エンジンルームの洗浄は、必ずしないといけないものではありません。外装を洗浄すれば見た目の印象は大きくかわりますが、エンジンルームは外から見えないため、そのようなメリットもないようです。
ただし、トラブルの早期発見にもつながるという意味ではボンネットを明けるついでに、定期的に行われてもよいかもしれません。
ただ、エンジンルーム内は複雑に入り組んでおり、洗浄方法によっては故障の原因になります。
そこで、本記事ではエンジンルームの概要や注意点、オススメアイテムなどを紹介します。
そもそもエンジンルームとは?
エンジンルームとはエンジンが格納されている部分です。多くの車ではボディ前部にあり、ボンネットを開けて確認します。
バン、ワンボックス車、トラックなどでは座席の下にあることが多く、一部の外車では後部(リア)にあることが多いようです。
ボンネットなどにおおわれていますが、時間の経過とともに少しずつ汚れていきます。
ここではエンジンルームの洗浄を行ったほうがよい理由や、洗浄頻度、洗浄手順についてみていきましょう。
エンジンルームを洗浄したほうがよい理由
エンジンを動かすためのさまざまな部品が取り付けられている、エンジンルームの洗浄を定期的に行ったほうがよい理由の1つは、トラブルの早期発見です。
エンジンルームの洗浄は、部品に異常がないかを確認するきっかけとなります。また、ウォッシャータンクやブレーキタンクなどの液量をチェックできるため、トラブルの未然防止も可能です。
エンジンルームを洗浄する頻度
エンジンルームの洗浄は、「月に1回」といった推奨頻度が示されていません。しかし、洗車のタイミングで一緒に洗浄するれば手間も省けることと思います。
洗車をあまりしない場合は、オイル交換のタイミングである「半年に1度」か「5,000km毎」くらいでよいのではないでしょうか。
エンジンルームを自分で洗浄する方法
「エンジンルームも自分で洗浄できるの?」と感じる人は多いでしょうが、エンジンルームはしっかり養生すればユーザー自身でも洗浄できます。
エンジンルームの洗浄に必要になるのは、主に次のようなものです。
- タオルやウエスといった「拭く」ための布など
- 防水に使うビニールや養生テープ
- ブラシ
- エンジンクリーナー
エンジンルームはエンジンだけでなく、エンジンを動作させるためのさまざまな部品も多い部分です。定期的に清掃すればエンジンがスムーズに動作して燃費効率も上がり、トラブル防止にもなります。無理は禁物ですが、できるだけこまめにチェックしましょう。
軽度の汚れはタオルやウエスで拭く
エンジンルームが比較的軽度の汚れ程度なら、タオルやウエスで拭うだけでもキレイに洗浄できます。ボンネットを開け、バッテリー上部やゴムホースなどに付着した汚れやホコリを拭き取りましょう。
拭き取れないような狭い部分は、エアーコンプレッサーで吹き飛ばすのがオススメです。エアーコンプレッサーがないときは、パソコンに使うOAクリーナースプレーが使えます。ただ、細かな砂やホコリが舞い上がってしまうため、作業はマスクやゴーグルをつけておいてください。
またエンジンルームは水がかかっても大丈夫なように設計されているため、水洗いもできます。だからといって大量にかかってしまう故障する可能性もあるため注意が必要です。とくにバッテリーを含む電気系統は、しっかりと防水加工する必要があります。
水洗い後は、エンジンルームをしっかり乾燥させなくてはいけません。しばらくの間、空気が通りやすいようボンネットを開けておくとよいでしょう。
汚れが重度ならエンジンクリーナーを使う
もしエンジンルームが、オイル汚れやグリースなどによって重度に汚れていたら、エンジンルーム洗浄専用の洗剤「エンジンクリーナー」の使用をオススメします。エンジンクリーナーは汚れを浮かす効果があるため、吹き付けるとブラシやスポンジなどで落としやすくなり便利です。
