軽自動車税は普通自動車よりも、税金を抑えられるでしょう。しかしすべての自動車の軽自動車税が安く抑えられるわけではありません。本記事では軽自動車税とはどのようなものなのかはもちろん、税金を抑える方法やおすすめの車種を紹介します。
軽自動車税とは?
初めて、軽自動車を購入する方にとっては「軽自動車税」がどのような税金なのかわからない方もいらっしゃるでしょう。普通自動車の場合は「自動車税」ですが、軽自動車の場合は少し異なります。
では軽自動車税とはどのようなものなのでしょう。本章では自動車税は何のために支払うのかはもちろん、軽自動車税と自動車税との違いなどを解説していきます。
そもそも自動車税とは
自動車税というのは、毎年4月1日の時点で、自動車の保有者に対して課される税金です。保有者というのは、上記の日付の時点で車検証に名前が記載されている人のことです。普段の使用者=法律上の保有者というわけではありません。
そして自動車税は、2019年10月1日以降に「自動車税」から「自動車税種別割」へ、「軽自動車税」から「軽自動車税種別割」へと名称が変わりました。
また軽自動車税とは、自動車を購入した時点で支払い義務が生じる「環境性能割」と、継続的に所有していることで課される「種別割」の2種類があります。
軽自動車税と自動車税の違い
自動車税と軽自動車税にはどのような違いがあるのでしょうか。基本的に自動車税とは、自動車の所有者に対し、都道府県が課税する地方税のことです。この点は、軽自動車税であっても同様です。
前述したように自動車を購入した時点で、支払い義務が発生する環境性能割と、毎年4月1日時点の所有者を対象とした自動車税(種別割)の2種類があります。
前者の場合は軽自動車と自動車、どちらの場合も「取得金額×税率」によって算出可能です。税率によって税金の支払い金額が大きく異なるでしょう。軽自動車のほうが税率が低いため、支払う税金も安くなります。
二輪・三輪の軽自動車税
保有している自動車が二輪なのか三輪なのかによっても、税額は変わります。
660cc以下の軽自動車の場合は、四輪以上または三輪のどちらかに分けられます。三輪の場合は税額が3,900円、新規登録後13年超の車両では4,600円です。
そして四輪以上の自動車の場合は「自家用」か「営業用」に分けられるため、それぞれの税額を以下で一覧にしているため、確認してください。
区分 | 税額 | 新規登録後13年超の車両 | |
自家用 | 乗用 | 10,800円 | 12,900円 |
貨物用 | 5,000円 | 6,000円 | |
営業用 | 乗用 | 6,900円 | 8,200円 |
貨物用 | 3,800円 | 4,500円 |
上記のように同じ自動車であっても、新規登録後13年未満の車と13年超の車両の場合でも税額が異なります。
次に二輪に分類される車両の税額について解説します。二輪に分類される自動車は、以下3タイプです。
- 二輪の小型自動車(250cc超)
- 二輪の軽自動車(125cc超~250cc以下)
- 原動機付自転車(125cc以下)
二輪の小型自動車の税額は6,000円、二輪の軽自動車の場合だと3,000円です。そして原動機付自転車は、大きさによって以下のように税額が決められています。
区分 | 税額 |
三輪以上で20cc超~50cc以下のもの | 3,700円 |
二輪・90cc超のもの | 2,400円 |
二輪・50cc超90cc以下 | 2,000円 |
50cc以下 | 2,000円 |
軽自動車税の支払い方法
軽自動車税は、どのように支払う税金なのでしょうか。ここでは支払い時期や支払い方法などを解説していきます。
支払い方法によっては、手数料が発生することもあります。反対により支払いが手軽になったり手数料を節約できたりすることもあるでしょう。いつまでに支払うべきなのか、どのような決済方法を利用するのがお得なのかを解説していきます。
税金の支払い時期は?
