あらゆる物に寿命があるように、車もいずれは使えなくなります。車が動かなくなった場合は、廃車にすることになるでしょう。実は廃車になった車であっても、業者に買い取ってもらうことは可能です。本記事では廃車の買い取りについて、相場価格を解説します。相場価格について知りたい方は、参考にしてください。
そもそも廃車は買い取りできるのか
廃車とはナンバープレートが外されて、車の車籍(戸籍の車版のようなもの)が抹消された状態の車のことです。車両を廃車にする際には、廃車費用がかかると考えられる方も多いかもしれませんが、最近では廃車買取業者が増加しており、不要な車両でも査定を受けて売却できます。
なぜ車両が古くなったり、動かなくなったりしても値段がつくのでしょうか。廃車でも買い取ってもらえる理由は以下の2つです。
- パーツの再利用できるため
- 「鉄」「アルミ」「貴金属」の再利用できるため
自動車は多くの部品から成り立っています。車両全体が動かなくなっても、個別の部品はまだ使用可能なものが多いでしょう。海外では古い日本車の部品の需要があり、廃車から部品を取り出して販売する市場が存在します。
また「鉄」「アルミ」「貴金属」を、再利用することで利益が出ることも一因です。廃車は、エアバッグやエンジンなど主要なパーツを取り外した後、スクラップ金属に変わります。このスクラップは再び資源としてリサイクル可能です。廃車買取業者は、車両を解体し、スクラップ金属をスクラップ専門業者に販売することで収益を上げています。
買取パターンごとの廃車買取相場
廃車の価格評価は、買取方法によって異なります。本章では、以下3パターンに分けて、相場価格を解説します。
- 中古車として買い取られるケースの相場
- 輸出車両として買い取られるケースの相場
- 中古パーツとして買い取られるケースの相場
- 解体車として買い取られるケースの相場
自分の車を最高の価格で売却するためにも、各売却方法について理解しておきましょう。以下ではそれぞれの価格評価について詳しく説明するため、参考にしてください。
中古車として買い取る場合の相場
国内で評価が低い自動車を、中古車として海外に輸出できます。日本車は10年以上経過しても、故障が少なく耐久性が高いため、海外で高い評価を受けているそうです。車の状態や車種、輸出先の国によって価値が異なるため、具体的な相場を確定することは難しいかもしれません。
ただし、ハイエースやアルファードなどは、東南アジアなどで人気が高く、高額で取引されます。他にも商用車として使われるトラックや貨物車(商用車)、SUVの代表であるランドクルーザーも高額買取が期待できるでしょう。例えば、20万キロ以上走行したハイエースでも、50万~60万円で買い取られたケースもあるようです。
ただし車の状態や国際情勢にも変動があります。廃車買取業者を選ぶ際は、多くの輸出ルートを持っている業者を選ぶのがおすすめです。
輸出車両として買い取る場合の相場
日本製の車は、世界的に高い安全性と信頼性が評価されています。日本国内で廃車にされる車種であっても、海外市場では高額に取引されることが多々あるでしょう。ただし車の種類や状態によって買取価格が大きく変動するため、一般的な相場を指摘することは難しいところです。しかし走行距離が多く、車齢が高い車であっても、中古車として売却する際には満足できる価格がつくこともあります。
車の価値や買取価格について詳しく知りたい場合、複数の廃車買取業者の事例を参考にすると良いでしょう。また中古車としての市場価格を調査したい方には、相場価格を一括で検索できるウェブサイトを活用するのがおすすめします。
中古パーツとして買い取る場合の相場
廃車車両を解体し、良好な状態の中古パーツとして再販し、高値で買い取ることができる機会もあるでしょう。中古パーツの価格は、車の型式やモデルによって異なりますが、一般的な価格帯は以下の通りです。
パーツ名 | 買取相場 |
エンジン | 5万~10万円 |
フロントバンパー | 1万~2.9万円 |
フロントドア | 1万~1.8万円 |
リアバンパー | 9千~1.4万円 |
ヘッドライト | 9千~1.6万円 |
中古エンジンやヘッドライトなど、さまざまな部品が市場で取引されています。車そのものが価値がないように思えても、その車の部品には価格がつくこともあるでしょう。ただし廃車を売る際は、個々の部品ごとに価格が決まるのではなく、車両一台ごとの買取価格が設定される点には注意しなければなりません。
解体車として買い取る場合の相場
不要な自動車は、鉄くずやスクラップとして買い取ってもらえるでしょう。廃車した場合の買取価格は、1キロあたりの鉄くずの価格から算出されます。地域によって異なりますが、鉄くずの価格はおおよそ1キロ50円前後、1トンあたり5万円前後です(2023年1月時点)。
鉄くずの価格は地域や売却時期によって変動するため、廃車の買取価格も変動することに留意してください。中古車としての価値がなくても、資源としての価値があることから、売却時期によっては驚くべき高値がつく可能性があります。なお軽自動車や小型普通車、大型普通車の相場価格は以下を参考にしてください。
軽自動車 | 4.5万円前後 |
