車の年式を用いるのは、単純に新しい、古いを区別するときだけではありません。車を所有するなら他にも税金や保険、維持費へ年式が及ぼす影響に関して正しい認識が必要です。
ここでは、車の年式とは何か、また年式が影響するお金について解説します。
車の年式とは?
車の「年式」とは、一言でいえばその車の誕生年を表す指標です。国内では一般に、その車が製造された年ではなく、そのあと初めて登録された年を表します。このため、「2023年式」や「令和5年式」など、年式を見ればその車がどれくらい古いかが判断可能です。
ここでは車の年式とは何かについて解説します。
国内では一般に車の登録日
年式とはもともと、機械類の製造年による型式を表します。しかし日本においては年式は一般に、車を新車として登録した日、初年度登録年月日を表すのが通常です。これには海外と国内の、車の登録における習慣が関係しています。
車は普通自動車なら陸運局、軽自動車であれば軽自動車検査協会を通して登録しない限り公道で乗ることはできません。厳密にいえば工場で生産された日、製造日と登録日は違います。しかし日本ではその期間が短いことから、年式を初年度登録年月日で表すようになりました。
輸入車は車の製造日
車の年式が、もともとの意味通りに製造日を表している場合もあります。国内では主に輸入車に多い考え方ですが、これは輸入車の流通にかかる期間の長さが主な原因です。
輸入車は海外で製造され、さまざまな流通ルートを使って国内に持ち込まれます。
通常はコンテナ船でいくつもの港を経由するため、注文後ちょうど在庫があり、すぐに港を出航してもかかる期間はおよそ2〜3週間です。人気車種で順番待ちとなると年単位となることもめずらしくありません。
そもそも輸入車製造元であるヨーロッパやアメリカでは年式を、モデルイヤー(製造年)で表すのが一般的です。年式の定義の違いは、日本と海外の国々との習慣の違いともいえます。
同じ年式でも同じモデルとは限らない
とくに中古車選びにおいて年式は重要なチェック項目です。しかし同じ年式だからといって同じモデルだとは限りません。これは年の途中でマイナーチェンジやフルモデルチェンジといった、モデルチェンジ(製品の改良)することがあるためです。
モデルチェンジは、車を新装することによってユーザーの購買意欲をかき立てるマーケティング手法であり、モデルチェンジによって旧モデル車の中古価格は下がる傾向があります。このとき、モデルチェンジ後の車と旧モデル車の年式は同じです。
モデルチェンジは一般に、マイナーが2年から4年、フルモデルチェンジが4年から6年のサイクルで行われます。価格が大きく変わるタイミングのため、年式と合わせてチェックしておきたいポイントです。
低年式と高年式
年式の古い/新しいは「低年式」や「高年式」という言葉で表されます。このうち「低年式」は古い車、「高年式」は新しい車です。一般的には、製造・登録されてから3年以内の車が「高年式車」と呼ばれます。これは、最初の車検が購入後3年目に存在するためです。
一方、「低年式車」と呼ばれるのは登録から7年以上過ぎた車であることが多いといいます。「低年式」と「高年式」は逆に覚えている方も多く見受けられます。間違わないようにしましょう。
車の年式が必要な場面
車の年式は、車に関するさまざまな手続きにおいて基準として扱われることが多い項目です。あるときは車を公平に取り扱うため、またあるときは状態を推定するためなどに用いられます。
ここではそのうち代表的な3つの場面を解説します。
車の税金の計算を計算するとき
車にかかる税金のうち、毎年4月1日時点の所有者に課せられる自動車税は、車の年式によって納める金額が変わります。
自動車税は車の排気量によって金額が変わる税金です。たとえばコンパクトカーに多い1000ccから1500ccの場合、13年未満の年式なら34,500円ですが、13年以上となると39,600円と5,000円以上増額されます。増額幅は排気量ごとに異なりますが、割合でいうと平均15%ほどです。
また自動車重量税の場合は、年式が13年未満と13年以上18年未満、そして18年以上の3段階で変わります。自家用乗用車の自動車重量税は、13年未満では0.5トンごとに年4,100円ですが、13年以上18年未満ではそれが年5,700円、さらに18年以上になると年6,300円と増額されるしくみです。
中古車売買・査定するとき
中古車の売買価格は、単純に年式だけで決まるわけではありません。走行距離や車体・パーツなどの状態といったさまざまな要素が関係しています。とはいえ、年式が新しければ走行距離は短く、状態もよい傾向にあるのは間違いありません。
一般に新車登録から3年後、以降2年ごとの車検のタイミングに合わせて中古車の流通量が増えることから、価格は徐々に下がっていくのが普通です。しかしなかには、行き届いたメンテナンスでよい状態を維持していたり、車自体が希少であったりと、年式が古くても高額で取引される車もあります。
