夜の運転に欠かせない車のヘッドライトは自分やほかの車、歩行者、自転車などの安全を守る大切な装置です。このためヘッドライトが点灯しない状態で運転していると法律により違反点数や罰金が科せられます。そんなヘッドライトの交換について解説しましょう。
ヘッドライトに関する罰則と車検について
まずはヘッドライトに関する罰則や、車検について解説します。
点灯しない状態での走行は整備不良
車のヘッドライトは夜間走行する際に進行方向を照らすほか、ほかの車両や歩行者、自転車に対して自車が近づいていることを知らせるために必要です。
このため、ヘッドライトが点灯しない状態で走行した場合は整備不良と見なされ、違反点数1点、反則金額7,000円が科せられます。
また、ヘッドライトはすべて点灯した状態で十分な範囲/光量を実現するよう設計されているため、片方のヘッドライトが点灯しないのはもちろん、バルブが1つでも点灯しないのであれば交換しなくてはなりません。
運転中はヘッドライト球が切れていても気づかないこともあるため、すべてのライトが正常に点灯しているか、走行開始前に確認するようにしましょう。
車検は2015年から基準が変更に
車検でのヘッドライトに関する検査は2015年から基準が変更されました。
以前はハイビーム時のライトが照らす方向、高度、色について検査されていましたが、2015年からはロービーム時が測定対象になっています。これは夜間走行する車が以前よりロービームを使う機会が増えたためです。
また、基準についても変更され、より厳しくなりました。このため、以前は車検に通っていた車も、通らなくなった可能性があります。
なお、車の製造時の基準は1998年9月にすでに変更されており、きちんとメンテナンスをおこなっている車であれば大多数は問題なく車検に合格できるでしょう。
2020年4月1日以降は自動点灯装置が義務化
ヘッドライトについてもう1つ覚えておきたいのは、2020年4月1日から自動点灯装置の設置が義務づけられたことです。この日以降に発売される車が対象になります。
これはヘッドライトの点灯忘れを防止するため、ヘッドライトのロービームを明るさに合わせて自動点灯する装置であり、とくに交通事故が発生しやすい夕暮れ時の交通事故を減らす狙いがあります。
また、設置義務はないものの、対向車や先行車、歩行者の有無に合わせてハイビームとロービームを切り替える「オートマチックハイビーム」や、ハイビームのままで減光が必要な箇所のみロービームにする「アダプティブハイビーム」といった先進機能もあるので、安全性を重視するなら購入時に検討してみてください。
車検で気を付けるべきヘッドライトの状態
ヘッドライトは、自分や他の自動車、歩行者などを守るため、自動車には欠かせない大切なものです。それだけに車検でも厳しくチェックされるため、落ちないよう事前にしっかり準備する必要があります。
ここでは、車検で気をつけたいヘッドライトの状態について考えてみましょう。
光の強さ・色
自動車のヘッドライトは、明るさや色が規定されています。とくに色は、以前黄色だったものが白色に変更されていることには注意が必要です。
光の強さは「ケルビン」という単位で示されます。高いケルビン値では色が青白くなり、低いと色が黄色に近くなります。車検に適合するヘッドライトは数値でいうと3,500から6,000ケルビンのものです。
光軸・光の照射範囲
光軸とは、ヘッドライトの光が進む方向をいいます。照射範囲は、ヘッドライトが光をあてる範囲です。
車検では、ロービームのヘッドライトが対向車の視界を遮らないように、右側上部への照射をカットし、同時に左側の歩道をしっかりと照らせるよう求められています。このカット部分と照射部分の境目を「カットオフライン」といいますが、カットオフラインの開始点「エルボー点」が規定の位置からずれていないかどうかは、車検では厳しくチェックされる項目の1つです。
ヘッドライトカバーや点灯の状態
ヘッドライトの光は正常にあてられなくてはなりません。車検ではライト自体の、実際の点灯状態をチェックされます。これはランプの光量が十分であっても、ヘッドライトカバーの黄ばみや曇りで光量が落ちてしまうと、事故の原因になりかねないためです。カバーの黄ばみや曇りは、長い間少しずつ変わるため、自分ではなかなか気づきづらいかもしれません。車検や定期点検などで、きちんと測定してもらう必要があるでしょう。
他にもヘッドライトカバーの割れや大きな傷がある場合も光が漏れ、やはり光量が落ちます。
社外品のバルブを使ってないか
自動車のバルブを、もともと備えられているメーカー純正品から別の社外品に交換していると、車検に通らなくなります。これは純正品以外のバルブが、自動車のリフレクターに合わずに光が反射してしまい、うまく照射できなくなるためです。
また社外品のバルブでは明るさも不足し、さらにカットオフラインが明確にならないことから、車検に通るかどうか以前に事故の可能性が高くなるため、避けた方がよいといえます。
