リコール車両とは?その定義と影響
リコール車両とは、自動車メーカーが製造・販売した車に設計や製造上の不具合が発覚し、安全や環境に影響を及ぼす恐れがある場合に、無償で修理・交換を行うために通知されるものです。
国土交通省の制度に基づいて行われるもので、対象となった車は「リコール車両」と呼ばれます。
このリコール対応を怠ると、事故のリスクや車の性能低下につながる可能性があり、安全面でも非常に重要な対応となります。
また、中古車の買取査定においても、リコール未対応車は評価が下がる可能性があります。
リコールの通知がくる
リコールが発表されると、通常は車の所有者に自動車メーカーや販売店からダイレクトメール(DM)や通知書が送付されます。
この通知には以下のような情報が記載されています。
- リコールの内容と原因
- 対象となる車両の車台番号(シリアルナンバー)
- 無償修理の内容と所要時間
- 最寄りのディーラーでの対応方法
ただし、中古で車を購入して所有者情報がメーカーに登録されていない場合など、通知が届かないケースもあるため、自分で確認することも大切です。
リコール対象の車かを調べる手順
リコール対象車かどうかは、以下の方法で調べることができます:
- 国土交通省のリコール情報検索サイト
→ 車検証に記載されている「車台番号」を入力することで確認可能。
リコール検索(国土交通省) - メーカー公式サイト
→ 各自動車メーカーのホームページには、リコール情報を検索できるページがあります。 - 販売店・ディーラーに問い合わせ
→ 車検証を持参すれば、対象かどうかを調べてもらえます。
リコール対象車だった場合の流れ
リコール対象であることが確認できた場合、以下のような流れになります。
- 最寄りの正規ディーラーまたは販売店に連絡
→ 修理の予約を取ります。 - 無償修理の実施
→ 通常は数時間~半日で終了する作業が多く、費用は一切かかりません。 - 修理完了証明の発行(必要に応じて)
→ 一部のケースでは、修理完了の証明書をもらえることもあります。
※リコール修理は必ずしも車検時の義務ではありませんが、未対応のままだと整備不良と見なされる場合もあるため、早めの対応が推奨されます。
リコールの対応に期限はあるの?
リコール対応には、基本的に法的な期限は設けられていません。そのため、通知を受けたあともいつでも修理を受けることは可能です。しかし、実際にはいくつか注意しておきたい点があります。
まず、リコールに必要な部品の供給には限りがある場合があります。特に古い車種の場合は、部品の生産がすでに終了していることもあり、対応が難しくなることがあります。
また、リコールの対応をしないまま中古車として売却しようとすると、査定の際に減額される可能性があります。未対応のリコールがある車両は、「メンテナンスが行き届いていない車」と見なされ、買い手にとって不安材料となるためです。
さらに、安全面でも大きなリスクを伴います。たとえば、ブレーキやエアバッグなどの重要な機能に不具合があるまま使用し続けると、万が一の事故に発展するおそれがあります。
このような理由から、リコールの通知を受けた場合はできるだけ早く対応することが何より重要です。たとえ期限がないとはいえ、安全と車の価値を守るためには、迅速な行動が求められます。
リコールの対象となる車を修理するべきか廃車にするべきか
リコール通知を受け取ったとき、多くの方が「修理すべきか、それともこの機会に廃車を検討すべきか」と悩まれるかもしれません。
リコールの内容や車の年式、現在の状態によって最適な判断は異なります。以下の項目を参考に、自分の車の状況を冷静に見極めましょう。
修理で解決できるケース
基本的に、リコールの対象になった不具合は無償で修理が受けられます。部品交換や調整作業などが行われ、多くの場合、問題はそれで解消します。
とくに以下のような車両であれば、修理して乗り続けるのが現実的です。
- 車自体の年式が比較的新しい
- 走行距離が少なく、全体的な状態が良好
- 今後も長く乗り続ける予定がある
- 廃車にするにはまだ惜しいと感じる
リコールの内容が致命的な欠陥ではなく、メーカー側が適切に修理対応をしてくれる場合、修理後も安心して乗ることができます。
リコール車を修理する場合の流れ
リコール修理は次のような流れで進みます。
- リコール通知の確認
メーカーやディーラーから届いた通知書に記載された内容を確認します。 - ディーラーへの連絡と予約
最寄りの正規ディーラーや指定整備工場に連絡し、修理の予約を取ります。 - 車を入庫し、修理実施
修理内容によりますが、多くは数時間~半日程度で完了します。代車が必要な場合は、事前に相談しておきましょう。 - 修理完了・引き取り
修理が終わると連絡が入り、車を受け取ります。修理費用は基本的に発生しません。
廃車を選ぶ際のケース
すでに車が古く、他にも故障や劣化が進んでいる場合は、「リコールをきっかけに手放す」という選択もあります。以下では、廃車を選ぶべき状況とその手続きを紹介します。
リコール車でも売却できる
リコール対象になったからといって、メーカーが新しい車と交換してくれるわけではありません。
リコールとは「不具合部分を無償で修理する制度」であり、車両の買い替えや返金が保証されているものではないためです。