中古車売買や査定において年式は、絶対的な基準ではありません。しかし走行距離や状態など価格を決めるさまざまな要素の1つではあります。
保険の契約をするとき
車にかけられる損害保険のうち車両保険は、事故などによって車が被った損害を補償する保険です。車両保険で補償される金額は、基本的に車種や年式、付属品などから算出される車そのものの時価総額を基準に定められます。たとえ市場で高値で取引されるような希少な車でも、車両保険での補償金額は低く設定されるのが通常です。
補償金額を定めるための基準は保険会社によって異なりますが、おおむね1年ごとに1割程度下がっていきます。ある程度年式の古い車が事故でひどく損傷した場合、修理せず買い替えをすすめられるのはこのためです。
車の年式の調べ方
自分が乗っている車の年式を把握していますでしょうか?実は、年式はかんたんに確認が可能です。思い出せないときは以下3つの方法で調べてみましょう。
車検証で確認
年式は車検証に記載されている「初年度登録年月」で確認可能です。軽自動車の場合は「初度検査年月」をチェックしましょう。また、納車前など、車検証が手元にない場合は、売買契約書でもこれらを確認することが可能です。
新車保証書で確認
新車保証書には「登録日」が記載されていますので、そこでも年式の確認が可能です。新車保証書は整備手帳に入っていることが多いため、見つからない場合はそちらをチェックしましょう。中古車の場合は中古車保証書に記載があります。
シートベルトの付け根を確認
もっとも簡易な確認方法がシートベルトの付け根のチェックです。ここには製造年月が記載されているため、そこから年式を推測します。上記の画像で「MFD IN 」の後に続く数字です。このシートベルトは2005年製だとわかります。
ただし、前述のとおりこの製造年月と車検証記載の年式は必ずしも一致しないため、参考程度にしましょう。正式なものは書類から確認すべきです。
年式を確認するときの注意
車の年式を確認するとき、書類によって用いられるのが「2023年」という西暦か「令和5年」という和暦か、表記が違うことにも注意が必要です。先の画像では年式が西暦の2005年であることを確認できますが、同じ年式でも別の「H17」と記載されている場合もあります。
車に関するものでいっても車検証は和暦で、保証書は西暦と表記方法が異なります。自動車保険の契約や自動車税を計算するときは、計算して変換しなくてはなりません。急ぐときはスマートフォンなどで「2005年 和暦」で検索しましょう。
車の年式のお金に関する影響
車の年式は、車にかかるお金に影響します。ぜひとも覚えておいて、買い替え時期の判断に役立ててください。
車両保険
車をより安心して運転するなら必須となる任意保険にも車の年式は影響します。主に関係するのは、車両本体が損傷したときに適用される車両保険です。ここでは車両保険のしくみから、年式がどのように関係しているのかを解説します。
車両保険のしくみ
車両保険は、なんらかの原因によって車両が損害を受けたとき、被害に応じて損害額を補償してくれる保険です。補償される金額は車両保険金額と呼ばれ、保険と対象となる車の価値に応じて設定されます。たとえば100万円で買った車に200万円など保険金額を自由に設定することはできません。
このときの車の価値を示す要素の一つが車の年式です。通常は100万円で買った車であれば1年目の車両保険金額は100万円前後で設定されます。保険会社によって金額が異なる場合もあるため、契約するときは複数の提案書を比較検討するのがオススメです。
年式が古くなれば、車の価値も徐々に下がります。そのため保険契約は定期的に更新され、車両保険金額も下がり、それに伴って保険料も下がるのが通常です。
年式が古いと車両保険を付帯できないことがある
車両保険のしくみでいえば、年式が古く車の価値があまりに低い場合は車両保険を付帯できない、車両保険に加入できないことも考えられます。これは車の価値が低すぎることによって、車両保険金額が設定できないためです。
一般に年式が古い車は価値が低いとされるため設定される車両保険金額も低くなる傾向があります。そのような車は事故に遭っても受け取れる保険金額は少なく、かえって修理費用の方が高くなってしまうケースも少なくありません。
これから年式の古い車で車両保険を検討する場合は、最初に加入できるかどうかを確認しましょう。
中古車売買での車の価値
一般的に、中古車の価格は新しければ新しいほど高くなります。このため、できるだけ高く売りたいなら新しい年式のものを、できるだけ安く買いたいなら古い年式のものを選ぶといいでしょう。