軽自動車税の支払い時期はいつなのでしょうか。いつまでに支払わなければならないのでしょう。まず軽自動車税であっても、通常の自動車税と同様に毎年4月1日時点で、自動車の所有者に支払義務が発生します。管轄の市町村によって、細かな日付は異なりますが、納付書はおよそ5月上旬に届きます。
納税期限は5月31日までとなっている場合が多いです。もちろん一部の自治体は時期が多少異なるため、詳しくはお住まいの自治体で調べてみてください。
期日までに支払いができなかった場合は、延滞金が発生することもあります。納付書の期限が切れてしまうため、コンビニなどでの支払いはできません。それでも延滞が続いてしまうと、督促状や催告書が送られます。最悪の場合は、財産が差し押さえられてしまう可能性もあるため、忘れずに納税してください。
軽自動車税を支払う方法
軽自動車税の支払い方法は、基本的に公共料金の支払いなどと同様です。銀行やコンビニ、郵便局などで支払ってください。口座振替にも対応しており、クレジット決済やスマホ決済が可能となっている自治体もあります。
しかしクレジット決済で納税する場合は、金額によって決済手数料が発生することもあります。たとえば10,800円の軽自動車税を支払う場合、東京都渋谷区の場合は220円、大阪市は125円の手数料が発生する点は留意してください。
各銀行の公式アプリから納税できる場合も多く、一例としては「りそなグループアプリ」が挙げられます。同アプリでは無料で自動車税と納税できるため、クレジット決済よりもお得です。
軽自動車税を抑えるには?
軽自動車税を抑える方法はいくつかあります。基本的な方法としては「同じ車を13年以上乗らない」「環境に配慮した車種を選ぶ」「購入のタイミングを見極める」といったものです。
それぞれについて、以下で細かく解説していきます。「軽自動車税をもう少し抑えたいな」と考えている方は、ぜひ参考にしてください。
13年以上乗らない
軽自動車税を少しでも抑える方法としては、同じ車を13年以上乗らないという方法があります。つまり13年おきに車を買い換えるということです。
これは2015年に新車登録から13年以上のガソリン車に対して「経年車重課」が課されるためです。経年車重課とは、通常の軽自動車税(13年未満まで)に約20%上乗せするというもの。13年以上、同じ車に乗っていると、同じ自動車であっても税金が割高になってしまいます。
環境に配慮した軽自動車を選ぶ
そもそも購入する車両も、環境に配慮した軽自動車を選ぶと税金を抑えられます。というのも、軽自動車税のグリーン化特例が適用されることで、税額を抑えられるという仕組みです。
「軽自動車税のグリーン化特例」が適用されることで、2021年4月1日〜2023年3月31日までに新車登録をした場合は、翌年度分の軽自動車税を最大約75%まで抑えられます。
減税対象となる車両は、三輪以上の軽自動車や電気軽自動車、天然ガスを用いた軽自動車です。
購入するタイミングを見極める
軽自動車を購入するタイミングによっては、税額が異なります。前述したように、軽自動車税は4月1日の時点で、車を所有している人に支払い義務が生じます。4月2日に購入した車の場合は、最初の一年分の税金がお得になるのです。
無理に4月2日まで待つ必要はないですが、4月前後に軽自動車を購入する場合は、2日まで待つのがおすすめです。もちろん翌年以降は、通常どおりの軽自動車税を支払わなければなりません。
税金から見たおすすめの軽自動車3つ
どのような軽自動車が、グリーン化特例の対象車種となるのでしょうか。グリーン化特例は、さまざまな車種が対象となっていますが、代表車種として「ダイハツ ムーヴ」「ダイハツ タフト」「三菱 ekクロス」の3種類を紹介していきます。
税金がお得になる車種から、購入する軽自動車を選びたいという方は、本章を参考にしてみてください。
ダイハツ「ムーヴ」
エコカー減税が適用される車種として、ダイハツの「ムーヴ」もおすすめです。そもそもグリーン化特例では、排出ガスの削減及び燃費性能に優れており、環境にかかる負担が小さい車種には、減税が適用されます。この特例は、適用条件の見直しとともに、令和5年度課税分まで延長されることとなりました。
ダイハツのムーヴの場合、LやX“SA III”などが対象となっており、エコカー減税が適用されることで、税額が25%軽減されます。他にもムーヴには対象モデルが多数あるため、詳しくは以下の公式サイトで確認してみてください。
https://www.daihatsu.co.jp/learning/tax/green/tax_move.htm
ダイハツ「タフト」
ダイハツの「タフト」もエコカー減税が適用される代表車種のひとつです。具体的には以下のようなモデルが対象となっています。
- X
- Xターボ
- G
- G “クロム ベンチャー”
- G“ダーククロム ベンチャー”
- Gターボ
- Gターボ “クロム ベンチャー”