洗浄後は、エンジンクリーナーもキレイに洗い流す必要があります。このときホースを使って水で洗い流すのも可能ですが、その場合は作業後、しっかり乾燥させるようにしましょう。
エンジンクリーナーの種類
エンジンルーム内は、年数を経るごとに汚れが積み重なり汚れは落としにくくなってしまいます。そのようなしつこい汚れを落としやすくしてくれるのが、エンジンクリーナー洗浄液です。店舗で探すと、大きく次の3タイプに分けられます。
- 液体タイプ:液状の洗浄液で、タオルやウエスにつけて汚れを拭き取る
- フォームタイプ:細かい泡(フォーム)状の洗浄液で、やはりタオルやウエスにつけて汚れを拭き取る
- シートタイプ:洗浄液を染み込ませたシートとなっており、ウエットティッシュのように汚れを拭き取ったあと使い捨てできる
どのタイプでもあまり大きな違いはありません。しかし実際に作業をするときは、準備する数や量にも注意が必要です。もしこまめに洗浄する、または複数台の自動車を洗浄する場合は、業務用も選択肢に入ります。年に1〜2回くらいなら、1回使い切りのタイプを買うのもよいでしょう。こまめに洗浄するなら、1枚ずつ使えるシートタイプが便利です。
エンジンルームの洗浄手順 ・流れ
エンジンルームの洗浄手順は、車種に関わらずほとんど変わりません。最初の手順は、ボンネットを開けて、ストッパーで確実に固定することです。しっかり固定できていることを確認してから作業を始めましょう。
作業を始めるにあたって重要なのは、エンジンが熱くなくしっかり冷えていることです。自動車のエンジンルームは走行すると100度以上になるため、不用意に触れると火傷を負ってしまいます。あらかじめエンジンを止めるのはもちろん、タイミングベルトなども止まっていることを確認してから作業を始めましょう。
1.電装系にビニールなどで防水処理をする
水を使って洗浄する場合は、まず水に弱い電装品や電気配線、吸気口などに水がかかってしまわないようビニールやラップなどで覆い、防水対策をすることが大切です。比較的簡単に取り外せるバッテリーなどのパーツは、外しておくのもよいでしょう。
エンジンルーム内で防水処理が必要になるのは、次のようなパーツです。
- バッテリー(密閉型であれば端子部分を防水するだけでよい)
- オルタネーター(発電機)
- ECU(Electronic Control Unit:エンジンを含む自動車のさまざまな動作を制御するコンピュータ)
- オイルレベルゲージ
- ヒューズボックスやヒュージブルリンク、コネクター
- (ハイブリッド車の場合)高電圧インバーターや高電圧ケーブル
- エアクリーナーなどの吸気口 など
2.エンジンクリーナーで汚れを浮かせ水などで落とす
しっかり防水加工をしておけば、エンジンルーム内に水をかけながらブラシなどで直接汚れを落とすこともできます。汚れがひどいときはエンジンクリーナーを使い、浮かせた後にブラシやタオルで拭き取りましょう。
このとき、こうエアーコンプレッサーなどを使うと、手やウエスなどが届かない場所の砂やホコリも落とせます。ホースを使って水で洗い流してもよいですが、このときは防水加工しているとはいえ、水濡れしてほしくない部分にはあまりかけないよう注意が必要です。
3.エンジンクリーナーの残りを拭き乾燥させる
洗浄できたら、次はしっかり乾燥させます。水だけを使った場合はタオルなどでしっかり拭き取るだけでも十分です。しかしエンジンクリーナーを使った場合は、洗浄液が残らないよう仕上げる必要があります。洗浄した部分に少し水をかけてしっかり拭き取り、そのあと乾いたタオルやウエスなどで水分を拭き取りましょう。
もし水分が残っていると、サビやカビの原因になってしまいます。また走行時に汚れが付着しやすくなるため、できるだけ残らないよう拭き取ってしまうことが大切です。
4.ワックスやコーテディング剤で仕上げを行う
ボディーをワックスで防護するように、エンジンルーム内もワックスやコーティング剤で防護できます。ホース類、ラジエーター、樹脂パーツなどは防護しておけば、次回のエンジンルーム内洗浄を「水拭きで拭き取るだけ」にすることも可能です。
