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車検に必要な法定費用とは?車種別の金額一覧や普通車でいくらかかるか解説

車検に必要な法定費用とは?車種別の金額一覧や普通車でいくらかかるか解説

車検にかかる費用は大きく3つに分けられ、「法定費用」もその一つです。車検にかかる法定費用には、自動車重量税や自賠責保険、印紙代が含まれます。本記事では、車検時に支払うべき法定費用について、内訳や車種ごとにかかる費用の目安を説明します。また後半では、車検費用の相場や安く抑えるコツなどを解説するので、参考にしてください。

そもそも車検は何のために受ける?

そもそも車検は何のために受ける?

自動車を保有している人ならば、避けては通れないのが「車検」です。車検では、相応の費用を払わなければならないため、経済的に負担と感じている方もいらっしゃるでしょう。しかし、車検に合格していない自動車を公道で走らせてしまうと、法令違反として刑事罰を課される可能性があります。では車検というのは、何のためにおこなうものなのでしょうか。本章では、車検の重要性やその費用について解説します。

公道を走るためには不可欠な車検

車検は、自動車を保有している人であれば、誰もが定期的に経験します。車検では、車体が安全に公道を走れる状態であるのか、細部までチェックします。必要に応じて、部品を交換する、修理するといった対応が必要となるでしょう。

では車検を通さず、公道を走らせていたらどうなるのでしょうか。車検切れの車で、公道を走った場合は、道路運送車両法に違反します。車検が切れた車に対しての罰則には、第108条が適用され、刑事罰が課されます。有罪となった場合は、6か月以下の懲役または、30万円以下の罰金刑となるでしょう。

また刑事罰の他にも、行政罰が課されるケースもあります。具体的には違反点数の加点です。この場合には6点が課され、前歴がない人でも30日間の免許停止処分を受けるため、車検は必ず受けるようにしましょう。

車検には3つの費用がある

一般に車検にかかる費用は次の3つの合計とされています。

  • 法定費用
  • 車検基本料金
  • その他費用

どの費用も自動車のタイプや状態によって金額が変わるため、出費を抑えるにはこれらの費用の性質や特徴を知ることが大切です。このうち法定費用については後ほど詳しく解説するため、ここでは他の2つ、車検基本料金とその他費用について見てみましょう。

車検基本料金

車検基本料金は、車検において自動車に必要な点検や整備にかかる費用で、さらに細かく分けると次の3つといえます。

  • 24か月定期点検料:自動車を安全に利用するために法律で義務付けられている、全56項目の定期点検
  • 測定検査料:車検自体にかかる費用
  • 車検代行手数料:検査代行料ともいい、車検の手続きを進めるためにかかる人件費

上記はどれも、車検手続きを引き受ける業者が料金を設定できます。そのため同じ車種、同じ年式でも同じ料金であるとは限りません。

その他費用

その他の費用とは、車検に合格するために必要な部品の交換費用や事務手数料を指します。その他費用の金額も、設定するのは車検を引き受ける業者です。同じ車種、年式の自動車が同じ部品を交換するとしても、純正品か社外品かで金額は異なり、状態によって交換に手間がかかればより高い費用が請求されることもあります。

それだけに、車検費用を抑えたい、必要最低限にとどめたい場合は、より入念なチェックが必要です。もし不明な内訳を見つけたら必ず問い合わせ、内容と要・不要をしっかり見極めましょう。

依頼先によって変動する・しない費用

車検にかかる費用は「法定費用」「車検基本料金」「その他」の3つであると説明しました。この中の費用でも、どこへ依頼をしても変動しない費用と、変動する費用があります。車検の相場価格に開きがあるのは、依頼先によって変動する費用があることも要因でしょう。

依頼先によって変動する費用は「車検基本料金」「その他」です。反対に、どこへ依頼をしても変動しない費用が「法定費用」になります。

車検基本料金は、依頼先によって1〜3万円ほど変動します。そのほかの料金については、依頼先だけでなく前述したように車の状態によっても異なるため、一概に相場価格を断定することはできません。

法定費用(ホウテイヒヨウ)ってどんなお金?

法定費用(ホウテイヒヨウ)ってどんなお金?