ただし、古い車は燃費が悪かったり、部品が劣化して故障しやすかったりといったデメリットが存在します。また、カーナビなどのアクセサリについても、そもそもついてなかったり、古い地図情報しか搭載していなかったりとさまざまです。後からつける場合は別途に費用が必要となるためあらかじめ予算を確保する必要があります。
国内の普通自動車・軽自動車の平均使用年数
一般社団法人自動車検査登録情報協会による調査結果では、普通自動車のうち乗用車の平均使用年数は13.87年です。また軽自動車検査協会による同様の調査では軽自動車の乗用車は15.83年とされています。どちらの年数も伸び続けている、つまり中古車の価値は年式によって下がりにくくなっているのが現状です。
参考:軽自動車検査協会
年式は古くてもコンディションのよい車もある
年式はたしかに中古車の価値を見定める1つの基準にはなるでしょう。しかし平均使用年数の伸びの原因でもある技術の進歩は、より適切なメンテナンスによるコンディションの維持も可能にしたという面もあります。
中古車の価値を測るために重要なのは、年数も加味したコンディションです。より長く快適に乗れる車を見つけるためには、年数だけにとらわれない見方も必要といえます。
古い年式の車の税金は上がる
車の年式は税金の額にも影響します。これは、地球温暖化が深刻化しているため、排出ガスが多く地球環境への負荷が大きい車への税負担を重くし、逆に地球環境への負荷が小さい車は税負担を軽くするためです。
ここでは年式によって上がる税金の金額について紹介します。
自動車税と軽自動車税は13年超で増額
自動車税および軽自動車税は、年式でいう13年を超えるとそれぞれ次の通り増額されます。
自動車税
排気量 | 13年未満 | 13年以上 | 増税額 |
1000cc以下 | 29,500円 | 33,900円 | 4,400円 |
1000ccから1500cc以下 | 34,500円 | 39,600円 | 5,100円 |
1500ccから2000cc以下 | 39,500円 | 45,400円 | 5,900円 |
2000ccから2500cc以下 | 45,000円 | 51,700円 | 6,700円 |
2500ccから3000cc以下 | 51,000円 | 58,600円 | 7,600円 |
3000ccから3500cc以下 | 58,000円 | 66,700円 | 8,700円 |
3500ccから4000cc以下 | 66,500円 | 76,400円 | 9,900円 |
4000ccから4500cc以下 | 76,500円 | 87,900円 | 11,400円 |
4500ccから6000cc以下 | 88,000円 | 101,200円 | 13,200円 |
6000cc以上 | 111,000円 | 127,600円 | 16,600円 |
軽自動車税
種別 | 13年未満 | 13年以上 | 増税額 |
自家用乗用 | 10,800円 | 12,900円 | 2,100円 |
自家用貨物 | 5,000円 | 6,000円 | 1,000円 |
※「13年未満」の軽自動車税の金額は、平成27年4月1日以降に新車登録した場合
自動車重量税は13年と18年に増額
自動車重量税は、車の重量に応じて課税されます。税額はまず年式で13年で1度増額され、その後18年ではさらに増額されるしくみです。
自動車重量税
車の重量 | 13年未満 | 13年以上18年未満 | 18年以上 |
0.5トン以下 | 8,200円 | 11,400円 | 12,600円 |
1トン以下 | 16,400円 | 22,800円 | 25,200円 |
1.5トン以下 | 24,600円 | 34,200円 | 37,800円 |
2トン以下 | 32,800円 | 45,600円 | 50,400円 |
2.5トン以下 | 41,000円 | 57,000円 | 63,000円 |
3トン以下 | 49,200円 | 68,400円 | 75,600円 |
維持費
年式が古いと一般に燃費は悪くなり、燃料代もより高額にのぼります。また修理時、劣化が進んでいる部品も他の部品と合わせた交換を勧められ、結果としてかかる費用も高額になりがちです。
また、部品自体がメーカーのほうで供給を中止している場合もあり、そうすると中古部品やリビルト部品(再生部品)を探す必要があるなど、何かにつけて手間や追加の費用がかかりやすくなります。
中古車で選ぶなら3・5・7年落ち
中古車を買うときに年式に注目するとお得に購入できるかもしれません。とくにオススメなのが3・5・7年落ちの車。それは、これらの時期に車検が行われ、車検前に車を手放す人が多く、選択肢が多いためです。このような観点から見ますと、たとえば5年前に新車が多く売れていたという場合は、よい中古車が少し安めに市場に出てくる可能性も高まります。
きれいで新しい車なら3年落ち
