中古車を購入するときには、いくつかの注意点があります。注意すべきポイントは、車両全体・価格(手続き)・購入後のサポートの3つです。本記事では、中古車を購入する際の注意点として、この3点を解説していきます。
中古車を購入する方法は?
車に対して特別なこだわりがない場合、中古車を購入する方がコストを節約できることは、多くの方がご存じでしょう。しかし、注意せずに中古車を購入してしまうと、後からトラブルになり、後悔してしまうかもしれません。またそもそも、初めて中古車を購入する方にとっては、納車までの流れをいまいちイメージできないこともあるでしょう。本章ではまず、中古車購入の流れや購入先について解説します。
購入までの流れ
中古車を購入する際、以下のような流れで車両を探し、納車を待ちます。
- ほしい車両を決める
- 比較サイトを利用して価格を比較する
- 候補を絞り、販売店に行く
また上記1〜3の手順で購入する車を探しながら、費用のことも考えなければなりません。費用の計算をする際は、以下4点に考慮しましょう。
- 車両本体に払う費用
- 支払方法
- 保険料
- ランニングコスト
費用について考えるときに、ついつい車両本体の費用ばかり考えてしまいがちです。しかし車は、保有しているだけでも税金などを支払う必要があり、また支払い方法によっては金利も考慮すべき事項です。
購入先について
ほしい車両を購入するにあって、比較サイトなどで複数社を比べ、少しでも費用を抑えられるよう工夫するでしょう。しかし、車両の金額だけで購入先を決めてしまうのは、オススメできません。
中古車はそれぞれに走行距離や状態が異なるため、完全に同じものはないのが特徴です。従いまして、安いから良い買い物というわけではありません。
自動車販売店は、お店によって保証内容が異なる場合も多くあります。また新車と中古車、どちらも扱っているお店もあるでしょう。そのため車両本体だけでなく、購入先も吟味しなければなりません。オススメなのは「中古車専門の販売店」で購入する方法です。
さまざまなメーカーの車両を扱っているため、候補以外の車にも興味が出たという期待もできそうです。
中古車を購入するときの注意点
中古車は同じ年数の車両であっても、元の持ち主がどのような乗り方をしたのかによって、状態が異なります。荒い運転をされた車両は、修理を繰り返しおこなっている可能性もあるため、事前に確認せずに購入してしまうと、思わぬ損失を招きかねません。
車両自体のトラブルだけでなく、販売店とのトラブルが生じる可能性にも考慮しなければなりません。契約内容をよく確認していなかったり、悪徳な業者から中古車を購入してしまったりするのは避けるべきでしょう。万が一、購入後にトラブルが発生した場合は、以下のような場所で相談できます。「もしも」に備えて、中古車を購入する前に相談先を知っておきましょう。
車両に関する注意点
中古車を購入する際は、新車を購入する場合と異なり、できる限り入念に車両をチェックしなければなりません。同じ年式の車両であっても、走行距離や車検の内容、事故車かによって状態はまちまちです。
本章では、中古車を購入する際に確認すべき「注意点」を、走行距離や車検(整備記録)、避けるべき車両の3点に分けて解説します。初めて中古車を購入する方は、よく確認してください。
走行距離
当然ですが、走行距離があまりにも長い車両は避けたいところです。車の平均的な走行距離は、1年間で約1万キロとされています。そのため1万キロを基準に、それ以上長距離を走っている車は、一般的に「過走行車」とされています。
営業車として使われていた車などは、走行距離が長い場合も多いのですが、その分高年式車両が安く購入できる可能性があるのはメリットです。
また、コンプライアンス上、定期点検などをしっかりされている割合が高く、メンテナンス付きリース契約で使用されていた自動車は部品などもしっかりメンテされているなど、過走行車でも一概に避けるべきとは言い切れません。
整備記録
前述のとおり、メンテナンスされているかどうかは重要なことですので、車のコンディションを確認しておくためにも、点検時に記載される点検整備記録簿を見せてもらいましょう。
バッテリーやオイルなどを、どのくらいのペースで交換しているかという点からも、車両のコンディションを見極めることができます。
不明な場合はボンネットやドアにオイルなどの交換シールが貼ってあると思いますし、バッテリーの上に使用開始日も書いてあるので、それを見てみましょう。
たとえばオイル交換が1年以上前などという場合は、エンジン内部が汚れている可能性もあります。
オイル交換など日ごろから適切にメンテナンスしているユーザーは、普段から丁寧に車に乗っている可能性が高いので、目安にしましょう。