どこで車検をおこなっても、同じ金額であるのが「法定費用」です。ではこの法定費用には、どのようなお金が含まれているのでしょうか。本章では、法定費用の内訳をはじめ、車種ごとの費用を一覧にして紹介します。法定費用の金額が、どのように決まるのかを知っておき、車検時にいくらほど用意しておけばよいのか判断してください。

法定費用の内訳

以下3つの費用が「法定費用」に含まれます。

  • 自動車重量税
  • 印紙代
  • 自動車損害賠償責任保険(自賠責)保険料

自動車重量税とは、車体の重さ(車両重量)により金額が決まっている税金のことです。重さだけでなく、車検登録証に記載された「初年度登録」や車種によっても金額が変わります。

印紙代とは、印紙と証紙の2つを合わせた費用のことです。

そして自賠責保険料とは、自動車を保有する人に加入義務のある保険、強制保険の保険料です。

自動車重量税

車両重量/車種(年数) エコカー エコカー以外(右以外) エコカー以外(13年経過) エコカー以外(18年経過)
軽自動車 5,000円 6,600円 8,200円 8,800円
0.5t以下 5,000円 8,200円 11,400円 12,600円
1.0t以下 10,000円 16,400円 22,800円 25,200円
1.5t以下 15,000円 24,600円 34,200円 37,800円
2.0t以下 20,000円 32,800円 45,600円 50,400円
2.5t以下 25,000円 41,000円 57,000円 63,000円

印紙代

印紙代は、車の種類や依頼先によって多少変動しますが、大きな差はありません。具体的な費用について、まずは依頼先が「指定工場」であった場合の金額を以下でまとめました。

車種 印紙代
軽自動車 1,100円
その他の自動車 1,200円

依頼先が「認証工場」である場合の印紙代については、以下を参考にしてください。

車種 印紙代
軽自動車 1,400円
その他の自動車(3ナンバー) 1,800円
その他の自動車(5ナンバー) 1,700円

自賠責保険料

自賠責保険の費用は、加入したタイミングや契約期間によって、金額が異なります。要件は、2020年4月以前に契約しているか、それ以降に契約しているかです。まずは、2021年4月以降に契約した場合の自賠責保険の費用を以下で見ていきましょう。

車種/保険期間 24か月 25か月 36か月 37か月
普通自動車 20,010円 20,610円 27,180円 27,770円
軽自動車 19,730円 20,310円 26,760円 27,330円

車種ごとの法定費用一覧

これまでの説明からもわかるように、車検における法定費用は、車種や重量などに金額が左右されます。しかし、一つひとつから費用を算出するのは、なかなか手間がかかるでしょう。

そんなときは、以下の表を参考にしてください。代表的な車種とともに、その重量や法定費用の金額を一覧にしています。自身の愛車を車検に出す際、法定費用がどのくらい発生するのか以下の一覧を目安にしてください。

重量 代表的な車種 法定費用の合計
軽自動車 NBOX、タント、ワゴンRなど 26,130円
1t以下クラス デミオ、マーチ、フィット 31,710円
1.0〜1.5tクラス フリード、カローラ、プリウス 36,710円
1.5〜2.0tクラス オデッセイ、クラウン 41,810円
2.0〜2.5tクラス レクサスLX、アルファード、ランドクルーザー 46,810円

輸入車だと費用は変わる?

海外メーカーの販売する自動車を車検に出すと、国産車より費用が高額になりやすいといわれますが、これには次のような理由があります。

  • 自動車の重量が大きい:海外製の自動車は国産車に比べサイズの大きいものが多いため、法定費用の1つ「自動車重量税」が高めになりやすい
  • 部品代が高く保管費用もかかる:部品は国産車より高めになりやすく、海外から取り寄せるため一定の在庫を確保し、保管するための費用も加えて価格が設定される
  • 整備研修や店舗の費用も含まれる:新型車が発売されるごとに行われる整備やセールスポイントの研修や、立地のよい店舗の地代なども請求費用に転嫁される

自動車重量税以外の法定費用、自賠責保険の保険料や収入印紙代は、同タイプであれば輸入車も国産車も変わりません。輸入車の車検費用が高額になりやすいのは、車検基本料金とその他費用を、業者が高く設定するためといえます。

法定費用はクレジット払いが可能?