小型普通車(コンパクトカー) | 5.4万円~7.4万円前後 |
大型普通車 | 7.9万円~9.9万円前後 |
廃車手続きは主に2種類
廃車の手続きである車の抹消登録には、「永久抹消登録」と「一時抹消登録」という2つの種類があります。いずれも所有している自動車を使用しない時に行う手続きです。本章では「永久抹消登録」と「一時抹消登録」の違いや手続き方法などを、詳しく説明していくのでどちらを採用するのか、検討してください。
永久抹消登録
永久抹消登録とは、車を中古車として販売するか、廃車にする際に行う必要がある手続きのことです。永久抹消登録を行うことで、自動車税や自動車重量税などの税金、そして自賠責保険の支払い義務が免除されます。
永久抹消登録と一時抹消登録の主な違いは、手続きを完了した後に再びその車に乗ることができるかどうかです。永久抹消登録を選択した場合、再登録が許可されないため、一度手続きを行ったら、その車に再び乗ることはできません。永久抹消登録を実施した場合は、自動車税と自動車重量税の還付金が受け取れます。
一時抹消登録
一時抹消登録とは、一時的に車の登録を停止する手続きのことです。これは、入院や長期の海外出張、将来的に他人に車を譲る予定など、特別な事情がある場合に行います。また、一時抹消登録を行った後、必要な時に再登録することで、車を再び運転できるようになるため、安心してください。
長期間車を使わない場合、一時抹消登録をすることで自動車税や自動車重量税、そして自賠責保険の支払いが免除されます。これらの支払いは、年間で数万円にも上ることがあるため、一時抹消登録を利用することで費用を節約できるでしょう。
さらに自動車税と自賠責保険に関しては、永久抹消登録と同様に、一時抹消登録後に還付金を受け取れます。したがって長期間車を使用しない予定がある場合は、一時抹消登録手続きを検討してみると良いでしょう。
廃車手続きに必要な費用の相場
「廃車費用」という言葉には、いくつかの要素が含まれています。具体的には「永久抹消登録費用または解体返納費用」「解体費用」「レッカー代」「リサイクル代」という4つで構成されています。
これらを個別に把握することによって、廃車費用に関する理解が深まるでしょう。本章では、それぞれの要素について詳細に説明し、一般的な価格の目安も提供します。廃車手続きに必要な費用を知りたい方は、参考にしてください。
永久抹消登録手続き・解体返納手続きの費用
自動車を解体した後は、通常の自動車の場合、運輸支局で永久抹消登録が必要です。この手続きを行うことで、自動車税や自動車重量税、自賠責保険の払い戻しを受けられます。軽自動車の場合、解体返納手続きは軽自動車検査協会で行いますが、軽自動車の場合は還付制度が適用されません。
手続きを業者に委託する場合、代行料が発生します。一方、自分で運輸支局や軽自動車検査協会に行って手続きする場合、費用は「用紙代」のみです。自分で手続きすることで代行手数料を支払わず、費用を節約できるでしょう。手続きを自分で行う場合、用紙代の合計は約600〜800円であり、軽自動車の場合は約400円で済みます。
解体費用
廃車のコストの中で、最も大きな部分を占めるのが、解体に関する費用でしょう。解体費用は、自動車本体から異なる部品を分解する際に発生します。廃車予定の自動車は、例えばガソリンタンクやエンジンなど、売却可能な部品と売却できない部品に分けて解体する流れです。
解体が必要な場合、最大で3万円かかることがあり、ディーラーに頼む場合にはさらに1万~2万円の追加費用が発生します。
売却可能な部品は、中古部品として修理工場に販売されるのが一般的です。中古部品は価格が比較的安いため、修理費用を抑えたい車のオーナーから需要があります。またフレームなどの部分は、鉄くずとして処理業者に売却され、自動車の無駄を最小限に抑えるために重要です。
レッカー代
レッカー代は、動かない車両を輸送するためにかかる費用であり、自然災害や交通事故、あるいは経年劣化により運転不能となった車両を廃車にする際に利用されます。
輸送距離や車種によって、価格が異なる点は留意すべきです。輸送距離が長いほど、費用が高くなる傾向があります。そのため、できるだけ近くの解体工場に車両を持ち込むことで、費用を抑えられるでしょう。なお一般的なレッカー代の価格帯は、約1万〜1.5万円程度です。
リサイクル代
リサイクル料金は、新車や中古車を購入する際に支払わなければならない費用であり、車の各部品をリサイクルするために発生する費用の一部です。ただし、この料金は新車購入時に一度支払うものであり、車を廃車する際には必要ありません。
現在車を所有している場合、リサイクル料金は既に支払済みかもしれません。車検証入れに「預託証明書(リサイクル券)」が入っている可能性が高いため、確認してみてください。
廃車手続きで戻る可能性がある還付金
車を廃車にすると、以下の3つの還付金を得られます。受け取れる金額の算出方法や、手続きの方法が異なる場合もあるため、本章の内容をチェックしてください。
- 自動車税
- 自動車重量税
- 自賠責保険
ただし自動車税は、軽自動車の場合は還付されません。廃車買取サービスを利用する場合でも、これらの還付金を受け取れるため、金額の計算方法や手続き方法を、確認しておきましょう。