車検の時期も確認してください。次回の車検までの期間が長いほど、メンテナンスにかかるトータルの費用が抑えられるためお得です。
気を付けたい車両
いくらしっかりと修理がされていても、できるだけ避けた方がよい車両もあります。それは次の3タイプの車両です。
- 重大な事故歴車
- 水害車
- 塩害車/雪害車
いずれも一般のユーザーでは見分けにくいため、販売店に対してこれらに該当するかしないか、しっかり確認することが大切です。もし、万が一購入後に判明した場合は、前述の相談センターに相談しましょう。
重大な事故歴車
事故によって、自動車の骨格(フレーム)部分にまで損傷を受けたことがあるものを事故車または修復歴車といいます。骨格部分の損傷は、後になって思わぬ不具合や故障につながる可能性があるため、いくら価格が安くても購入はできるだけ避けた方がよい車両です。
自動車のいわゆる骨格部分とは、次のような部分をいいます。
- フレーム
- フロントクロスメンバー
- フロントインサイドパネル
- ピラー
- ダッシュパネル
- ルーフパネル
- ルームフロアパネル
- トランクフロアパネル
- ラジエターコアサポート
現在、販売される中古車に修復歴があれば、車種情報に記載するよう義務付けられていますが、ごく稀に記載のないものもあります。その場合は、自身で見分けるしかありません。たとえばバンパーとボディ、ヘッドライトとボンネットのそれぞれの隙間が均一でなければ、車体がゆがんでいる、つまり事故車である可能性があります。
また重大な事故歴のある車は、後々電装系統のトラブルが発生することも多いようです。電装系統は一般に修理費用が高額になりやすいため、やはり事故歴のある中古車の購入は避けた方がよいといえるでしょう。
事故車の見分け方は、事故歴車の見分け方 パネル編もご参照ください。
水害車
水害車は、海の沿岸や河川地域などで発生した水害によって被害を受けた自動車です。自動車の外装部分は水に強く作られていますが電装系が水没した水害車の場合、水没部分だけでなく、故障が他の電装系にまで連鎖的に影響する可能性があるため、結果として修理費が高額になる場合があります。
水没車は修復歴車として扱われないため、販売店にも告知の義務はありません。そのため尋ねても正しく回答してもらえない可能性があり、次のような方法を使って自身で見分ける必要があります。
- シートベルトを最後まで引き出し、ベルトに泥のようなシミがないか
- 空調を止めた車内が、雑巾のような異臭がしないか など
塩害車/雪害車
塩害車は海の沿岸にあったことから塩分を含む潮風によってダメージを、雪害車は積雪のある地域で雪によるダメージを、それぞれ受けている自動車をいいます。塩害車も雪害車も、自動車全体がサビの危険にさらされていたという意味では、同じリスクがあるといえるでしょう。
ボディのサビはコーティングによって隠せる場合もあります。塩害車や雪害車を見分けるにはボディだけでなく、エンジンルームやボディの底面など通常あまりチェックしないような部分を確認することが重要です。周りに比べて不自然にサビている部分があれば、購入は避けることをオススメします。
試運転でチェックしたいポイント
中古車を購入する際は、できるだけ試乗してみることをオススメします。新車購入でも乗り心地や視界などをチェックする方も多いでしょうが、中古車ではチェックのポイントが次の通り新車とは異なります。
- ボンネットなどのパネル部分にずれやガタツキがないか
- 異音や異臭はないか
- ハンドル位置とタイヤの向きは一致しているか
購入を決める前の時点で、しっかりチェックしておきましょう。
ボンネットなどのパネル部分にずれやガタツキがないか
ボンネットやドアといったパネル部分は、本来自動車の骨格部分にピッタリとハマっているのが普通です。そのためボディとずれがあったり、走行中などでガタツキがあったりすれば、それは土台となるボディそのものがゆがんでいる、つまり修復歴車である可能性があります。
骨格部分がゆがんでいれば、事故が発生したときの安全性が低くても不思議ではありません。パネル部分のずれやガタツキがある中古車は、購入を避けた方が無難といえます。
異音や異臭はないか
試乗したとき走行中に「ガタガタ」や「ゴロゴロ」といった異音がする自動車は、車体そのものにガタがきている、つまりうまく動作しなくなってしまっている可能性があります。
また車内にただよう異臭も同様です。たとえばカビ臭いニオイはエアコン部分にカビが発生している、ガソリンのニオイはガソリンが漏れているという、やはり不具合があるためかもしれません。