しかし、たとえリコール対象であっても、車の状態によっては中古車として買取や売却が可能なケースもあります。とくに、不具合が軽微なものであれば査定にそれほど影響しないこともあるため、買い取り業者に一度相談してみるのもおすすめです。
ただし、車が古くて走行距離も多い、他の部分に故障があるといった場合は、廃車として処分した方が費用面でも手間の面でも合理的なことがあります。
廃車の準備に必要な書類と手続きの流れ
廃車をする場合、いくつかの書類と手続きが必要になります。以下が一般的な流れです:
- 必要書類の準備
- 車検証(自動車検査証)
- 自賠責保険証明書
- リサイクル券(預託済みであればOK)
- 印鑑証明書(普通車の場合)
- 委任状・譲渡証明書(業者に代行依頼する場合)
- 廃車業者や買取業者へ連絡・引き渡し
業者によっては書類の代行取得サービスもあるため、事前に相談するとスムーズです。 - 抹消登録の手続き
普通車は「永久抹消登録」、軽自動車は「解体返納届出」が必要です。 - 税金・保険の還付手続き
自動車税、自賠責保険、任意保険などの未経過分が還付されることがあります。
リコール車両の修理プロセスと費用の概要
リコール修理に関しては、ほとんどのケースで費用は一切かかりません。これは、国の制度に基づき、メーカーが責任を持って無償修理を行うためです。ただし、状況によっては例外もありますので、その点も踏まえて解説します。
修理費用の支払い方法と保証の有無
原則として、リコール修理はすべて無償で行われます。車をディーラーに持ち込んで作業してもらっても、費用を請求されることはありません。
ただし、注意が必要なのは次のようなケースです
- リコールとは無関係な故障や破損がある場合、その修理費用は別途発生する
- リコール対応時に別の不具合が見つかった場合、内容によっては有償となることがある
- 一部の古い車種では部品が入手困難で、代替品などで対応する場合、追加費用が発生する可能性もある
また、リコール修理に関しては、その修理部分について改めて保証期間が設けられることもあります。保証内容はメーカーや修理内容によって異なるため、ディーラーでの説明をよく確認しておくと安心です。
リコール後の責任とオーナーの権利
リコールはメーカー側の設計や製造上の問題で発生するものであり、その責任は基本的に自動車メーカーにあります。しかし、リコール通知を受けた後に適切な対応をとるかどうかは、オーナー自身の判断に委ねられています。
通知を受け取ったにもかかわらず修理を行わないままでいると、万が一の事故の際にオーナー側の過失が問われる可能性もあるため注意が必要です。
その一方で、オーナーには「無償で修理を受ける権利」がありますので、正しい知識を持っておくことが大切です。
自動車メーカーの対応を確認する方法
リコール対応についての詳細や修理の受付状況などは、以下の方法で確認できます。
- メーカー公式サイトのリコール検索ページ
車検証に記載されている「車台番号」を入力すれば、自分の車がリコール対象かどうかをすぐに調べることができます。 - メーカーのお客様相談窓口へ問い合わせ
電話やメールで対応状況や対応時期などを直接確認することも可能です。 - 正規ディーラーへの相談
お近くのディーラーに連絡すれば、予約の取り方や作業内容についても丁寧に案内してくれます。
どの方法も無料で利用できますので、「いつ修理を受けられるのか分からない」といった不安がある場合は、早めに確認するのがおすすめです。
リコールをそのまま放置した場合
リコール通知を受け取ったものの、つい忙しくて放置してしまった――そんな方も少なくありません。しかし、リコールの放置には思わぬリスクがあるため注意が必要です。
リコールを放置して事故をした
もしリコールが原因の不具合によって事故が起きた場合、通知を受けていたにもかかわらず修理をしていなかった場合には、オーナー側の責任が問われる可能性があります。
たとえば、ブレーキの効きが悪くなる、エアバッグが正常に作動しないといった不具合を放置した結果、事故に至った場合は「予見可能性があった」と見なされることもあり、損害賠償などのリスクも否定できません。
メーカーにも一定の責任がありますが、リコール対応が未実施であることが確認されれば、オーナーにとって不利になる場合があるのです。
修理をしなかった際の車検は通る?
リコール未対応であっても、必ずしも車検に通らないとは限りません。というのも、リコール内容が車検の検査項目に該当しない場合は、そのまま通過してしまうことがあるからです。
ただし、リコールによって安全に関わる重大な不具合がある場合や、ディーラー車検でチェックされた場合には、車検を断られる可能性もあります。
また、車検が通ったからといって、リコール対応を先延ばしにして良いわけではありません。安全のためにも、通知が届いたらできるだけ早く修理を受けるようにしましょう。
リコールのあった車は処分したい!そんな時は!
リコール通知が届いたものの、「すでに古いし、そろそろ手放したい」「もう乗り換えを考えていた」といった理由で、修理ではなく処分を選ぶ方も少なくありません。そんな時は、無理に修理をせず、そのまま廃車にするという選択肢も賢い方法の一つです。
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