法定費用はクレジット払いが可能?

法定費用を事前に用意しておければよいですが、ときには経済的に「今は負担が大きい」と感じている方も多いはず。通常の買い物であれば、クレジット払いという選択肢もありますが、法定費用の場合はどうでしょうか。結論からいうと、法定費用はクレジット払いができません。

法定費用がクレジットで支払えないのは、以下のような理由があるためです。

  • 国などへ支払うため手数料が取れず、クレジット会社へ払う手数料分業者が赤字になるため
  • 法定費用のみを先払いにしている業者もあるため

少数ではありますが、業者の中には、クレジット決済を可能としているところもあります。どうしてもクレジット払いにしたいという方は、探してみてください。

依頼先別、車検費用の相場は?

依頼先別、車検費用の相場は?

車検費用の中でも「車検基本料金」と、部品交換代など「その他の費用」の2つは、依頼先によって金額が異なると説明しました。車検をおこなう際、依頼先として考えられるのは「ディーラー」「ガソリンスタンド」「専門店」「整備工場」の4つです。それぞれの車検費用がいくらほどで、どの程度の差があるのか、本章で解説していきます。

※金額はあくまでも目安ですので参考程度にお考えください。

ディーラーに依頼した場合

自社の車のみを点検しているため、整備に関するノウハウを持っていることがディーラー車検の魅力です。メーカー保証をはじめとした、アフターフォローが充実しています。ディーラー車検をおこなう場合、費用の目安は以下の通りです。

重量 代表的な車種 車検合計費用の目安
軽自動車 ムーヴ、ワゴンRなど 67,000円~
1t以下クラス マーチ、フィット 80,000円~
1.0〜1.5tクラス カローラ、プリウス 89,000円~
2.0〜2.5tクラス ランドクルーザー 109,000円~

他の車検工場と比較すると、ディーラー車検は費用が高めではあるようです。

ガソリンスタンド

日頃から利用しているガソリンスタンドでも、経営の多角化により車検を行っているところも多いです。チェーン店の場合は、費用も一律であるためわかりやすく、何よりも他の依頼先と比べ、費用を抑えられることがメリットです。ガソリンスタンドで車検をおこなう場合、以下を費用の目安としてください。

重量 代表的な車種 車検合計費用の目安
軽自動車 ムーヴ、ワゴンRなど 43,000円~
1t以下クラス マーチ、フィット 54,000円~
1.0〜1.5tクラス カローラ、プリウス 63,000円~
2.0〜2.5tクラス ランドクルーザー 73,000円~

ただし、全ての店舗が車検に対応しているわけではなく、車検を外注しているケースもあるため割高になりやすく、事前に確認する必要があります。

メリットとしてはガソリン代の値引きがあるなど特典がつくことが多いようです。

車検チェーン加盟店

車検専門のお店も依頼先のひとつとして挙げられます。コバックやホリデー、速太郎といったフランチャイズ展開しているところです。もともとは整備工場であるため、クオリティ面で安心できるでしょう。また、メンテナンスと車検を並行しておこなうため、作業が短時間で済むといったメリットがあります。費用の目安は、以下を参考にしてください。

重量 代表的な車種 車検合計費用の目安
軽自動車 ムーヴ、ワゴンRなど 49,000円~
1t以下クラス マーチ、フィット 60,000円~
1.0〜1.5tクラス カローラ、プリウス 70,000円~
2.0〜2.5tクラス ランドクルーザー 80,000円~

早期割引や紹介割引などの特典が豊富です。

整備工場

近くの整備工場でも車検を受けられます。比較的費用が安い上に、きめ細かな対応が期待できるといったメリットがあるでしょう。整備工場で車検をおこなう際にかかる費用は、以下の通りです。

重量 代表的な車種 車検合計費用の目安
軽自動車 ムーヴ、ワゴンRなど 62,000円~
1t以下クラス マーチ、フィット 79,000円~
1.0〜1.5tクラス カローラ、プリウス 87,000円~
2.0〜2.5tクラス ランドクルーザー 107,000円~

車検費用を安く抑えるコツは?