ヘッドライトの交換時期
日常的なメンテナンスで交換するものではないことから、ヘッドライトをいつ交換すればよいのか知っている方は多くありません。ヘッドライトの交換時期について解説します。
暗くなったり切れたりしたら交換
車のヘッドライトの寿命は機器、使う頻度、環境によって大きく変わります。しかしながら、寿命は一般的に長いため、頻繁に交換する必要はありません。
寿命の判断は、ライトが暗くなったり点灯しなくなったりしたときですが、基本的には車検時に確認してもらえば十分でしょう。
なお、点灯しない状態での走行は前述のため整備不良と見なされますので注意してください。
寿命延長のための消灯は法律違反
ドライバーのなかには信号待ちの間、ヘッドライトの寿命を延ばすために消灯する方もいますが、これは法律違反です。
道路交通法では夜間走行時には基本的にヘッドライトは点灯し続けるよう義務づけており、信号待ち時の消灯を許していません。
また、点灯と消灯の切り替えの際はヘッドライトの回路にかかる負担が大きく、このために逆に寿命が短くなるという可能性もあります。
このようなことから、ヘッドライトの寿命を延ばすために消灯することはやめたほうがよいでしょう。
ヘッドライトの交換が不要な場合も
ヘッドライトが点灯しなくなったり暗くなったりする原因は、ヘッドライト本体以外にある場合もあります。
たとえば過電流から保護するためのヒューズが切れている場合にも同じようにヘッドライトが点灯しません。ヘッドライトが左右同時につかなくなった場合はヒューズ切れを疑うとよいでしょう。
また、暗くなる原因にはヘッドライトの黄ばみもあります。黄ばみにより光度が下がっている場合は、ヘッドライト磨き用にカー用品店でコンパウンドなどが販売されているので、試してみてもよいでしょう。
ヘッドライト交換には2種類存在
ヘッドライトの交換と一口にいっても、やり方は2種類あります。
バルブのみの交換
1つ目がバルブ(いわゆる電球)のみの交換です。ヘッドライトが点灯しなくなったり光量が落ちたりした場合、ほとんどのケースではバルブのみの交換で済むでしょう。
比較的簡単に交換できるため、後述するようにDIYでの交換も可能です。
バルブ交換費用の目安
バルブの交換費用は、後述するように機器や製品によって変わります。
ハロゲン球の場合は1,000円から5,000円程度ですが、HIDになると12,000円から20,000円、LEDでは10,000円から20,000円ほど必要です。
また、車種により交換時にヘッドライトユニットの脱着が必要な場合はこれに脱着費用が加算されます。
ヂィーラーで純正品に交換すると費用が高いため、安く済ませたいならカー用品店で交換するか、DIYで交換するとよいでしょう。
ただ、へッドライトは安全にとって非常に重要な部品ですので、慎重に選んでください。
ヘッドライトユニットごと交換
場合によってはバルブだけでなく、バルブが取り付けられているヘッドライトユニット(ヘッドライト自体)ごと交換する必要があります。
たとえば劣化で黄ばみが取れない、また点灯するが、ライト自体が割れてしまっているなどです。
この場合、ユニット自体がバルブよりも高価な上に、交換時にバンパーなどの脱着が必要な場合もあるため、多額の費用が発生するでしょう。
ヘッドライトユニット交換費用の目安
ヘッドライトユニットの交換は新品を使うと安くても20,000円、LEDだと10万円以上必要です。
こちらも純正品を使うディーラーだと高価ですので、整備工場などで中古部品や社外品を使って交換すれば、一般的には安く済みます。
取扱があるか確認してみましょう。
保証期間内なら無償で交換が可能
購入した新車の保証期間内にヘッドライトの不良が起きた場合、メーカー保証により無料での交換を受けることが可能です。
ただ、バルブは消耗品ですので保証対象外のこともあります。
初期不良の場合は多くのケースで無償交換になりますので、販売店へ問い合わせるとよいでしょう。
自分で交換するバルブの選び方
ヘッドライトのバルブは比較的簡単に自分で交換できます。自分で交換すれば費用を節約できるでしょう。
バルブのタイプ別の特徴を解説しますので、選び方の参考にしてください。
価格は安いが寿命は短いハロゲンバルブ
ハロゲンバルブは昔ながらのヘッドライトで、バルブの価格を安く抑えられるのが特徴です。安いものであれば数千円から購入できます。優しい光のため、対向車や歩行者からまぶしく感じづらいといえます。
ただ、寿命が1,000時間程度と短いため、長い目で見るとかえって高くつくこともあるでしょう。
明るさや寿命を気にするなら、「高効率ハロゲンランプ」という方式がオススメです。
明るいが取り付けに手間がかかるHIDバルブ