5.動作に問題がないか確認する
エンジンルーム内の洗浄が終わったら、エンジンを始動させ、おかしな音がしないか、アイドリング不良がないかを確認します。このときとくに異常がなくても、すぐに走行させるのではなくしばらくアイドリングしてエンジンルームの温度が上がるまで待ち、拭き取れなかった水分を蒸発させましょう。
その後、自動車を走行させ問題がなければ作業は終了です。
エンジンルームを洗浄する際の4つの注意点
エンジンルームを洗浄する際の注意点として、次の4つが挙げられます。
- エンジンが冷えた状態で行う
- 電子パーツに水をかけない
- 無理に細部まで掃除しない
- 洗浄後は乾燥させる
エンジンが冷えた状態で行う
エンジンルームを洗浄する際は、必ずエンジンが冷えた状態で行うようにしてください。アイドリングや走行時に稼働しているエンジンは、必ず熱を持ちます。
その状態で水をかけると蒸気でやけどするかもしれません。
また、冷却ファンやドライブベルトなどが停止していることも必ず確認してみてください。これらが稼働している状態で作業すると、手の巻き込みなどの危険があります。
電子パーツに水をかけない
エンジンルームに組み込まれる電子パーツ(ヒューズボックスなど)に水をかけないように注意しましょう。車は雨の中でも走行できるよう設計されており、多少の水がかかったからといってすぐに故障することはありません。
しかし、カバーに亀裂が入っていた、カバーが甘かったなどといった理由により、直接水がかかってしまうかもしれません。最悪の場合、故障を引き起こすケースもあります。洗浄手順で解説したようにビニールで覆うなど、できる限り水濡れしないように工夫するに越したことはありません。
無理に細部まで掃除しない
エンジンルームの洗浄時は、無理に細部まで掃除しないようにしましょう。作業を進めていくと、つい細かな部分の汚れにも目がいき、気になることがあります。
しかし、無理な体勢をしたり、狭い場所に手を入れたりするとけがをしてまったり、隙間に清掃具を落としてしまったりする恐れがあります。エンジンルームの洗浄は無理のない範囲で実施してみてください。
洗浄後は乾燥させる
エンジンルームの洗浄後は、しっかりと乾燥させることも大切です。汚れがひどく、多量の洗剤を使用して洗浄した場合は、水を使って洗い流す必要があります。
水気をしっかりと拭き取り、アイドリングさせると乾燥が早まりそうです。水気が残ったまま放置すると、エンジンルーム内の部品にサビが生じたり、カビが発生したりする可能性があります。
エンジンルームの洗浄にオススメする3つのアイテム
エンジンルームの洗浄にオススメのアイテムとして、次の3つが挙げられます。
- 使い捨てクロスやエンジンクリーナー
- ワックスやコーティング剤
- エアコンプレッサー
使い捨てクロスやエンジンクリーナー
洗浄後の汚れや水気を拭き取るためのタオルやぞうきんなどは用意しておきたいアイテムの1つですが、油分で汚れるため使い古しの布や衣類などがオススメです。ただし、エンジンルーム内のパーツを傷付けにくい柔らかい材質のものを選ぶようにしましょう。
汚れがひどい場合はスプレータイプのエンジンクリーナーがあると便利です。水拭きでは落ちないこびりついた汚れもスプレーして放置するだけで浮き上がり、簡単に洗浄できます。
ワックスやコーティング剤
ワックスやコーティング剤は必ず準備しなくてはならないものではありません。しかし、ワックスやコーティング剤で保護すると洗浄後の状態を長持ちさせられます。また、ワックスがけやコーティングをするとツヤが出るため、仕上がりも美しいです。
ただし、使い方によってはムラが生じる場合もあり、一度布やウェスに付けてから使用するとキレイに施工できます。
また、ベルト類にはかからないように注意しましょう。
エアコンプレッサー
