またセルフでメンテナンスをするのが大変という方の場合は「カー用品店」「販売店・ディーラー」「ガソリンスタンド」「整備工場」といった依頼先にお願いすると良いでしょう。