HIDバルブはアーク放電を使って発光する方式で、寿命が長く(約2,000時間)明るいのが特徴です。「キセノンライト」や「ディスチャージヘッドランプ」とも呼ばれています。
ただ、交換はハロゲンバルブに比べて難しく、ヘッドライト周りの部品の脱着が必要なこともあるので注意してください。
また、バルブ自体の価格も1万円程度とハロゲンバルブよりも高く、交換時の出費がかさみます。
長寿命で低消費電力のLEDバルブ
LEDバルブは最近家庭用の照明でも普及が進んでいるLEDを使った方式で、寿命が数年以上と長く低消費電力なのが特徴です。
数年以上点灯し続ける寿命があれば、新車で交換した後一度も交換せずに手放す方がほとんどでしょう。
LEDはさまざまな色が作り出せるため、ヘッドライトだけでなくストップランプやウィンカーでの採用も増えています。
当然価格は3種類のなかで最も高く、製品によっては3万円以上です。
また、消費電力の低さから発熱が少ないことがメリットですが、逆に降雪地帯ではヘッドライトについた雪が溶けにくいというデメリットになります。
DIYでのバルブ交換
バルブの交換方法は車種やバルブの方式によって異なりますが、ここでは基本的な交換方法と所要時間、注意点について解説します。
ボンネットを開けバルブが取り出せる状態にする
バルブを交換するにはまずボンネットを開け、点灯していないバルブの位置を確認しましょう。車種によっては取り外すために、エアフィルターなどの何かのパーツを外さないと作業スペースが確保できなかったりします。
エンジンルームは狭い車も多いのでなかなか手が入らない場合もあります。
バルブを交換する
バルブを取り外せる状態になったら古いバルブを外し、新しいバルブを取り付けます。そして、外したときと逆の手順で車を元の状態に戻してください。
取り外す際は、まずはコネクターを抜き、回す、固定具を外すなどしてヘッドライト本体から取り外しますが、非常に硬い場合もありますので、部品のツメを折ったり、けがをしないよう注意してください。
わからない場合は車種ごとにユーチューブなどでもたくさんの動画が上がっていますので参考になります。
バルブ交換にかかる時間は車種やバルブの種類による
バルブ交換にかかる時間は車種やバルブの種類によって異なります。
一方、HIDバルブやヘッドライトにアクセスしづらい商用バン、特殊な形状の車の場合はより時間がかかるでしょう。
いずれにしても交換に自信がない方はディーラーやカー用品店への依頼がオススメです。
バルブ交換時の注意点
- 交換時にはバッテリーの端子を外して感電を予防する
- バルブを素手で触らない(HIDバルブの場合手の脂で割れやすくなったり寿命が短くなったりする)
- 消灯直後のバルブは熱いので、時間がたってから作業をおこなう
- ヘッドランプのスイッチを切っておく
けがのないように注意して作業をおこなってください。
ヘッドライトを交換する際の注意点
ヘッドライトはたしかにユーザー自身でも交換は可能です。しかし、自動車のことをあまり知らないまま安易に取り掛かると、うまく交換できなかったり大ケガをしたりしてしまう可能性があります。
もしこれから自身でヘッドライトを交換するときは、最低でも次の4つの項目はしっかり押さえておくことが大切です。
スイッチオフを確認して時間が経ってから作業する
ハロゲンやHIDのバルブは、点灯直後から光量最大で動作するため高温になります。そのため交換する場合も、必ずスイッチオフを確認して作業することが重要です。ヘッドライト交換はエンジンルーム内での作業になりますが、エンジンルーム内も高温になっています。作業中思わず高温のパーツに触れてしまえば、やけどを負いかねません。
交換作業は自動車のエンジンを切り、スイッチを切ってから時間を置き、エンジンルーム内やヘッドライトが十分冷め手から始めるようにしましょう。
車検基準に適した製品と交換する
ヘッドライトは、車検で厳しく検査されるパーツの1つです。基準を満たしていなければ車検に合格できず、公道で運転することはできません。そのため交換するときは、規定の明るさを満たす光量が出る、など基準に適した製品である必要があります。
ヘッドライトには、一般的なハロゲンやより光量のあるバイキセノン、最近急速に普及してきた寿命が長くコストの低いLEDなどがあるため、種類ごとの長所や短所を見極め、使い方にあったものを選ぶことが大切です。
製品に記載されている「保安基準適合」「車検対応」の文言は、あくまでバルブ自体の性能が基準を満たしていることの表記にすぎません。実際に取り付けたときの光量や色が基準を満たしているかどうか、別途確認しましょう。
感電しないよう手袋を着ける
ヘッドライトのうちHIDバルブは、高電圧が発生するバラストにつながるコネクタに接続されているため、作業中コネクタに触れているとき自動車のライトスイッチが入ると感電します。
万が一にも事故を防ぐなら、作業中はバッテリーのマイナス端子を外しておくか、感電防止のため手袋を着けておく、または自動車をロックしてキーは自分の身につけておきましょう。