中々個人の方でお持ちの方はいないと思いますが、圧縮した空気を吹き出すエアコンプレッサーがあると、小さなチリやゴミを簡単に吹き飛ばせて便利です。手が入らない隙間なども簡単に清掃でき、水分を飛ばす際にも使えます。
しかし、勢いが非常に強いので、エンジンルーム内に交換控えとして貼ってあるシール類も吹き飛ばしてしまいますので注意しましょう。
エンジンルームの洗浄を業者に任せる場合の料金目安
エンジンルームの洗浄は、たしかに個人でも可能です。しかしどうしても落ちない汚れや、ブラシや手の届かないところの汚れまで落とすのは、簡単ではありません。そのようなときは、無理に作業するのではなく業者に依頼するという方法もあります。
定期点検に合わせて洗浄してもらえば、忘れてしまうこともありません。メンテナンスの余裕がない、自分で洗浄することに不安があるといった方も含め、エンジンルーム洗浄を依頼できる3種類の業者別に、特徴や料金を解説します。
カーディーラーの特徴・料金
カーディーラーが提供しているエンジンルーム内洗浄は、専用のエンジンクリーナーや、コーティング剤を使った高品質の洗浄や防護が特徴です。劣化しやすいプラスチックやゴムでできたパーツの保護まで施工してもらえます。
車検や定期点検、定期的なオイル、オイルエレメント交換などで利用しているディーラーがあれば、あわせて利用するのもよいでしょう。作業時間は約30〜40分程度で、費用は5,000円程度から設定されていることが多いようです。
カー用品店の特徴・料金
カー用品店でのエンジンルーム内洗浄は、通常水を使わないシートタイプでの施工が多いようです。業者によって使うエンジンクリーナーが変わるため、仕上がりにも違いがあります。そのため事前にどのような仕上がりになるのか、確認しておくのがオススメです。
作業時間は15〜30分程度で、費用は安ければ500円程度の場合もあります。
ガソリンスタンドの特徴・料金
スタッフによる洗車や車内清掃をしてもらえるガソリンスタンドの多くが、エンジンルーム内洗浄も提供しています。作業時間は30分程度、費用は高くて5,000円ほどとカーディーラーとカー用品店の中間といったところですが、仕上がりはカーディーラーには及ばないことがほとんどです。
できるだけ長持ちさせたい、キレイに仕上げてもらいたい場合はあまりオススメできない方法といえます。
こんな時は要注意!
エンジンルーム内を掃除する時に一緒に液類をチェックしましょう。ラジエター液やパワステオイル、ブレーキフルードがLOWの位置まで減っていたら危険です。すぐに整備工場などで補充してもらってください。
また、油汚れがひどい場合は、エンジンのガスケットが劣化していてオイルが漏れ出ている証拠です。オイルの減少を早めますので、整備工場などでチェックしてもらってください。
同じくラジエター付近にピンクの粉がついている場合はラジエター液が漏れています。こちらもオーバーヒートの原因になりますので要注意です。
オーバーヒートについては車のオーバーヒートの原因は?に詳しく解説
多額の費用がかかる場合は廃車ひきとり110番へ相談を
エンジンルーム内の洗浄は、いくつか注意点はあるもののユーザー自身でも十分可能なメンテナンスです。こまめに洗浄すればエンジンがスムーズに動作し、燃費の効率アップも期待できます。洗浄の際に各パーツまでの点検ができれば、トラブルになる前に対処し、適切に交換することも可能です。
しかしその際、部品交換や修理などで多額の費用がかかる場合は、買い替えや廃車も検討しましょう。ちなみに、廃車ひきとり110番では廃車手続きを代行するうえに、スクラップでも買い取り可能です。
査定や廃車の手続きはもちろんのこと、車の引き取りも原則無料です。離島を除き日本全国対応しますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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