車検はチェックする項目や基準が明確に定められているため、合格すれば一定の安全性は認められます。しかし費用の中には業者が自由に決められるものも多いため、かかる費用は高くなったり安く済ませられたりとまちまちです。

とはいえ、同じクオリティならできるだけ出費は抑えたいのが本音でしょう。ここでは車検費用を抑えるためのコツを3つ紹介します。

大手の販売店で車検を受ける

費用をいくら抑えたくても、大切なのはこれからも自動車を安全に利用できることの方が重要です。自動車の特徴や性能に見合った、漏れのない入念なチェックを求めるなら、自動車の大手販売店での車検をオススメします。

大手販売店での車検は、ディーラーによる車検に比べ費用を抑えられるだけでなく、他社メーカーの商品も取り扱っているため、汎用部品の取り扱いも多く、車検できる車種も幅広いのが特徴です。

ただ、輸入車や一部の特殊な車種の車検は対象外となる場合があります。受けられたとしても特別料金が発生するなど費用はかえって高額になる可能性もあるので注意が必要です。

検査項目をよく確認し不要なものは省く

車検での整備内容がすべて、車検に合格するためのものとは限りません。車検費用を抑えるには、検査や整備の内容を把握して正しく理解しておくことが大切です。現時点で不可欠な項目でなければ、車検と同時である必要はありません。たとえば次の項目は「推奨整備」とされ、車検時に点検・交換などが推奨されています。

  • エンジンオイル
  • エアーエレメント
  • ブレーキパッド
  • ラジエータークーラント
  • ATF
  • ブレーキフルード など

車検にかかる費用を知るには、車検前に一度見積もりを取ってみるのがオススメです。見積もりを取れば何にどれくらいの金額がかかるか、その項目は必須かどうかを調べたり問い合わせたりできる時間が確保できます。

あえて車検時でなくてもよい項目を省けば、請求額を抑えることも可能です。多少面倒で時間がかかっても、車検にはきちんと納得できる費用をかける必要があります。

複数社で無料査定をしてみる

現時点で車検にどれくらいの費用がかかるかを知るには、複数の業者へ無料査定を依頼し、見積書を手に入れ比較するのが有効です。

車検に出して実際にかかる費用は、車種や年式だけでなくその時点での車の状態によって大きく変わる場合もあります。そのため、ある業者に車検を依頼して請求された金額が高いのか安いのか、適切なのかそうでないのかがわかりません。

できるだけ正確な費用の相場を知るには、複数の業者から見積もりを取る必要があります。それぞれ表示される項目や金額も異なるはずです。同じ項目があればそれは必須の項目と判断できます。このような知識は、実際に車検を依頼する際の交渉材料としても、見積もりのチェックにも大いに役立つでしょう。

車検費用は排気量で変わる?

車検費用は排気量で変わる?

車検にかかる費用が、排気量によって変わるといったイメージを持つ人がいるかもしれません。たしかに排気量が大きい自動車ほど、車検費用が高額になる傾向はあります。しかし実際は、排気量によって変わる車検費用項目はありません。

これは排気量が大きい車ほど自動車の重量が大きくなる傾向に沿って、車検にかかる法定費用の1つ「自動車重量税」が高くなるためです。

一部の車検業者などでは、わかりやすくするため排気量で大まかにクラス分けし、価格を提示しています。これは自動車の整備費用として、オイル交換のように排気量によって使用する量、つまり費用が変わるものも多いための措置といえるでしょう。しかしそのために排気量が大きいほど車検費用が高くなるといったイメージを持たれている可能性があります。

自動車重量税は、最も軽量な50%軽減されるエコカー0.5トン以下の2,500円から、エコカー外2.5トン超3トン以下の49,200円までさまざまです。所有する自動車がどの重量に当たるのか、車検前に確認しておくとよいでしょう。

乗用車の車検費用は合計でどれくらいかかる?

乗用車の車検費用は合計でどれくらいかかる?