ガラス管に素手で触れないようにする
ヘッドライトのバルブは高熱にさらされるパーツです。そのため、交換作業中もしガラス管に素手で触れて手の油分がガラスに付着してしまうと、付着した部分に熱が集中してしまい、最悪の場合ガラスが割れてしまうこともあり得ます。
ヘッドライト内部でガラス管が割れてしまうと、破片を取り出すのはかなり困難です。このような事態にならないよう、作業中は手袋をつけておくようにしましょう。しかし、ただの布製だとガラス管を落としてしまう可能性があるため、滑り止めのついた軍手やゴム製のものがオススメです。
ヘッドライトの交換を依頼できる場所と費用
ヘッドライトは、きちんと準備し手順通りに作業すれば、ユーザー自身でも交換できます。しかし中には「すぐに交換しなくてはならない」「あまり詳しくないので不安」といった場合もあるでしょう。そのようなときは、無理をせず業者に依頼する方が安心です。
ここでは、ヘッドライト交換を依頼できる業者の種類と、費用の概算を解説します。
カーディーラー
カーディーラーでのヘッドライト交換は、自動車のメーカー純正パーツを使うこと、また純正パーツに精通した整備士にしっかり対処してもらえることがメリットです。またカーディーラーでの交換は、整備保証がついているため後日何か不具合があっても費用など余計な心配もありません。
ただ品質上の安心と保障の手厚さの代わりに、費用が高額になることはデメリットです。ヘッドライト交換でいうとバルブ交換だけで4,000円を超える場合もあるため、「多少コストがかかってもきちんと対処して欲しい」というユーザーに向いている方法といえます。
バルブ交換費用:4,000円前後
ヘッドライト一式交換費用:50,000円〜
ガソリンスタンド
ガソリンスタンドのメリットは、ヘッドライト交換でもすぐに対応してもらえる「利便性」だといえます。すぐにでも交換しなくてはならない、といった時間に余裕がない場合はオススメの方法です。
ガソリンスタンドは遅い時間まで営業していることも多く、中には24時間365日営業しているものもあります。ただ一方、いつでも高い技術を持ったスタッフがいるとは限らないため、仕上がりに差が生まれやすいのはデメリットです。ガソリンスタンドは、信頼できるスタッフに間違いなく依頼できることを確認してからの利用をオススメします。
バルブ交換費用:2,500円程度
ヘッドライト一式交換費用:25,000円〜
自動車整備工場
自動車整備工場は、多くがカーディーラーより安い費用でヘッドライトを交換してもらえる上、高い技術を持った整備士に対処してもらえる可能性があります。とくに純正パーツにこだわりがなければ、オススメの方法です。
自動車整備士にとってバルブ交換は、それほど難しい作業ではないため、車検や定期点検などでよく利用していれば、多少値引きしてもらえるかもしれません。
一方で、メーカーや車種によって交換に必要なパーツの在庫がなかったり、取り寄せに時間がかかったりすることはデメリットといえます。時間がない場合の交換にはオススメできない方法です。
バルブ交換費用:2,000〜3,000円前後
ヘッドライト一式交換費用:20,000円〜
カー用品店
カー用品店のメリットは、費用の安さと交換パーツの種類と在庫の豊富さといえます。年末年始や週末などでも営業している店舗が多く、かかる費用も用意されたメニューの中から明確に示してもらえるのも利用しやすいポイントです。普段からよく利用していれば、他よりも気軽に相談、依頼しやすいかもしれません。
ただデメリットはガソリンスタンドと同様、すべてのスタッフが高い技術を持っているわけではないことです。
バルブ交換費用:500〜1,500円程度
ヘッドライト一式交換費用:25,000円〜
ヘッドライトユニットの交換が必要なほど長く乗った車は廃車ひきとり110番へ
前述のようにヘッドライトユニットの交換には新品で100,000円以上の費用が掛かる場合もあります。
運よく状態のよい中古部品や社外品があればよいですが、走行距離もそれなりに走っている場合は、他の部品も交換時期に来ている可能性もあります。
このように多額の修理費用が掛かる場合はお手放しのたいみんぐかもしれません。
そのような場合は、廃車ひきとり110番での買取もご検討ください。廃車での買取だけでなく、中古車の買取も行っていますので中古部品として、または海外などで活躍できるお車は、しっかりお値段をつけさせていただきます。
買取価格の査定は無料で、電話、メール、LINEで受け付けています。ぜひお気軽にお問い合わせください。
もちろん古くても大丈夫です。2021年の実績では90%以上のケースで、1,000円以上での買取をおこなっており、0円以上なら99%以上です。事故車や動かない車でも引き取りが可能で、レッカー費用も必要ありません(一部離島を除く)