就職や結婚など大きなライフイベントの前後では、生活のさまざまなことが変わります。これまでがんばってくれた軽自動車も例外ではありません。そのまま所有していても税金や車検などの手続きがあるため、思い切って廃車にすることもあるでしょう。
この記事は、軽自動車を廃車にするときの手続きや費用相場を解説します。必要なものの準備のためにぜひ活用してください。
軽自動車の廃車費用の相場と内訳
日本において自動車は、登録して初めて公道で運転できます。そのため廃車、つまり登録を抹消するときも正式に手続きしなくてはなりません。手続きにも費用は発生しますが、他にも廃車に必要な手順があり、少なからず費用もかかります。
ここでは軽自動車を廃車にするときの費用の種類と相場を詳しくみていきましょう。
手続き費用
軽自動車の登録を抹消する、つまり廃車にする手続きは、所有者の住所を管轄する軽自動車検査協会で行います。廃車手続きは大きく分けて3種類ありますが、そのうち一定期間登録を抹消する「自動車検査証返納届」にのみ申請手数料350円が必要です。
他の解体返納や解体届出の2種類の手続きには、費用が発生しません。その代わり、手続きより前に軽自動車は解体しておかなくてはならないため、業者に依頼しての解体に費用は発生します。
手続きは業者に代行を依頼できますが、なかには1万円から3万円ほどの手数料がかかるため、状況によっては利用も検討しましょう。
解体費用
軽自動車の解体費用とは、文字通り自動車本体を解体してしまうためにかかる費用です。金額は解体する業者によって異なりますが、相場はおおむね1万円から2万円程度とされています。
軽自動車の状態によってはリサイクルできるパーツを買い取ってくれたり、解体で得られた鉄を売却したりして得られる金額で相殺してもらい、差し引きの支払いは少なく済む場合もあるようです。
ただし、すべての解体業者に依頼できるわけではありません。なかには個人からの依頼を受け付けていない業者もあるため、依頼できるかどうかは事前に確認する必要があります。
運搬費用
次のような軽自動車が自走できない状況では、運搬費用も発生します。
- 事故や故障によって自走できず、そのまま解体業者の指定場所まで移動させる場合
- 自動車検査証返納届済みの、ナンバープレートが外された自動車を解体する場合
金額は業者ごとに、また軽自動車の状態によって変わりますが、10キロメートル以内の比較的短い距離なら1万円から数万円が相場です。
とはいえなかには解体業者がサービスで引き取ってくれたり、廃車専門業者であればそのまま買い取ってくれたりする場合もあります。利用できるサービスの中からできるだけ簡単な、メリットのある方法を選ぶとよいでしょう。
リサイクル費用
リサイクル費用とは、軽自動車を解体するときに発生するゴミの処分や、エアコンに用いるフロンガスの高熱による処理、エアバッグなどパーツのリサイクルにかかる費用です。
相場は6,000円から16,000円ほどですが、2005年以降に新車登録した軽自動車であれば、自動車リサイクル法に則って購入時にすでに支払っているため、あらためて支払う必要はありません。
軽自動車を廃車にできる3種類の手続き
軽自動車の廃車手続きは大きく分けて3種類あります。軽自動車の解体を伴う「解体返納」や「解体届出」では本体を事前に解体しなくてはならず、一時的に登録を抹消する「自動車検査証返納」では公道で運転できない軽自動車を保管しておくスペースが必要です。
ここでは軽自動車における3種類の廃車手続きを1つずつ解説します。
解体返納
解体返納は、軽自動車本体を解体し、以降二度と運転できなくするときの手続きで、普通自動車における永久抹消登録にあたります。原則として手続きの前に解体するため、手続きのために管轄の軽自動車検査協会までいく場合は別途交通機関などを利用しなくてはなりません。
手続きを完了すれば、すでに支払っている自動車重量税や自賠責保険料の一部が戻ってくる場合もあります。また軽自動車自体が存在しなくなるため、駐車場や任意保険の保険料がかからないのもメリットといえるでしょう。
ただ一方で、手続きは比較的煩雑で、時間がかかりやすいのはデメリットです。
自動車検査証返納
自動車検査証返納は、一定期間軽自動車の登録を抹消するための手続きで、普通自動車における一時抹消登録にあたります。長期間にわたる出張や転居、入院など軽自動車を運転しないことが確実な場合に有効です。あくまで一時的な手続きのため、将来また必要になったときは再登録手続きをすればまた公道で運転できるようになります。
登録が抹消されている期間はさまざまな税金が課せられず、任意保険の必要もないため、出費を抑えられるのは大きなメリットといえるでしょう。