ここまで解説してきた内容から、乗用車の車検費用は合計でどれくらいかかるのか、ここでは普通自動車と軽自動車に分けて解説します。とはいえ法定費用以外は車検に出す業者によって金額は大きく異なるため、次から紹介するのは車検基本料金との合計金額相場の一例です。

それぞれ費用の内訳と金額を把握し、ぜひ実際の見積もりの確認や交渉の参考にしてください。

普通自動車の場合

普通自動車のうち乗用車の車検費用相場は、自動車の重量ごとに次のように分けられます。

重量 法定費用 車検基本料金 合計
〜1トン 約33,000円〜約49,000円 約40,000〜約100,000円 約73,000円〜約149,000円
1トン超〜1.5トン 約39,000円〜約62,000円 約40,000〜約100,000円 約79,000円〜約162,000円
1.5トン超〜2トン 約44,000円〜約74,000円 約40,000〜約100,000円 約84,000円〜約174,000円

※「車検基本料金」は有効期間24か月の車検を、ディーラーで受けた場合の目安。

上記の車検基本料金は、あくまで目安です。交換する部品や整備内容によっては10万円以上かかる場合もあり得ます。正確な金額は、実際に業者から見積もりを取り、その明細や内訳で確認しましょう。

軽自動車の場合

一方軽自動車の車検費用相場は、次の通りです。

法定費用 車検基本料金 合計
軽自動車 約28,000円〜約36,000円 約40,000〜約100,000円 約68,000円〜約136,000円

※「車検基本料金」は有効期間24か月の車検を、ディーラーで受けた場合の目安。

法定費用のうち普通自動車と異なるのは自動車重量税のみです。車検基本料金は自動車の状態や交換する部品、整備内容によって違いがあります。

車検費用を経費にするには?

車検費用を経費にするには?

確定申告をされている方で車検にかかるお金を、できることなら経費にしたいと考えている方もいらっしゃるでしょう。車検費用は車種や状態によって、高額になることもあるため、経費とすることで大幅な節税が可能となります。そのためには会計上、どの勘定科目に分類すればよいのでしょうか。本章では、車検費用の勘定科目や計上できる条件について解説します。

勘定科目は

車検費用の仕訳をおこなう際、費用の項目は以下5つに分けられます。

  • 自賠責保険料
  • 印紙代
  • 自動車重量税
  • 車検基本料金(部品交換代含む)
  • 車検代行手数料

それぞれの勘定科目は以下を参考にしてください。

費用の項目 分類 勘定科目
自賠責保険料 法定費用 非課税
印紙代 法定費用 不課税
自動車重量税 法定費用 不課税
車検基本料金 (部品交換代含む) 整備・点検費用 課税
車検代行手数料 整備・点検費用 課税

経費として計上できる条件

車検費用を経費として計上するには、以下2つの条件があります。どんなケースでも経費として計上できるわけではないため、注意してください。

  • 事業所得があること・・・1
  • 対象の車を事業で使っていること・・・2

1に関しては、個人事業主やフリーランスであっても、事業所得さえあれば、経費として計上できます。そして1を満たしているうえで、2の条件に該当している車の車検は、経費として計上できます。

車検の仕訳方法は変わる場合がある?

車検の仕訳方法は変わる場合がある?

車検にかかる費用を経費として計上する場合、計上する金額のうち支払った消費税の取り扱いには、1年間の売上金額によって違いがあります。年間売上1,000万円以上の場合は消費税を納税しなくてはならず、1,000万円以下なら納税の必要はありません。

消費税として納める金額は、売上分として受け取った消費税から、仕入や経費にかかる消費税を差し引いた金額です。そのため年間売上1,000万円以上なら税抜処理で、1,000万円以下なら税込処理で仕訳する必要があります。

ここでは税込処理と税抜処理のそれぞれの仕訳方法を、両者の違いを考えながら見てみましょう。

税込処理

税込処理では、消費税額を含めた全額が仕訳する対象です。

例として、車検で次の内訳の支払いを実際に仕訳してみましょう。

内訳 税込金額 仕訳先の勘定科目
自賠責保険料 26,000円 保険料
自動車重量税 10,000円 租税公課
車検代行料 16,500円 支払手数料
部品・整備費用 55,000円 車両修繕費
収入印紙代 1,000円 租税公課
合計 108,500円