きれいで新しい中古車がいいのであれば3年落ちの車を選びましょう。新車のメーカー保証が3年であり、それくらいまでは故障や不具合が少なく、状態がよいものを手に入れやすくなります。
メーカーの特別保証が切れる5年落ち
特別保証とは、エンジンやステアリング、エアバッグなどの車の走行や乗っている方の安全に関わる部品を保証するものです。この特別保証が切れる5年落ちの車も手放す人が多く狙い目といえます。また、ローンの支払いにおいて5年(60回払い)が多いことと、残価設定型クレジットの場合も5年で設定されるケースが多いことも中古車市場にこの年式のものが多く存在する理由です。
安く購入できる7年落ち
とにかく安く購入価格を抑えたいなら7年落ちがオススメです。さらに流通量が増えるため、選択肢が増えるのもメリットといえます。ただし、年相応の経年劣化がある点は理解して購入するようにしましょう。
走行距離にも注意
中古車を選ぶ際は、年式だけでなく、走行距離にも注意しましょう。走行距離が長すぎると、年数のわりに車のパーツの劣化が激しく、最終的な車の寿命を短くする可能性があります。また、再度売りに出す際にも買取価格が低くなることでしょう。
車の走行距離は1年で1万キロが目安といわれており、これを下回る走行距離なら状態も良い可能性があります。
ただし、極端に走行距離が短いものは動かさずに放置されていたという可能性もあり、長年メンテナンスされていないことも多く、そうなると故障の発生するリスクも高いため注意が必要です。
走行距離は短すぎず長すぎず、バランスの取れたものを選ぶようにしましょう。
年式以外にもある中古車を売る時のポイント
中古車売買において年式は、金額を定めるための要素の1つにすぎません。たとえ年式が古くてもその他の要素について価値があると認められれば、高額で取引されます。もしこれから買う車を数年後に高値で売却するつもりなら、次のような要素に注目するとよいでしょう。
外装・ボディ
ボディはカラーや傷の大きさ、深さによって査定額が変わる部分です。とはいえ修理に高額な費用がかかるとトータルで損をしてしまうかもしれません。バランスを考えてどうするか決めることが大切です。
商品としての中古車でとくに重視されるのが、その車の修復歴の有無です。大きな事故に遭いボディの骨格まで損傷すると、ヘッドライトの左右の位置がずれたり、トランクの内装がツートーンカラーになったりするのですぐに判断できます。
他にも、フロントはエンジンルームの中、リアではバンパーの内側の骨格も入念にチェックされる重要な部分です。またルーフの状態からは、キレイなほど屋根のあるガレージで保管されるなど大切にされていたことがわかります。
内装
内装は、シートやフロアマットの汚れがひどいと交換しなくてはならず、査定額が低くなってしまいます。また汚れだけでなく臭いにも注意が必要です。いつも乗っている本人だからこそ気づかないこともあります。ペットを乗せている、タバコを吸うなど臭いの原因に心当たりがあれば、換気したり消臭剤を使ったりして事前に対処しましょう。
また意外なところでは、ルーフの内張りのはがれも査定に影響することがあります。内張りは炎天下での駐車が多いとはがれてしまい、修復にコストがかかってしまう部分です。でこぼこしていたり、一部分が浮いているようなら、査定額は下がる可能性があります。
エンジン周り
エンジン周りの状態は、車が走るための基本的な機構であるため査定額に大きく関係します。エンジンをかけているときの異音やオイル、プラグの状態、パーツが改造されていないか、修復歴がないかなどあらゆるポイントをチェックされる部分です。
もしエンジンをホーバーホールまたは載せ替えているなら、事前に申告すると査定にプラスされることがあります。またエンジンルーム内にある車台番号(「車体番号」ともいう)は、移植や改ざんがあると買い取ってもらえなくなることもあるため事前に確認しておきましょう。
走行距離
車は平均すると1年間あたり、普通自動車で約10,000km、軽自動車なら約8,000km走行するといわれています。とすると普通自動車で最初の車検時に走行距離が約30,000kmなら、平均的な使われ方だといえるでしょう。
ただ、走行距離は短いほどあまり乗られていない、つまりパーツなどの劣化が少ないだろうと思われがちですが、そうとばかりはいえません。車は、とくにエンジンなどの駆動部分はある程度動かしておかないとかえって劣化する可能性があるからです。
廃車ひきとり業者なら低年式の車も買い取りが可能かも?!
式が古くなった車を手放す際には、あまりにも古いと中古車として買い取ってもらう値段がつかず、逆に廃車費用を請求されてしまう可能性もあります。そのようなときには廃車ひきとり業者の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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