ただ保管中は自動車を運転できないため、保管場所の環境や保管状況には十分な注意が必要です。いざ再登録しても運転に耐えられないほど劣化していては意味がありません。定期的にエンジンをかけるなどメンテナンスしておく必要はあるでしょう。
解体届出
解体届出は、自動車検査証返納済みの自動車を、再登録せずに解体したときに行う手続きです。解体届出では、すでに自動車検査証返納手続きですでにナンバープレートを返却しているため、書類のみによる手続きになります。
事前に軽自動車は解体しておく必要があり、解体が完了したと連絡を受けてからの手続きが必要です。
また解体届出は軽自動車そのものが存在しなくなる手続きであるため、車検の有効期間が1か月以上残っていれば、残っている月数に応じてすでに支払っている自動車重量税の一部の還付を受けられます。
軽自動車廃車の還付金について
軽自動車を利用するためには、軽自動車税と自動車重量税という税金と、自賠責保険という保険料という費用が必要です。このうち軽自動車税は普通自動車における「自動車税」にあたる税金ですが、月割り計算できる制度ではないため還付されません。
他の自動車重量税と自賠責保険の保険料は、廃車の手続きによっては還付が受けられます。ここでは軽自動車の廃車手続きで受けられる還付金についてみていきましょう。
自動車重量税
自動車重量税とは、自動車の新規登録や車検のときに、重量ごとに定められた金額が課せられる税金です。普通自動車はさまざまな重量の自動車があるため、金額は重量ごとに変わりますが、軽自動車は登録年数に応じて次の通り一律に定められています。
軽自動車の自動車重量税 | |
新車登録から12年目まで | 年額3,300円 |
13年目から17年目まで | 年額4,100円 |
18年目以降 | 年額4,400円 |
たとえば新規登録時の車検有効期間は3年間のため自動車重量税は9,900円、以降の車検時は12年目まで有効期間2年間分の6,600円です。
新車登録から7年目の軽自動車を解体返納する場合、車検の有効期間が6か月残っていれば、次の計算で求められる1,650円が還付されます。
6,600円(2年分の自動車重量税額) X 6か月(車検の残存月数) / 24か月(車検有効期間) = 1,650円
ただし自動車重量税が還付されるのは、軽自動車を解体する解体返納または解体届出の場合のみです。自動車検査証返納では還付されません。
自賠責保険
自賠責保険は一般に強制保険と呼ばれている、交通事故にあった被害者を救済するための保険です。公道を走るすべての自動車に加入義務があり、加入していなければ車検を受けることもできません。任意保険と違うのは、交通事故における補償の対象が「被害者となる相手のみである」ことです。運転しているこちらが負った自動車の損害やケガは補償されません。
2023年4月現在、軽自動車の自賠責保険料は次の通りです。
24か月 | 25か月 | 36か月 | 37か月 | |
自賠責保険料 | 17,540円 | 18,040円 | 23,520円 | 24,010円 |
※離島(沖縄県を除く)を除く
参考:国土交通省 自賠責保険ポータルサイト「自動車損害賠償責任保険(共済掛金)表」
自賠責保険料は毎年審議会が決定するため定期的に変わります。手続きするときは事前に確認しましょう。
自賠責保険は、軽自動車を廃車にすれば必要なくなります。ただし原則として保険期間は車検の有効期間期間と同じとされており、車検の有効期間が1か月以上残っているにのみ還付されるしくみです。還付を受けたい場合は加入している保険会社に連絡し、廃車の証明書類を添えて手続きしましょう。
軽自動車廃車の手続きの流れ
軽自動車の廃車は、公的な手続きでもあるため手順は厳密に定められています。1つひとつは難しくありませんが、要所をしっかり押さえておかなければ、二度手間、三度デマにもなりかねないため注意が必要です。
ここでは軽自動車の廃車手続き3種類の流れを、1つずつ解説します。
解体返納の流れ
解体返納は、手続きする軽自動車には二度と乗らないため、先に解体しておくことが条件です。まずは解体業者へ依頼し、解体を完了してから手続きを始めます。
- 解体業者に軽自動車の解体を依頼する
- 指定の日時に解体業者に引き取ってもらう
- 解体完了後、解体業者から「使用済自動車引取証明書」と「ナンバープレート2枚」を受け取る
- 使用済自動車引取証明書とナンバープレート2枚、その他の必要書類をそろえて軽自動車検査協会ヘ行く
- 軽自動車検査協会で「解体届出書」と「軽自動車税申告書」をもらい、記入する
- 解体届出書と軽自動車税申告書、持参した書類を提出する
- (還付がある場合のみ)自動車重量税還付申請書付表1を受け取る
自動車検査証返納の流れ