税込処理では消費税を別途計上する必要がないため、内訳はそれぞれ下のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
保険料 26,000円 現金 108,500円
租税公課 11,000円
支払手数料 16,500円
車両修繕費 55,000円

※租税公課の金額は、自動車重量税と収入印紙代の合計

※現金の金額は、この仕訳によって支払った金額の合計

税抜処理

税抜処理では、消費税が課税される支払いの合計金額を、本体の金額と消費税の金額に分けて仕訳します。内訳のうち消費税課税対象となるのは、車検代行料と部品・整備費用です。消費税率を10%とするとこの2つの内訳は、それぞれ次の表のとおりに仕訳できます。

車検代行料

借方科目 金額 貸方科目 金額
支払手数料 15,000円 現金 16,500円
仮払消費税等 1,500円

部品・整備費用

借方科目 金額 貸方科目 金額
車両修繕費 50,000円 現金 55,000円
仮払消費税等 5,000円

上記を他の仕訳と合わせ、同じ勘定科目の金額をまとめた仕訳が次の表です。

借方科目 金額 貸方科目 金額
保険料 26,000円 現金 108,500円
租税公課 11,000円
支払手数料 15,000円
車両修繕費 50,000円
仮払消費税等 6,500円

仮払消費税等とは、売上分として受け取った消費税「仮受消費税等」から差し引いて、納める消費税額を計算するための勘定科目です。

このように車検費用は消費税の取り扱いの違いによって、勘定科目の金額が異なる場合があります。

車検に関するよくある疑問に回答

車検に関するよくある疑問に回答

初めて車検を受ける場合、法定費用の他にも「気になること」は、まだまだあるでしょう。費用をクレジットで支払うことはできるのか…。また、外車の維持費が高いというのは本当なのかなど、本章では車検に関する細かな疑問にお答えしていきます。車検について、より細かく知りたい方は、ぜひ本章を参考にしてみてください。

費用の後払いは可能か?

結論から説明すると、クレジットカードを用いて車検費用を後払いにすることは可能です。クレジット払いにすることで、支払い期限を延ばせるだけでなく、ポイント還元などでお得になるというメリットもあります。

しかし、注意したいのは「法定費用」は除外されることです。法定費用は前払いであるため、クレジット決済ができないケースも多くあります。法定費用も含めて後払いにすることは取引の程度や法人であるなどの信用がないと難しいでしょう。

外車の維持費が高いのは本当か?

一般的に「外車は維持費が高い」と言われています。この理由は、車両重量や排気量が多いため、税金が高額になってしまうことにあります。またパーツの流通数が少ないことも、維持費が高額になってしまう要因です。希少なパーツは、その分費用がかさむため、車検などメンテナンスにかかる費用も高額になります。しかし車種によっては、国産車の維持費と同程度のものもあるため、一概には言い切れません。

自動車税が未納である場合は?

自動車税が未納である場合、車検を受けられません。自動車税の納付書は、毎年5月頃に届くでしょう。納付期限である5月31日までに、支払いをしておかなければ、延滞金が発生する可能性もあります。納付のままでは、車検を受けることはできません。また納付証明書を紛失した場合は、再発行しなければなりません。

自動車納税証明をなくした場合は?

自動車税は間違いなく納付したが、受け取ったはずの納税証明書がどこにあるかわからないなど、紛失してしまった場合は、証明書を再発行すれば車検を受けられます。

再発行を申請する窓口は、普通自動車なら都道府県税事務所、軽自動車なら各市区町村役場です。ただ、普通自動車で納付後2〜4週間程度経過している場合は、納付記録が残っているため、再発行する必要はありません。一方、軽自動車の場合は納付後の期間に関係なく、再発行が必要です。

車検の法定費用を知って、事前に準備しておこう

車検の法定費用を知って、事前に準備しておこう

車検の際に発生する「法定費用」について解説しました。法定費用がどのようなお金であるのか、また車検の相場価格はどの程度なのか、本記事でおわかりいただけたでしょう。費用は少しでも抑えたいかもしれませんが、法定費用はいずれの依頼先でも同様に発生するものです。車検の時期が迫っている方は、事前に把握し、用意しておきましょう。

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