カビのニオイはフィルター交換だけで解消できないケースもあります。異音にしろ異臭にしろ、購入後に修理が必要な深刻な事態に陥ることも考えられ、余計な出費にもなりかねません。
ハンドル位置とタイヤの向きは一致しているか
修復歴車などで自動車の骨格部分がゆがんでいると、ハンドルはまっすぐ前を向けているはずなのに「まっすぐ走れない」ことがあり得ます。また正常な自動車は、直線道路でハンドルに手を添えるだけにすると、まっすぐ走るのが普通です。もし、左右どちらかに勝手に動くようなら、修復歴車である可能性があります。
これは事故によってタイヤやホイールを含め、動力を伝える部品の角度や取り付けが、狂ってしまっているためです。どのような調整や修復がされているのかはわからなくても、少なくとも一度深刻なダメージを受けているのは間違いないでしょう。このような中古車も、購入は避けた方がよいといえます。
中古車を安く買うための注意点
中古車を買う利点の1つは、価格が統一されていないことです。新車は原則としてメーカーが価格を決めているため、値引きはあるもののある程度の金額にとどまってしまいますが、中古車の価格は、販売店が決めるためうまくいけば思った以上の安値で買うこともできます。
ここでは中古車を安く買うために知っておきたいことや注意すべきポイントについて詳しくみていきましょう。
安く購入できる時期を確認する
自動車販売全体にもいえることですが、中古車についても価格が安くなりやすい時期とそうでない時期があります。たとえば多くの企業が決算を迎える3月や、そのちょうど半分が経過する9月は、販売数を増やそうと値下げや販売促進をする、いわゆる安く購入しやすい時期です。
また多くの人が新生活を始める4月は、自動車の購入が増えるため値引き交渉のしやすい時期だといえます。そのときたまたま入荷した状態のよい中古車も、うまくいけば安く購入できるかもしれません。
これから中古車を購入するなら、3月、4月、9月を狙ってみましょう。
人気が高くない車種や色は安くなる
中古車は新車と違い、価格がメーカーではなく販売店によって決められるという特徴があります。販売店は、仕入れた中古車をできるだけ高く、早くに売りたいものです。ところが中古車は、車種や年式、モデルだけでなく色によって売れる売れないが変わるため、人気が高くない車種や色は他の中古車に比べて安くなる傾向があります。
しかしこれは、ただ「人気があるかどうか」の問題であって、中古車自体の性能には関係ありません。選ぶときに譲れる範囲で人気のない中古車の価格は、人気のあるものに比べ安くなっていることが多いものです。
購入する中古車を選ぶときは、譲れないポイント以外はあえて不人気のものも検討してみましょう。
手続き費用や納車費用などについて交渉してみる
中古車を購入するとき、支払うのは車両自体の代金だけではありません。車検や点検など納車までにはさまざまな手続きにも費用が発生します。支払い金額を確定させるとき、販売店が通常顧客に提示するのが「見積書」です。見積書には車体の販売代金だけでなくかかる費用のすべてが記載されています。
記載されているのは原則としてどれも必要な費用です。しかし、なかには「諸費用」のような内容が明記されていないものもあるため、少しでも安く抑えたいなら諸費用の内訳についても確認し、不要なものがないか確認しましょう。
自賠責保険や税金など、法定費用として金額が決まっているものはどうしようもありません。しかしたとえば、自宅まで届けてもらうための納車費用は、こちらから販売店までいけば発生しないため支払わなくてもよくなります。
他にもこのような費用が記載されていないか、すべての内訳をチェックし、必要に応じて金額を抑えられないか交渉してみましょう。
複数の店舗に見積を依頼する
基本的に中古車は、販売店にあるその1台だけという意味で「1点もの」といえます。しかし年式やメーカー、色などにこだわりがなければ、同等の中古車を他の販売店で見つけることは可能です。求める程度がある程度定まったら、1店舗だけでなく複数の店舗に見積もりを依頼することをオススメします。
そうすれば1店舗だけの見積もりよりも幅広い車種、状態、価格帯の中古車から選べるため、自分の考えていなかったような掘り出し物が見つかるかもしれません。そもそも同じ条件でも店舗の受け取り方は異なるため、同程度の中古車の市場全体における価格相場が把握しやすくなります。相場がわかってくれば、店舗での交渉にも役立てることも可能です。
たとえばA店の120万円の中古車と同レベルの中古車が、B店では105万円だった場合、A店にこの見積書を提示すると、同額ではなくても多少の値引きができるかもしれません。また複数店舗からの見積を比較すれば、状態による相場価格への影響の大きさや、人気の車種、年式、色の把握もできます。中古車を安く購入したいなら、ぜひ複数の店舗をうまく利用したいものです。