- Gターボ“ダーククロム ベンチャー”
- X
- Xターボ
いずれの車種も、エコカー減税が適用されることで最大50%減税されます。さらに環境性能割においては非課税となるためおすすめです。
三菱「ekクロス」
三菱の「ekクロス」は電気自動車であるためエコカー減税が適用されます。三菱自動車のekクロスは補助金の対象です。加えて地方自治体が独自におこなっている補助金やエコカー減税などの優遇が受けられます。
「eKクロス EV」を購入した場合、受け取れる補助金は550,000円です。さらに税制優遇や自治体の補助金600,000円が追加されます。最大1,165,600円分の優遇が受けられるためおすすめです。
ただし補助金や税制優遇制度には、対象となる登録期間などに条件があるため、留意しておきましょう。
自動車税の他に発生する費用
自動車を保有していると、自動車税の他にもさまざまな税金や維持費がかかります。具体的には「自動車重量税」「環境性能割」「ガソリン税」「消費税」などです。ここでは自動車税の他に発生する費用として、これらの税金を説明していきます。
自動車を購入する際は車両本体の費用だけでなく、維持費も踏まえて検討しなければなりません。
自動車重量税
自動車重量税とは名前のとおり、自動車の「重量」に応じて金額が異なる税金のことです。重量ごとに変動する金額を、以下で一覧にしているためチェックしてください。
自動車の重量 | エコカー | エコカー対象外(13年未満) | エコカー対象外(13年経過) | エコカー対象外(18年経過) |
軽自動車 | 5,000円 | 6,600円 | 8,200円 | 8,800円 |
0.5トン | 5,000円 | 8,200円 | 11,400円 | 12,600円 |
〜1トン | 10,000円 | 16,400円 | 22,800円 | 25,200円 |
〜1.5トン | 15,000円 | 24,600円 | 34,200円 | 37,800円 |
〜2トン | 20,000円 | 32,800円 | 45,600円 | 54,000円 |
〜2.5トン | 25,000円 | 41,000円 | 57,000円 | 63,000円 |
〜3トン | 30,000円 | 49,200円 | 68,400円 | 75,600円 |
環境性能割
環境性能割というのは、燃費性能に応じて税額が異なる税金であり、自動車の購入時に支払い義務が生じます。2019年10月以前は「自動車取得税」と呼ばれていましたが、10月以降は「環境性能割」となりました。
環境性能割は車両の本体価格+オプション代金に応じて、税率を上乗せする税金です。乗用車の場合は0〜3%、軽自動車であれば0〜2%が上乗せされます。
その他の税金
自動車を保有するためには、これまでに解説した税金の他にもガソリン税や消費税が課されます。ガソリン税とは「揮発油税」と「地方揮発油税」の2つを合わせた総称。ガソリンの販売価格に含まれています。
もちろん車両本体を購入する際は、本体価格に消費税がプラスされます。自動車は高額な買い物です。消費税もそれなりの金額となってしまうため、必ず「税込価格」をチェックしたうえで購入してください。
軽自動車税の申告書
軽自動車の名義変更や住所変更などをおこなう際は、申告書が必要です。では申告書はどのように入手すれば良いのでしょうか。本章では最後に、軽自動車税の申告書の入手方法や、書類を記入する際の注意事項などを解説していきます。
各種の事務手続きを自分でおこなおうと考えている方は、本章の内容を参考にしてください。
申告書の入手方法
自分で自動車の名義変更や廃車手続き、住所変更といった各種手続きをおこなう場合は、それぞれ申告書が必要です。申告書は軽自動車検査協会に隣接している「地方税申告窓口」の付近で配布しています。
記入時には、書き方の例も掲示されているため、それに従って必要事項を書き込んでいきましょう。
記入時の注意事項
繰り返しになりますが、申告書を記入する際は、窓口付近に設置された「書き方の見本」を参考にしてください。
基本的に書類に記載する項目としては「車検証記載の内容」や「新旧所有者または使用者の氏名」などです。
申告書記入時の注意事項は、以下のとおりです。
- 記入は黒いボールペンでおこなう(消えないもの)
- 記入ミスがあった場合は、新しい軽自動車税申告書に書き直す(※)
※訂正印の押印をすることでも修正可能です
税金の抑えられる軽自動車がおすすめ!
軽自動車はグリーン化特例対象車両も多く、税金を抑えられる自動車として人気です。13年以上乗り続けない、環境に配慮した車種を選ぶ、4月2日以降に購入するといったポイントを押さえることで、よりいっそう税金を節約できます。
軽自動車税などは固定費となるため、安く抑えることで大きな節約につながります。この機に税金を抑えられる軽自動車へ乗り換えてはいかがでしょうか。