自動車税
軽自動車の自動車税は、月ごとの還付制度は適用されず、代わりに年間の税金として扱われます。一方で普通車の場合、車両を廃車にすると、月割りで自動車税が還付されるでしょう。廃車手続き(抹消登録)を行うと、通常約2ヶ月後に「自動車税の還付通知書」が郵送されてきます。
この通知書と印鑑、本人確認書類を持って、金融機関を訪れることで還付金を受け取れるため、忘れずに手続きしてください。
還付金の計算は、4月から翌年3月までの1年分の自動車税を月割りで行います。抹消手続きを行った月を基準にして還付金が計算されるため、4月に手続きすると11ヶ月分の還付がありますが、3月に手続きすると還付金はありません。車の所有者以外が自動車税の還付手続きを行う場合、納税証明書と委任状を持参し、都道府県の税務署で手続きしてください。
自動車重量税
自動車重量税は、自動車の重量だけでなく、その他の要因も考慮して課税される税金です。この税金は、新しい車を登録する際や車検を受ける際にまとめて支払わなければなりません。
自動車重量税の廃車還付制度は、自動車リサイクル法が平成17年に施行された際に、導入されました。この制度を利用すると、自動車を永久抹消登録または解体する際に、今後の自動車重量税の支払い期間に相当する金額が還付されます。
自賠責保険
車検が有効な状態である車を廃車にする場合、自賠責保険の一部が還付されます。手続きには、廃車の証明書(一時抹消登録証明と自動車検査証返納届)、自動車損害賠償責任保険証明書のコピー、所有者の認印、振込先口座が必要です。これらの書類を用意し、各保険会社に還付の申請を行ってください。
通常、手続きから1週間から10日ほどで還付金が振り込まれるでしょう。ただし還付額は、月割りの保険料の簡単な計算ではなく、保険会社が手数料を差し引いた月割り計算に基づいています。詳細な情報は、自賠責保険に加入している保険会社に問い合わせてください。
廃車を高く買い取ってもらう4つのポイント
廃車買取において、相場価格を確認して提示された金額が、妥当かどうかを判断しなければなりません。廃車を高く買い取ってもらうポイントとしては、複数の業者に査定を依頼して比較することや、タイミングを見極めること、迅速に行動すること、できるだけ車両を良い状態にしておくことなどがあります。本章では、廃車買取時に留意すべきポイントを詳しく説明するため、参考にしてください。
1.複数の廃車買取業者に査定してもらう
廃車をより高く売却したい方は、複数の廃車買取業者に見積もりを依頼し、買取価格を比較してみましょう。廃車買取業者によって、海外への輸出や中古パーツの再販に関する得意・不得意が異なります。
見積もり依頼はオンラインで簡単に行えるため、提示された金額に納得できない場合は、無理に売却する必要はありません。複数の業者から提示される見積もり金額を比較し、最も高い買取価格を提供してくれる業者に売却しましょう。
2.閑散期が近ければそのタイミングで売る
5月から7月の閑散期に廃車を売却すると、通常より高い買取価格を期待できるかもしれません。廃車買取業者の視点では、廃車を買い取らなければビジネスが難しく、利益も減少する可能性があります。
不利益を回避するため、閑散期には少しでも高い価格で廃車を買い取ってくれる可能性が高いです。ただし10月になってから「5月から7月まで待ってから売却しよう」と考えるのはおすすめできません(理由は後述)。
3.買い取ってもらうと決めたらすぐに行動する
閑散期に売却するのが最適とされていますが、車を廃車にすることを決定した場合、できるだけ迅速に引き取り手続きを進めましょう。早期の廃車手続きを行うと、還付金が増加するメリットがあります。
車の価値は、時間の経過とともに下がっていくものです。特に中古車としての価値がある場合は、時間経つほど査定額が低くなってしまうかもしれません。また廃車手続きを業者に依頼する場合は、手続きの完了日を確認しておくことも重要です。
4.良い状態で保存しておく
車を処分するつもりでも、車は丁寧に保管しましょう。ただし、処分予定の車を外に放置してしまうと、錆びや劣化が進行し、査定額に悪影響を及ぼす可能性があります。車を業者に引き渡すまで、屋外で保管する場合はシートで覆って保護しましょう。
査定士も人間であり、外観が魅力的な車の場合、査定額に一定の影響がある可能性があります。車の部品やパーツにも価値があるため、手間がかかるかもしれませんが、最低限の手入れを行いましょう。
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廃車買取業者を選ぶ前に、必ず買取相場を確認しましょう。これにより、適正な価格で買い叩かれることを避けられるうえに、価格交渉において有利に進めることが可能です。廃車買取業者に車を預ければ、廃車手続きは無料で行ってもらえるだけでなく、車の買取金額も得られます。
廃車にする車であっても、相応の買取価格がつくため、諦めずに廃車専門業者を探してみましょう。良い業者が見つからないと悩んでいる方は、当社、廃車引き取り110番へお問い合わせください。