価格や手続に関する注意点
中古車の本体に関する注意点は、おわかりいただけたでしょう。しかし中古車を購入する際は、車両自体だけでなく、価格や手続きなど「契約」に関する点にも注意してください。たとえ中古車であっても、車は数十万円以上する大きな買い物です。見積書の内容をよく確認していなかったり、必要書類を用意できていなかったりすれば、販売店と気持ちよく取引できなくなってしまいます。
見積もりの内訳
見積書は、実に多くの項目がまとめられています。しかし、ここで各項目を細かく確認しておかないと、トラブルの原因となります。
車両本体価格の他、多くの見積書に記載されている内容は以下の通りです。
- 税金や印紙代、リサイクル料金といった法定費用
- オプションなど本体に関するその他費用
- 納車前整備費用
- 名義変更登録手続き費用
- 納車費用
- 下取費用
必ず、それぞれの内訳をしっかり確認しましょう。「諸費用」等の記載があれば内容を細かく確認しておきたいところです。また他に費用が掛かる場合はどのような場合かなど後々トラブルにならないよう、納得できるまで確認しておきましょう。
必要書類
中古車を購入するにあったっては、いくつかの書類が必須となります。事前準備しておくことで、速やかに車両を納車してもらえるでしょう。
- 実印(普通車)
- 印鑑証明書(普通車)
- 住民票の写し(軽自動車)
印鑑証明書がない場合は、役所に実印登録をし、印鑑登録証明書を取得しましょう。
軽自動車の登録に必要な住民票の写しも役所で入手しないといけないので、時間のあるうちに取っておきましょう。
ただし、有効期間は発行後3か月です。
また、もし車庫証明書が必要な場合で、駐車場を借りている場合は、できればあらかじめ「保管場所使用承諾証明書」というものをオーナーから取得しておきましょう。
購入時・納車時の注意点
中古とはいえ自動車は、買い物としてはやはり高額です。だからこそ金額に見合った品質の者を選び、手続きも最後までしっかりこなす必要があります。また多くの場合、自動車は数年以上乗るため、万が一にもきちんと備えることも重要です。
ここでは中古車を購入し、納車して乗り始めるまでの間で注意すべきポイントを解説します。
保証内容を確認しておく
販売店によっては、購入する中古車にも保証をつけられる場合があります。保証は、これから長く乗る自動車にとって安心できる重要な要素です。保証は、万が一のトラブルにかかる費用を抑えられたり、無料になったりするため内容をよく把握して加入するかどうかを決める必要があります。
きちんと整備されている中古車でも、トラブルがないとは限りません。逆にあるともいえませんが、より安心して乗るためには一度検討しておくのがオススメです。
契約時には必要書類を用意しておく
中古車の購入は、通常高額な取引になるため販売店などと売買契約を締結します。売買契約で必要なもののうち、購入する側が用意するのは、実印と印鑑登録証明書くらいで、あとは販売店が用意することが多いようです。とはいえ、印鑑登録証明書は通常、発行から3か月以内のものとされることが多いため、契約前に計画的に取得しておく必要があります。
登録日や納車日をあらかじめ確認しておく
中古車は新車と異なり、すでに在庫としてあるものを販売するため、必要な物がそろっていれば数日ほどで手に入れることも可能です。逆にいえば、こちらの希望する納車日に合わせてもらうこともでき、納車日に見合った登録日、書類をそろえる期限も調整できるということでもあります。
ただなんとなく販売店のいうとおりではなく、こちらの希望もしっかりと伝え、お互いに無理のない日を決められるよう努めましょう。
入金日がいつになるか確認しておく
中古車の代金を、販売店が契約するローンで支払うなら問題はありません。しかし別途で銀行から借り入れたり、頭金を用意する場合は、販売店への入金日がいつまでなのかは、正確に把握しておくことが大切です。
入金でこじれてしまうと、中古車がいつまでも手に入らないばかりか、最悪の場合賠償問題になる可能性もあります。間違えないようきちんと確認しておきましょう。
注意点を押さえて、中古車を選ぼう
新車よりもコストを抑えて購入できる中古車。しかし、いくつかの注意点を踏まえて購入しなければ、修理費などが高額になってしまう可能性があります。また水没車などは、販売店から事前に教えてもらえないこともあるため、自身の目でしっかりと確認しなければなりません。しっかりと注意したうえで、コンディションのよい中古車を選んでください。