自動車盗被害が全国ワーストの愛知や岐阜の両県警などは、盗難車を解体した部品の輸出に「待った」をかける新たな対策に乗り出す。窃盗グループは盗難車を分解して港から海外に持ち出す例が多いことから、輸出時に正規に解体したことを証明する記録の添付を義務付ける。近く、各県を通じて名古屋税関に義務化を要請する。
窃盗グループの多くは盗難車を「ヤード」と呼ばれる作業場で細かく解体し、中古の自動車部品の名目で海外に輸出する。車体を輸出すると受け入れ国での関税が高いからだ。
愛知、岐阜県警などが対策として注目したのは、自動車を解体した際に残る電子記録「電子マニフェスト」。2005年施行の自動車リサイクル法により、廃車を正規の手続きで解体した日時、業者名などが自動車リサイクル促進センター(東京)に記録される。
同法はフロンの回収など適正な処理を進めるために導入。名古屋税関は現在、輸出される車の中古部品は同法とは関係ないとしてマニフェストの提出を求めていない。
リサイクル法の仕組みを援用し、中古部品の輸出でもマニフェストの写しの提出を義務付ければ輸出がしづらくなるとして、名古屋税関管内の愛知、岐阜、三重、静岡、長野各県警が各県を通じて、税関に運用の改定を求める。
8月末現在、自動車盗は愛知県で前年同期比58%増の3578件発生し、全国ワースト。被害額は60億円近い。10位の岐阜県は64%増の522件で、両県は全国(5・9%増)を大きく上回る。両県では被害車両の8~9割が未発見のままで、大半は海外に持ち出されたとみられる。
岐阜県警生活安全総務課によると、同様の取り組みは新潟県で06年、北海道では08年に始まっている。同課は「扱うコンテナ量が桁違いな名古屋で成果が上がれば、他の税関にも広がるはず。ゆくゆくは法制度化もできれば、輸出ルートがつぶれて自動車盗は確実に減少するはず」と期待を込める。
(中日新聞WEB 2011年10月13日 10時39分)
中古部品一個一個は細かいため、コンテナ一つでも膨大な数になります。どこまでの部品が義務化されるのかわかりませんが、マニフェストの車台番号と載せた部品の車台番号が正しいのかは調査困難だと思います。よって不正のチェックはかなり難しいと思います。盗難台数の減少につながればよいのですが、ただ正規に行っている輸出業者の作業量が増えるだけとならなければよいと思います。