自動車検査証返納手続きでは軽自動車本体を解体せず、前後のナンバープレートを外せばあとは軽自動車検査協会て手続きするだけです。ナンバープレートはドライバーがあれば簡単に取り外せますが、心配なら自動車整備工場などに依頼するとよいでしょう。
- 「ナンバープレート2枚」を外す
- ナンバープレート2枚と手続きに必要な書類をそろえて軽自動車検査協会ヘ行く
- 軽自動車検査協会で「軽自動車検査証返納証明書交付申請書」「自動車検査証返納届出書」「軽自動車税申告書」をもらい、記入する
- 軽自動車検査証返納証明書交付申請書と自動車検査証返納届出書、軽自動車税申告書、持参した書類を提出し、申請手数料350円(軽自動車1台あたり)を支払う
- 自動車検査証返納証明書と軽自動車検査証返納確認書を受け取る
解体届出の流れ
解体届出は、自動車検査証返納の手続きを済ませていることが前提です。ナンバープレートはすでに返却しているため、手続きは軽自動車本体の解体から始まります。
- 解体業者に軽自動車の解体を依頼する(指定場所までの運搬が必要)
- 指定の日時に解体業者に引き取ってもらう
- 解体完了後、解体業者から「使用済自動車引取証明書」を受け取る
- 使用済自動車引取証明書とその他の必要書類をそろえて軽自動車検査協会へ行く
- 軽自動車検査協会で解体届出書をもらい、記入する
- 解体届出書と持参した書類を提出する
- (還付がある場合のみ)自動車重量税還付申請書付表1を受け取る
軽自動車の廃車手続きに必要な書類
軽自動車の廃車手続きは公式なものである以上、そろえなくてはならない書類もかけてしまうと完了できません。しかも手続きごとに必要書類は異なるため、1つずつ確認し間違いなくそろえる必要があります。ただ当日、軽自動車検査協会でもらえる書類もあるため、事前に用意するものはそれほど多くありません。
ここでは軽自動車の廃車手続きに必要な書類を、手続きごとに解説します。
解体返納の必要書類
解体返納手続きに必要な書類は次の通りです。
- 自動車検査証(車検証):紛失・汚損している場合は軽自動車検査協会で再発行できる(申請手数料300円が必要)
- ナンバープレート2枚:盗難や遺失などで返却できない場合は「車両番号標未処分理由書」の提出が必要
- 使用済自動車引取証明書:軽自動車の解体を証明する書類で、手続きは記載されている「移動報告番号」と「解体通知日」が必要
- 解体届出書(軽第4号様式の3):手続き当日に軽自動車検査協会でもらえる
- (自動車重量税の還付がある場合のみ)マイナンバーカード、通知カードと運転免許証のいずれか
- (自動車重量税の還付がある場合のみ)還付金の振込先口座情報(預金通帳など)
自動車検査証返納届の必要書類
自動車検査証返納届には、次の書類が必要です。
- 自動車検査証(車検証):紛失・汚損している場合は軽自動車検査協会で再発行できる(申請手数料300円が必要)
- ナンバープレート2枚:盗難や遺失などで返却できない場合は「車両番号標未処分理由書」の提出が必要
- 自動車検査証返納証明書交付申請書・自動車検査証返納届出書(軽第4号様式):手続き当日に軽自動車検査協会でもらえる
- (自動車重量税の還付がある場合のみ)マイナンバーカード、通知カードと運転免許証のいずれか
- (自動車重量税の還付がある場合のみ)還付金の振込先口座情報(預金通帳など)
解体届出の必要書類
解体届出を手続きするときは次の通りの書類を準備します。
- 自動車検査証返納証明書:自動車検査証返納の手続き済みであることを証明する書類
- 使用済自動車引取証明書:軽自動車の解体を証明する書類で、手続きは記載されている「移動報告番号」と「解体通知日」が必要
- 解体届出書(軽第4号様式の3):手続き当日に軽自動車検査協会でもらえる
- (自動車重量税の還付がある場合のみ)マイナンバーカード、通知カードと運転免許証のいずれか
- (自動車重量税の還付がある場合のみ)還付金の振込先口座情報(預金通帳など)
廃車にするなら廃車ひきとり110番へ!
いつも便利に使ってきた軽自動車でも、ライフステージの変化によって必要なくなることはあります。もし将来にわたって乗らないことがわかっていれば、放っておくと毎年税金や自賠責保険料を支払い、車検にも出さなくてはなりません。早めに廃車手続きをしておくのがオススメです。
ただ廃車にはさまざまな費用がかかり、面倒な手順もあります。「手続きする時間がない」「費用をかけたくない」なら、一度廃車引き取り専門の「廃車ひきとり110番」に相談してみましょう。
廃車ひきとり110番なら廃車にしたい軽自動車も無料で引き取り、状態によっては買取代金が戻ってくることもあります。面倒な手続きももちろん無料で代行するため、手間もお金もかかりません。
軽自動車を廃車にするなら、ぜひ一度廃車ひきとり110番へご相談ください。